子どもの不登校、子育てに悩んだ時は?|高知市の「はまゆう教育相談所」に相談できます
高知県立塩見記念青少年プラザにある「はまゆう教育相談所」。元校長先生らがボランティアで運営しています
子育てに悩んだ時、子どもの不登校や友達関係などで困った時に、どこに相談したらいい?
そんなお父さん、お母さんを支えているのが「はまゆう教育相談所」。高知市小津町の高知県立塩見記念青少年プラザの 3 階にあります。
小学校の元校長先生らがボランティアで運営していて、無料で相談できます。どんな場所で、どんな相談ができるのでしょうか。ココハレ編集部が取材しました。
目次
1961年から活動。「相談」と「研究」に取り組んでいます
「はまゆう教育相談所」の始まりは 1961 年(昭和 36 年)。高知大学教育学部付属小学校に教育相談室が開設されました。創立 60 周年の記念誌には「校内外を問わず問題を持つ児童の相談指導と研究を始める」とあります。
活動の中心に立ったのが中岡和夫さん。小学校の教員で、校長も務めました。「学校教育のプロである教師と、子育てのプロである保護者が協力し合える場を社会に広げたい」と考え、相談所は名称や所在地を変えながら、高知の子育てや教育を支えてきました。
2016 年に塩見プラザが改修工事に入り、2017 年には相談所に常駐していた中岡さんが亡くなりました。本格的な活動ができなくなっていましたが、小学校の校長を務めていた横田隆さんら数人が可能な範囲で活動を続けました。
2019 年春に横田さんが退職。相談所に常駐できるようになり、活動が再開されました。
塩見記念青少年プラザの3階にあります
高知県立塩見記念青少年プラザは、小津高校の南側にあります。
はまゆう教育相談所は 3 階に入っています。4 階に思春期相談センター「PRINK(プリンク)」が入っています。
相談ができる個室と、子どもが過ごせるプレイルームがあります。
「子育てに関する相談」「子どもの悩みに関する相談」に対応しています
はまゆう教育相談所に常駐し、所長を務める横田さんも、元小学校長。心の教育センターの所長も務め、公認心理師などの資格を持っています。
相談は電話と面接で受け付けています。相談内容は大きく二つに分かれています。
- 子育てに関する相談…子育ての不安や子どもの捉え方についてなど。幼児期の子育て相談にも応じています
- 子どもの悩みに関する相談…不登校、友達関係など
具体的には「子どもが朝、起きられなくなった」「学校に行き渋っている」「教室に入れない」など不登校に関する相談が最も多いそう。友達など学校での人間関係や、親子関係の悩みも寄せられています。
横田さんによると、不登校の子どもは「学校に行きたくない」という思いを抱えていても、なかなか言葉には表せないそう。
「『親を悲しませたくない』という思いもあるし、弱音を吐けない子どももいます。だから、身体症状に出ることが多いんです」
治療や心理的なケアが必要な場合は専門機関につなぎ、環境調整が必要な場合は学校などと連携しています。
研修会を開催。「不登校の予防と支援のためのハンドブック」も作りました
はまゆう教育相談所の活動の一つである「研究」では毎年テーマを決めて、研修会や教育座談会を企画しています。
2024 年度のテーマは「子どもの心を育てるために、私たち大人に求められていること」で、「自尊感情と対人関係スキル」「チーム支援会の実際」などを開催。
9 月には兵庫教育大学の非常勤講師・今西一仁さんが思春期をテーマに講演しました。
子どもは思春期、親は中年期…家庭内に訪れる“危機”とは?思春期を迎えるまでにできることは?|兵庫教育大学の今西一仁さんが親子の関わりのヒントを語りました
研修会では横田さんも講演し、最近の教育相談でのトピックなどを紹介しています。
「子どもたちが『しんどい』『つらい』といったネガティブな感情を感じたり、抱えたりする機会が減り、抱えられなくなっているのではないでしょうか」
「環境との折り合いがつけられない子どもが増えている。集団でつながったり、関わったりする力をつけること、SOSを出す力をつけることが必要です」
2024年度はこれまでの教育相談や研究の成果を「子どもの笑顔を育むために 不登校の予防と支援のためのハンドブック」にまとめました。
学校教育や社会情勢など、子どもたちを取り巻く環境を理解した上で、子どもが安心して外の世界に出て行けるように「安心の土台」をつくっていくにはどうしたらいいか。
子どもを中心に、保護者と対話を重ねながら、子どもへの関わり方を一緒に考えています。
「不登校の子を持つ親の会」も運営しています
個別での相談に加えて、保護者同士が交流できる「不登校の子を持つ親の会」も運営。定期的に集まりの場を設けています。
「今は昔みたいに、井戸端会議ができる場がなくなりました」と横田さん。わが子への関わりで悩んでいることなどを出し合い、思いや気づきを共有することで、「子どもに最も身近な親御さんに元気になってもらいたい」と考えています。
わが子が不登校になると、親はその原因を探します。しかし、すぐには分からないことの方が多いそうです。
「不登校支援では、親支援がとても大事。親御さんも迷い、焦りますが、子どもについて分からないことを受け入れ、想像しながら関わってきましょう。はまゆう教育相談所に来た方に、来た時よりも笑顔になって帰ってもらえたらと思っています」
相談は予約制…まず電話で問い合わせを
はまゆう教育相談所では「子育てに関する相談」「子どもの悩みに関する相談」に対応しています。相談は予約制です。まず電話で連絡してください。
【はまゆう教育相談所】
- 住所:高知県高知市小津町 6-4、高知県立塩見記念青少年プラザ 3 階
- 電話:088-824-5058
- メール:hamayuu5058@kpb.biglobe.ne.jp
- 開設時間:月、火、木、金曜 9:30~16:00。相談は予約制です。土日も対応しています。
この記事の著者
門田朋三
関連記事[子育て]
-
子どもは思春期、親は中年期…家庭内に訪れる“危機”とは?思春期を迎えるまでにできることは?|兵庫教育大学の今西一仁さんが親子の関わりのヒントを語りました
-
親が子どものよさを伸ばす「10のヒント」とは?|子育てに取り入れたい関わり方を、高知大学大学院教授・岡田倫代さんが紹介しました
-
子どもが不登校に…親はどう対応すればいい?心が回復するまでの道筋は?|「人には不登校が必要な時もある」。不登校ジャーナリスト・石井しこうさんが講演しました
-
「子どもが毎日ゲームばかり」でゲームを取り上げるのは正解?|発達障害の子どもたちにとってのゲームやSNS、不登校への対応について児童精神科医・関正樹さんが解説しました