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南国市の十市小学校で「十市いのぐ塾」開催|小学生たちが災害への備えを学びました

高知新聞社は、2016 年から防災プロジェクト「いのぐ」を展開しています。南海トラフ地震に対してどう備えるか、高知県民の皆さんと共に考え行動しようというものです。

そのプロジェクトの一環で、12 月 6 日に、南国市の十市小学校で「十市いのぐ塾」が開かれました。

宮城県の小学校の元校長先生は 4 ~ 6 年生に自身の東日本大震災の被災体験を語った上で、「安全に上れる高台があれば、そちらへ避難を」と話しました。

避難所生活についても触れ、「避難者はサービスを受ける人ではありません。自分にできること考えてみてください」と呼び掛けました。

安全な高台へ避難を 宮城の元小学校長訴え 南国市・十市小

宮城県・中浜小の元校長、井上剛さんの講演音声を聞く児童ら(6日午前、南国市緑ケ丘1丁目の十市小)
宮城県・中浜小の元校長、井上剛さんの講演音声を聞く児童ら(6日午前、南国市緑ケ丘1丁目の十市小)

(高知新聞  2020 年 12 月 7 日朝刊より)

南海トラフ地震への防災意識を県民に高めてもらう高知新聞社主催の「十市いのぐ塾」が6日、南国市緑ケ丘1丁目の十市小学校で開かれた。東日本大震災で被災した宮城県山元町の中浜小学校元校長、井上剛さん(63)が、津波で避難した校舎の屋上で一夜を過ごした体験を語り、「大人に頼るばかりでなく困難を協力して乗り切ろう」と呼び掛けた。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、予定していた井上さんを招いての講演会や地域住民との語り合いは中止した。代わって、井上さんが事前に録音・編集した講演の音声や画像を流す形で実施し、4~6年の児童や地域住民ら約180人が聴講した。

山元町は宮城県の南端、福島県との県境に位置する。東日本大震災の津波は、海岸から400メートル離れた同小を襲った。

井上さんと児童や住民約90人は2階建て校舎の屋上に避難。津波は周囲の民家を押し流し、校舎の2階天井まで達したが、辛うじて難を逃れたという。

水も食料もない中、衣装ケースを仮設トイレにしたり、体育館から毛布を探し出したりしながら夜を過ごした。「余震に悲鳴を上げる子もいたが、みんな懸命にこらえました」と振り返った。

十市小周辺に津波避難タワーが整備されていることに触れ、「タワーは周囲で火災が起きると逃げ場がない。できれば近くの安全な高台に避難しよう」。避難所生活についても「避難者は『サービスを受ける人』ではない。子どもたちも自分たちにできることをしっかりやろう」と呼び掛けた。

講演後、児童らは「地震の後、一番安全な高台に逃げる判断ができるようにしておきたい」「水や食べ物を準備しておく大切さが分かった」「僕たちが大人を動かせるくらい、普段から準備することが大事だと思う」と話していた。

「いのぐ塾」は本紙が進める防災プロジェクト「いのぐ」の一環。東北のブロック紙・河北新報社(本社・仙台市)の協力を得て、2016年から県内各地で開催しており、今回が9回目。(海路佳孝)

 

井上さんの講演要旨は、高知新聞ウェブサイトで読めます。記事全文を読むには会員登録が必要です。無料会員になると、有料会員限定記事が月 10 本まで閲覧できます。

この記事の著者

川戸未知

川戸未知

小4の長女と一緒に料理をし、小2の長男とゲームで遊ぶ時間が幸せ。子どもの友達と友達になるのが得意。1978年生まれ。

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