「習い事」「外遊び」「アトピー性皮膚炎・乾燥肌」「入浴」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より③
高知のエコチル調査の基礎データから見えてくる子どもたちの姿と、子育てのアドバイスを紹介します
環境省の「エコチル調査」(子どもの健康と環境に関する全国調査)は、化学物質が子どもの成長に及ぼす影響などを調べる調査です。
連載「ずっと、ぎゅっと!」では、高知の子どもたちの生活に関する基礎データを紹介しています。第 3 部では 5~7 歳のデータを中心に、エコチル調査高知ユニットセンター(高知大学医学部内)からのアドバイスを交えてお届けします。
この記事では「習い事」「外遊び」「アトピー性皮膚炎・乾燥肌」「入浴」をテーマに傾向を紹介します。
目次
【習い事】5歳では水泳、音楽、英語が人気です
5 歳 6 カ月の調査で、習い事について聞きました。
「習い事をしていますか」という質問に対し、「はい」が 45.4 %、「いいえ」は 54.6 %でした。
習い事の種類は「水泳」「音楽(ピアノ、バイオリンなど)」「英語」が上位を占めていました。また、一つだけではなく、複数の習い事をしているお子さんが多く見受けられました。
親の期待を重く感じると、負担になります
幼児期の習い事には、子どもの興味を伸ばす、自信をつけさせるなど多くのメリットがあります。
さらに、幼少期の習い事が青年期にどのような影響を及ぼすのかを調べた研究によると、「集中力、体力がついた」「自分に自信が持てるようになった」ことなどが報告されています。
しかし、習い事の頻度が多い場合や、親からの期待が重く感じられた場合には、習い事が負担になる可能性が指摘されています。
習い事は時間をつくって取り組みますので、有意義なものにしたいですね。そのためにも、子ども自身が主体性を持って取り組むことが大切です。お子さんのやり方を見守りながら、困った時には助け舟を出せるようにしましょう。
(監修:エコチル調査高知ユニットセンター)
【外遊び】外遊びを取り入れ、ビタミンDをつくりましょう
5 歳 6 カ月の調査で、外遊びについて聞きました。
1 日当たりの外遊びの時間は、夏冬とも「 1 時間以上 3 時間未満」のお子さんが多いものの、全体的に冬は短めの結果となりました。
「夏に外で遊ぶ時、帽子をかぶっていることが多かったですか」という質問に「はい」と答えた人は 89.4 %、「日焼け止めを使うことが多かったですか」という質問に「はい」と答えた人は 17.9 %でした。
「塾や習い事などで忙しい」「子どもだけで安心して遊べる場所が少ない」などの背景から、近年、外遊びよりも室内でゲームなどをするお子さんが多くなっています。
友達と一緒に外遊びをすることで、体力がつく、社会性の発達が促される、生活リズムが整いやすいなどのよい点がたくさんあります。1 年を通じて運動し汗をかくことで、徐々に夏の暑さに慣れていくこともできます。
ビタミンDには骨を丈夫にする作用があります
日光を浴びることで、体内でビタミンDが生成されます。
ビタミンDは、骨を丈夫にする作用があるほか、免疫作用を高めたりすることも分かってきました。魚やキノコなど食べ物から取ることも大切ですが、食事だけでは不足しがちです。
季節や緯度にもよりますが、1 日 1 時間程度の外遊びや日光浴ができると、食品から平均的に摂取できるビタミンDと合わせて十分なビタミンDがつくられます。
親子でお散歩などを取り入れてみるのもよいですね。
帽子・日焼け止めなどで紫外線対策を行いましょう
外遊びの際には、赤くなったり、ヒリヒリするまで日焼けし過ぎないよう、帽子をかぶるなどの紫外線対策をしましょう。
夏は涼しい服装や、小まめな水分補給、涼しい場所での休憩、直射日光を避けるなど、熱中症対策も心掛けましょう。
(監修:エコチル調査高知ユニットセンター)
【アトピー性皮膚炎・乾燥肌】治療は「スキンケア」「薬」「悪化要因への対策」です
過去 1 年間でアトピー性皮膚炎になったことがあるかどうかを聞きました。6 歳では 16.1 %、7 歳で 17.2 %となりました。
乾燥肌は、6 歳、7 歳とも 40 %台でした。
アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。皮膚のバリアー機能が低下しており、皮膚の外からさまざまなものが侵入しやすく、皮膚に炎症が起きます。
アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は一つではありません。
【アトピー性皮膚炎を悪化させる要因】
- ダニ、カビ、ペット、花粉などのアレルゲン
- 皮膚の黄色ブドウ球菌
- 汗、汚れ
- ストレス
- 体をかく行為
- 肌の乾燥
- 食物
- 皮膚への刺激物
これらの要因が重なり合って起こることが多く、医師の指導のもと、治療・対策を進めることが大切です。
ダニ、カビが育ちにくい「湿度60%以下」を心掛けましょう
治療の基本は次の三つです。
【アトピー性皮膚炎の治療】
- スキンケア…体をきれいに洗って保湿する
- 薬物療法
- 悪化要因への対策…ダニやペットなどのアレルゲン、汗、ストレスなど
汗をかいたり、体が汚れたりしたら、刺激の少ないせっけんを泡立てて優しく包むように洗いましょう。しっかり洗い流し、タオルで優しく押すように拭き、その後、保湿をします。
湿疹には、炎症を取るステロイド剤などの薬を塗ります。薬の量や塗り方がとても重要です。
ダニ対策では、フローリングの床がおすすめです。床に加えて寝具にも掃除機をかけましょう。カーテン、ぬいぐるみ、クッションなど布製品で洗えるものは洗濯機で洗いましょう。
部屋の湿度が 60 %以下だと、ダニやカビが育ちにくくなります。湿度計を用いて、梅雨など湿度の高い時季は除湿器を利用しましょう。
花粉にアレルギーがある場合は、花粉が飛散する時季は洗濯物や布団を室内干しにしましょう。
(監修:小児科医・大石拓さん)
【入浴】お風呂に入って体を温めると、寝つきがよくなります
5 歳 6 カ月の調査で、入浴について聞きました。
「 1 週間に平均何回、お風呂(バスタブ)に入りますか」という質問では、「 7 日以上」が最も多く、59.3 %でした。
「シャワーのみで済ませる」という人は「 1~2 回」が 14.2 %、「 7 回以上」は 16.8 %でした。
お風呂は大人が「少しぬるい」と感じるお湯が適温です
お湯につかって一度上昇した深部体温は、時間がたつにつれて徐々に低下していきます。その時に眠気が強くなりますので、入浴は夕食直後は避け、就寝時間の 1〜2 時間前をめどにすると、眠りにつきやすくなります。
お風呂の温度は、大人が少しぬるいと感じる温度( 40 度以下)がよいでしょう。熱過ぎるお湯は交感神経を刺激するため、体が興奮状態になって寝つきにくくなります。肌のバリアー機能を損ねる恐れもあるので、特にアトピー性皮膚炎があるお子さんは気をつけましょう。
入浴剤を使う場合は、刺激の少ないものを少量から試すようにしましょう。
肌に湿疹などがあり、花粉やほこり、汗などで皮膚が汚れた際には、シャワーを浴びて皮膚を清潔に保つことも大切です。
体調が悪い時は短時間で汗を流す程度に
発熱など体調が悪い時でも、機嫌がよければお風呂に入っても大丈夫です。お風呂は体力を消耗しますので、短時間にするか、シャワーで汗を流す程度にしましょう。
入浴後は水分補給をし、冬場は湯冷めしないように気をつけましょう。
気になることがあればかかりつけ医に相談しましょう。
(監修:エコチル調査高知ユニットセンター)
第 3 部、ほかの記事はこちらから
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「一緒に過ごす時間」「睡眠時間・就寝時間」「食物アレルギー」「花粉症」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より②
「パートナーとの関係」「子どもとのコミュニケーション」「子育ての相談相手」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より④
「おねしょ」「加熱式たばこ・電子たばこ」「一緒に遊ぶ機会」「予防接種」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より⑤
エコチル調査について
エコチル調査は 2011 年に始まった追跡調査です。全国から 10 万組、高知県からは約 7000 組の親子が参加し、年 2 回の質問票に答えています。
調査期間はお母さんの妊娠期から、生まれた子どもが 13 歳になるまでの予定でしたが、18 歳まで継続されることになりました。
高知県内のエコチル調査は、高知大学医学部内にあるエコチル調査高知ユニットセンターが行っています。
第 3 部で紹介するデータは、2022 年 6 月時点の高知県内の回答に基づく暫定的な結果です。データは四捨五入しており、加算値が 100 %にならない場合があります。
ココハレの「エコチル調査」で「ずっと、ぎゅっと!」を掲載しています。