不登校で生じる腹痛、頭痛…改善方法は?|「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を活用して学校を休ませた6割で身体症状が改善しました
不登校では「頭が痛い」「おなかが痛い」などの身体症状をきっかけに学校に行けなくなる子どもが少なくありません。
学校を休ませるべきかどうかを判断できるツールに、「学校休んだほうがいいよチェックリスト」があります。LINEで無料で利用できます。
利用した保護者への調査では、チェックリストに従って学校を休ませた結果、6 割の人が「体調不良(身体症状)が改善した」と答えました。
チェックリストの開発に携わった不登校ジャーナリストの石井しこうさんに聞きました。
目次
【不登校の身体症状】腹痛、頭痛、極度の低血圧…不安感や孤独感の現れです
不登校では、まずはじめに現れるのが身体症状と言われています。腹痛や頭痛、極度の低血圧などで苦しむ子どもは少なくありません。
石井さんによると、こうした身体症状は「強い不安感や孤独感の現れ」とのこと。「身体症状を放置すると、自殺願望が高まるなど危険な状態にもなってしまいます」
「学校に行きたくない」と子どもが訴えた場合は学校を休ませることが薦められていますが、親は「何とか登校してほしい」と考えがちです。
この際、無理に登校を促すと、子どもは「過剰適応」となってしまうそう。
「本来なら休みが必要なのに、保護者や教員が無理に登校させると、子どもは自分を強く抑え込もうとします。『自分を殺しながら学校へ通っていた』と語る子どももいます」
【学校休んだほうがいいよチェックリストとは】「休ませていい基準が分からない」という声から開発されました
「わが子を追い詰めようなんて思っていなかったのに、登校を促すことで結果的に追い詰めてしまった」
不登校を経験した保護者からは、そんな後悔も聞かれるそうです。
「子どもを休ませていい基準が分からない」という保護者の声をもとに、2023 年に開発されたのが「学校休んだほうがいいよチェックリスト」です。LINEでお友だち登録すると、無料で利用できます。
チェックリストはオンラインフリースクール「Branch」、不登校や発達障害などの人向けの個別指導塾「キズキ共育塾」、石井さんが開発し、精神科医の松本俊彦さんが監修しました。
「友達と会ったり、遊んだりすることを避けることがある」「過度に甘えたり、わがままになることがある」などの質問に 20 問答えると、松本さんから「休ませましょう」「対話の時間をつくりましょう」といった回答が表示されます。
石井さんによると、開発から 1 年で 7 万人以上が登録したそうです。
【学校を休ませた結果は?】65%が「体調不良が改善した」と答えました
今回の保護者への調査は 2023 年 10 月~ 2024 年 1 月に行われました。チェックリストを利用した 7218 人を、「学校を休ませた方がいい」という結果になった「休息推奨群」と、親子の対話を薦めた「対話推奨群」に分けて、比較しました。
休息推奨群では、実際に学校を休ませた人が 64 %。このうち、「休ませた結果、体調不良が改善した」と答えた人が 65 %でした。
一方で、学校を休ませずに「体調不良が改善した」と答えた人は 31 %と半減しました。また、対話推奨群では学校を休んでも休まなくても、改善した割合は 7 割前後と同じ水準でした。
休息推奨群では、「死にたい」「消えたい」などの不安な発言も学校を休ませた人の方が大きく減りました。
「将来のリスク」よりも「現在のリスク」を考えて
チェックリストを利用した保護者からは、こんな声が寄せられています。
石井さんによると、保護者や教員は「現在のリスク」よりも「将来のリスク」をどうしても考えてしまうそうです。
「私たち支援者は『過剰適応になる前にもっと休ませてほしい』と思っていますが、親御さんや先生方は『子どもに休みを許したら不登校になってしまう』『我慢を覚えさせた方がいいのでは』と考えてしまうんです」
子どもも保護者も不安な中で、客観的な基準となるのが「学校休んだ方がいいよチェックリスト」。「特に夏休み明けの時期にチェックリストを活用し、子どものSOSに気づいてもらいたい」と呼びかけています。
「学校休んだ方がいいよチェックリスト」はLINEでお友だち登録をすると、利用できます。詳しくはこちらから
ココハレでは石井さんの講演を紹介しています。
子どもが不登校に…親はどう対応すればいい?心が回復するまでの道筋は?|「人には不登校が必要な時もある」。不登校ジャーナリスト・石井しこうさんが講演しました