中高生が将来を考える手助けをしたい!高知国際高の卒業生、在校生らが対話型自己分析ノート「あしあと」の製作を進めています

中学生、高校生は自分を見つめ直し、将来の道を決めていく大切な時期。その過程をわくわくしながら歩む手助けをしようと、高知国際高校の卒業生や在校生らが「トキメクBook実行委員会」をつくり、プロジェクトを進めています。
実行委員会が取り組むのは対話型自己分析ノート「あしあと」の製作。「自分を変えたターニングポイントは?」「幸せと思うことは?」などの問いかけへの答えをつづっていくことで、自分がこれから大切にしたいことなどがはっきりしていく構成だそうです。
自分たちと同じように将来に悩む人、進路を考えるのに苦手意識のある人にも「あしあと」を届けたいと、県内の中学校や高校への配布を計画中。ワークショップの開催も目指し、支援を呼びかけています。
わくわくしながら将来を考えよう 対話型自己分析ノート「あしあと」を中高生に届けたい―EINEE高知
自分たちと同世代の中高生が、わくわくしながら将来やりたいことを考える手助けができないか-。
そんな思いで、高知県立高知国際高校(高知市鴨部2丁目)の卒業生や在校生らが一つのプロジェクトを立ち上げました。対話型自己分析ノート「あしあと」の製作。ミタニ建設工業(高知市針木東町)の協力を得て編集、印刷し、県内の中学校や高校への配布やワークショップの開催を目指す「トキメクBook実行委員会」の活動に迫りました。

誰かに相談しているように
「自分を変えたターニングポイントは?」「幸せと思うことは?」「お金や時間などの全ての制約がなかったとき…。理想の暮らしは?」
対話型自己分析ノート「あしあと」を開くと、そんな問いかけが左ページに一つだけ記されています。その隣、右側のページには、問いかけへの答えをつづる欄が設けられています。
考えていくのは、自身の過去、現在、未来。過去を問う設問では、これまでの自分を見つめ直す思考が求められます。現在についての問いでは、好き嫌いや得手不得手など、今の自分が抱いている認識や感情を言語化。さらに未来に向け、これから自分が大切にしたいことは何なのかということにじっくりと向き合います。まるで誰かに相談しているかのような問答がノートの中で展開され、一つ一つ答えていくうちに自分の考えが整理でき、ぼんやりと抱いていた気持ちが明確になっていくように構成されています。

本当にやりたいことが見えてくる
プロジェクトの中心は、高知国際高校を卒業して今春から京都芸術大学(京都府)に通う楠瀬帆乃佳さん。楠瀬さんはこのノートを「自分自身を見つめ直すきっかけとなるツール」といい、やりたいことが多くて選べないという人にも、進路を考えるのに苦手意識がある人にも届けたいと考えています。
「自分の本音に向き合えるので、将来や進路を考える際に使えば、自分が本当にやりたいことが見えてくるはずです」
対話型のスタイルを採用したのは、楠瀬さん自身の経験から。誰かに質問されて初めて自分の考えに気づけたり、言葉として口に出すことでもやもやが晴れたりしたことがあったそうで、人と対話したからこそ前に進むことができたという実感に基づいているのだそうです。
同じ悩みを持つ人に届けたい
楠瀬さんは以前から、自身の性格や行動パターンなどを知って自らの特性として受け止める必要性を感じ、自己分析や自己理解に関心を寄せていました。高校進学を控えた中学3年生の時、インターネットや本を活用して取り組んでみようとしましたが、それらの多くは就職活動を対象にした内容。中高生に向けたものはあまり見つからず、悩んだ末にたどり着いた結論は「ないなら自分でつくってみよう」。そう考え、オリジナルの方法を探り始めました。
高校3年時には校内の探究活動コンテストに臨み、今回製作を目指す「あしあと」の原型となるノートを使った取り組みを発表。ノートを活用したワークショップも開いて同じ学校の友達らの進路相談などにも協力しながら、自己分析への知見を深めていきました。

そうして活動に取り組む中、「自分と同じような悩みを持つ人に届けられないか」という思いも芽生えていました。そんな時、ミタニ建設工業の地域創生事業部が企画する「自分トキメクBookを作ろう!」というワークショップの存在を知ります。グループ内で発表し合いながら冊子を使って自分の気持ちや特性をまとめていくもので、「自分と同じことに課題を持つ人がいると分かってうれしかった」と楠瀬さん。同社の小崎百葉さん、井上七海さんらの助言でクラウドファンディングへの挑戦も決め、「届けたい」がぐっと前進することになりました。
母校に仲間もできました。楠瀬さんの思いに共感して集まった2年生の東崎柚羽さん、福井彩英子さん、1年生の小松白さん、宮崎真優さんらの4人もプロジェクトに参加。ミーティングを重ねてより的確な問いかけを考えるなどして取り組みを充実させています。
プロジェクトでは8月23~25日の3日間、ノートを活用した中高生向けワークショップも計画中。楠瀬さんは、一人でも多くの中高生に役立ててもらい「将来について考える時のわくわくする気持ちを感じてほしい」と願っています。(青木一英)
プロジェクトでは、ノートの印刷代、ワークショップの活動資金などをクラウドファンディングで募っています。目標金額は200万円で、6月30日まで。
「EINEE高知」は高知県内の地域振興の取り組みを支援するクラウドファンディングです。四国銀行、READYFOR、高知新聞社の 3 社が運営しています。
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