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保存食、使いながら備えよう!ローリングストックで非常時にも食べ慣れた食事を

「ローリングストック」をご存じですか?

普段から食べている食材や加工品を少し多めに買っておいて、食べた分だけ買い足していく。これがローリングストックの基本です。

「えっ、それって、普通のことじゃない?」

そうなんです。特別な準備は必要ありません。消費後に買い足して補充することを忘れないように注意しましょう。

【地震新聞】保存食、楽しく回そう「まず食べてみて、が大事」 高知県など「ローリングストック」推奨

備蓄品の特設コーナーで品定め中の公文資子さん
備蓄品の特設コーナーで品定め中の公文資子さん

(高知新聞 2021 年 10 月 20 日より)

食材庫や押し入れの奥のほう、ひょっとして非常食が眠ってませんか? 10年前の東日本大震災を機に、非常食を買いためた人も多いはず。でも、災害が来ないうちにどこに収納したか忘れた、なんてことも起こりがち。県などは、日常的に保存食を使いながら備えていく「ローリングストック」を推奨している。食欲の秋に、賢い“回し方”を考えてみませんか。

■「即ローテ入り」
高知市稲荷町のスーパー「サンシャインクラージュ」。啓発ソングの流れる一角に備蓄品の特設コーナーが設けられ、カセットこんろ用のボンベやパックごはん、カップ麺など10種以上が並んでいる。

市内の公文資子(もとこ)さん(50)が品定めしていた。「こうち減災女子部」という防災組織で活動しているという。

「備蓄というか、涼しくなったから、こんろで鍋でもしよっかな?という感覚。アルファ化米は苦手だから、レトルトごはんで。好みの食品しか家に置いてません」

新商品はまず食べてみる。「おいしければ即ローテ入り」し、自宅に常備しているカップ麺やパスタ、サバ缶などに加える。食べた分だけ買い足しているという、典型的なローリングストックの実践者だ。

ローリング―は、賞味期限が5年もあるような非常食をため込むことではない。むしろ逆で、少し保存ができて、普段から親しんでいる食材を使う。その食材を(1)少し多めに買う(2)賞味期限を見つつ食べる(3)食べた分を補充する―を繰り返す。

このやり方は、災害時に向けた訓練を日常に組み込んでいるところがミソ。県も「カセットこんろがあれば、普段食べている物が備蓄品になる」と推奨。9月から「ローリングストックの歌」を公開して普及中だ。

■「もう生活習慣」
災害時には、保存食に加えて、1人につき1日3リットルの水も必要になってくる。県内には水のローリング実践者もいる。

「ほら。これを20年以上やってるの。もう生活習慣。ほほっ」。高知市知寄町2丁目の北村佐代子さん(82)が、自宅の台所を示してカラカラ笑う。

蛇口の横に、2リットルのペットボトルが4本並ぶ。この水を鍋ややかんに移し、1日の料理やお茶に使う。空いたボトルは蛇口から補充し、奥に置いていく。これを回す。

1人暮らしで1日に使うのは2、3本。だから4本がちょうどよくて、古い水が放置されることもない。これとは別に、洗面所に12本、トイレには5本を置いている。

30年前、東京で暮らしていて断水を経験した。1日で水道は復旧したが、水が突然無くなる恐怖は忘れられないという。「こうすると、いざという時に助けになるわよ」

■「普段」意識して
いずれ本県を襲う南海トラフ地震では、県外から支援物資が届くのは4日目以降とされる。なので、各家庭は最低3日分以上を備蓄しておくことが望ましい。

しかし県の昨年度の調査では、食料を備蓄している家庭は37・9%、水は32・6%にとどまる。ローリングの実践率はさらに少ないと想定され、いざというときに食事が取れるのか不安が残る。

そこで、初心者でも試しやすいローリングストックの調理法について、災害食に詳しい県立大の島田郁子講師(56)に教えてもらった。

使ったのは、カセットこんろと鍋、そしてポリ袋だ。そこに卵と缶詰のサバを入れて湯煎したり、キュウリを入れてパキパキ砕いたり…。40分ほどで、彩り豊かな6品が仕上がった=レシピ参照。

ポリ袋を駆使した調理は「パッククッキング」といい、災害時に有効という。湯煎する際も、複数の料理を同時に作れるし、アレルギーがある人は袋を分けることもできる。

野菜ジュースをドボドボ入れて戻したアルファ化米は、チキンライスのよう。即席みそ汁には乾燥キャベツを入れた。「災害時に不足しがちなビタミンCもこうすれば取れる」と島田講師。

一緒に作った学生らは「アルファ化米は甘酸っぱくておいしい」「キャベツを入れると食感がいいし、野菜を食べている充実感がある」と好評だった。

島田講師は「乾燥野菜は直販所や道の駅に売っているので、身近な食材で始めて」。強調したのは、普段の食事を意識すること―。栄養士として東日本大震災や熊本地震の被災者を支え、食との関係を痛感したからだという。

「ストレスのかかった災害時は、食べたことがある物しか口に入れたくなくなる。必ず口に合う物を備蓄しておいて。災害食だからと、変にハードルを上げたりしないで」

ローリングストックとは、日常から離れずに繰り返すこと。たまには、あえてカセットこんろで調理したり、家族でレシピを考えたりして、楽しく災害に備えませんか。(村上和陽)

この記事の著者

川戸未知

川戸未知

小4の長女と一緒に料理をし、小2の長男とゲームで遊ぶ時間が幸せ。子どもの友達と友達になるのが得意。1978年生まれ。

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