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たたく、暴言を吐く、困らせる…「どうしてそんなことするの!」と叱っていませんか?|子どもの困った言動への関わり方について、高知大学教授の是永かな子さんが語りました

たたく、暴言を吐く、困らせる…「どうしてそんなことするの!」と叱っていませんか?|子どもの困った言動への関わり方について、高知大学教授の是永かな子さんが語りました

子どもの発達段階を理解して関われていますか?はまゆう教育相談所の研修会から子育てのヒントをお届けします

お友だちやきょうだいをたたいたり、暴言を吐いたり、誰かを困らせたり…。お子さんの言動で「どう関わればいいのかな?」と思ったことはありませんか?

困った子どもの言葉や行動について、「はまゆう教育相談所」の第 1 回子育て応援セミナーで、高知大学教授の是永かな子さんが講演しました。

子どもがトラブルを起こすと、「なんでそんなことをしたの?」とつい理由を聞きたくなるもの。

でも是永さんは、「なぜ?」と叱るよりも「これからどうしたい?」と未来に目を向ける声がけを勧めます。子どもの自己決定を支える関わり方や、日々の子育てで取り入れたいヒントを具体例とともに紹介しました。

「はまゆう教育相談所」では不登校や子育ての相談に乗っています

「はまゆう教育相談所」は高知市小津町の高知県立塩見記念青少年プラザにあります。小学校の元校長先生らがボランティアで運営していて、無料で相談できます。

子どもの不登校、子育てに悩んだ時は?|高知市の「はまゆう教育相談所」に相談できます

はまゆう教育相談所は高知県立塩見記念青少年プラザの3階にあります
はまゆう教育相談所は高知県立塩見記念青少年プラザの3階にあります

活動の一つに「研究」があり、毎年テーマを決めて研修会や教育座談会を企画しています。

2026 年度のテーマは「子どもの笑顔を育むために、私たち大人は?~子育てとは、大人がともに育つこと~」で全 7 回開かれます。

第 1 回は「その困った言葉や行動、理由があります~見方やとらえ方を変えると、かかわり方が変わる~」と題して 5 月 23 日に開かれました。

毎年テーマを決めて、研修会を開いています
毎年テーマを決めて、研修会を開いています

講師は高知大学教育学部の教授・是永かな子さん。研究分野は「特別支援教育」で、スウェーデンなど北欧の教育制度や特別支援教育、特別ニーズ教育の歴史や実態を研究し、県内でも特別支援教育などに携わっています。

日本ギフテッド・2E学会」の会長も務めていて、先天的に高い知能や特異な才能を持つ「ギフテッド」の人や、ギフテッドと発達障害の特性を併せ持つ「2E(ツー・イー)」の人を支援しています。

【たたく、暴言を吐く】言葉が出づらい場合も。叱る時は「部分」で伝えましょう

セミナーは、年齢ごとの発達の特徴を踏まえながら、親が戸惑いやすい言動への向き合い方を紹介。「たたく」「暴言を吐く」といった行動の話から始まりました。

言葉がまだ出づらい子どもは、手がぱっと出て、他の子をたたいてしまうことがあるといいます。親としては「何でそんなことするの!」と真っ青になってしまいますが…。

叱る時は「『なんて悪い子なんだ』というふうに言うと、人格否定になってしまいます」と是永さん。

「この手が良くなかったね」などと、「部分」で叱るようにしましょう
「この手が良くなかったね」などと、「部分」で叱るようにしましょう

代わりに心がけたい言い方が「部分で叱ること」。「この手が良くないね」「この手を押さえられるようにしたらいいね」と伝えます。

同じく暴言を吐く子どもには、「このお口を収められるようになりたいね」。

自分がコントロールできなくてイライラしている子どもには「わざとじゃないもんね」「こうしたかったんだよね」と寄り添います。

【周りを困らせる、こだわりがある】代わりの行動を具体的に示しましょう

周りを困らせていることに気付いていない子どももいます。

例えば、静かに話を聞かなければいけない場面で発言してしまうといったケース。「『今じゃないよ』とただ叱っても、子どもはどうすればいいのか分かっていないことがあります」

そんな時は、「今いきなり発言するとびっくりするから、後で質問の時間に聞いてくれる?」などと伝えるといいそう。「こうしようね」と代わりの行動を具体的に示してあげます。

問題行動を修正する時は、代わりの行動を具体的に示します
問題行動を修正する時は、代わりの行動を具体的に示します

こんなケースはどうでしょう。

子どもが川の魚に向けて砂を投げます。水や砂を入れた物を用意して「ここに砂を投げてもいいよ」と言っても、川にしか投げません。

 

こだわりが感じられますね。言葉で言い聞かせるのが難しい時は、どうすれば?

是永さんは、例えば水を入れたものを用意して投げさせてみる、といった「代替行為にチャレンジすること」はとても大切だと話します。

「『これならいいよ』と代わりになる行動を示して、問題行動を修正してください。いろいろ試行錯誤する中で、子どものこだわりに『はまった!』という代替行為が見つかると思います」

【やりたがらない、自信がない】プロセスをほめて。自己決定と失敗も大切

「やりたくない」「怖い」…。失敗を恐れて自信がなく、奥手な子どもには、つい背中を強く押したくなりますが…。

無理やりやらせるのではなく、「じゃあいいよ」と突き放すこともせず、「まず他の人がやっているところを見せましょう」。

「こうやるんだ」「すごいね」と大人が説明しながら、他の子どもがいれば、その子どもを誘いに行かせます。

できた時にほめるコツは、「具体的」「プロセス中心」に。例えばこんな声かけです。

  • 練習をこつこつ続けて頑張ったね
  • 〇〇する時、一つずつ丁寧にしていたね

「どこが大変だった?」と尋ねて共有することもいいそう。

「こだわりが強かったり、熱中していたりする子どもには、ぜひ“ほめられたいポイント”を本人に聞いてみてください」

「ほめられたいポイント」を聞いてみるのもいいですね
「ほめられたいポイント」を聞いてみるのもいいですね

さてここで質問です。

「今日は雨が降るから傘を持って行きなさい」と親に強く言われて傘を持って行ったけど、雨は降らなかった。傘を持って行ってしまったのは親のせい?それとも断れなかった自分のせい?

 

皆さんはどう感じますか?私が子どもだったら…「親のせい」にします!

是永さんのポイントは、挽回が可能なことに対して「親は言い過ぎていませんか?」ということ。

「親は、子どもが雨にぬれて風邪を引いたらいやだなと思います。でも、ぬれたら着替えたりお風呂に入ったりすればいいんです」

挽回ができる範囲で、子どもに自己決定させて失敗もさせること。そして自分で考えたことを人のせいにせず、「次はどうしたらいいかな」と考えさせることが大切だと話します。

「いつも先回りして、“転ばぬ先の杖”を渡しすぎて転び方を知らないと、転んだ時に大きなけがになります。失敗しても『大丈夫だ』と思って、はい上がれる力が大切ですよ」

【トラブル、文句】まずは傾聴。「なぜ」より「どうしたいか」聞きましょう

子育ては「待つ」こと、とよく言われます。でもこれが難しいですよね。例えば「暑い」と言われたら親がエアコンを付けたり、「こぼしちゃった」と言われたら「もう!」と言いながらさっさとふいたり…。

「文句を言っている子どもは、周りが共感しすぎるか、大人が解決しすぎていることがあります。大事なのは『どうしてほしいか』を言えることです」と是永さん。

ここで親にとって大切なのが「傾聴」だそうです。ポイントは 3 つ。

  1. 繰り返すこと
  2. 大人が気にしすぎないこと
  3. 子どもの話を先取りしないこと
「どうしてほしいか」を言える子どもに
「どうしてほしいか」を言える子どもに

こちらは子どもが誰かに「たたかれた」と言ってきたケース。親は心配になりますが…。

子ども
〇〇が、たたいてきたの!
たたいてきたのね。
子ども
痛かった!
痛かったね。
子ども
うん…。
そうなんだね。それで?
子ども
もういいや。遊んでくるね!

 

ただ繰り返して聞いてあげることで、子どもは自分で気持ちを切り替えられるようになるといいます。

「落ち着くまで『そうか、そうか』と聞いてあげる。大人ががーっと感情移入しすぎてしまうと、『大変なんだ』と子どももパニックになります。大人が考えすぎないこと、話を先取りして解決策を出さないことも大事です」

大人が考えすぎないことも大切だそうです
大人が考えすぎないことも大切だそうです

逆に子どもが良くないことをした時、親は「どうしてそんなことをしたの!」と言いがち。身に覚えがあります…。

ただ「『なぜ?』は過去を見ている言葉。人を責めがちでもあります」と是永さん。

大事なのは「どうしたらいいと思う?」という問いかけ。「明日、そして未来に自分が何をするか、という話を聞けるといいですね」

明日に向けた話ができるといいですね
明日に向けた話ができるといいですね

ある高校生が「〇〇先生の授業は意味が分からない」と怒っていたことがあるそうです。

その本心は、怒りや文句ではなく、実は「困っているから助けて」。「どう勉強したらいいんだろう」と分からず困っていたといいます。

「自己決定させるために、『何か困ったことがあるの?』『何を支援してほしいの?』という言葉で本心を探ってあげましょう」

親の気持ちは子どもに伝わる…不安を見せず「上機嫌」に巻き込んで

子どもたちは騒いだりけんかしたり…。親はイライラしてしまいますが、そんな時に抑えようと大きな声を出すと、子どもたちは余計にヒートアップしがちですね。

興奮も不機嫌も親の気持ちは子どもに伝達します」と是永さん。親が心がけたいのが、落ち着いて“通訳”をすることだそう。

「わーっとなってる時こそ落ち着いて、『どうした?』『〇〇ちゃん、こうらしいよ』と会話に入り、子どもの通訳になることが大事です」

子どもが騒いでいる時こそ大人は落ち着いて
子どもが騒いでいる時こそ大人は落ち着いて

「不安」も同じ。新しい環境に変わる時や、友達との関係、勉強のことなど、親の心配は尽きません。それでも親が子どものことで不安そうにしていたら、子どもはもっと不安になるといいます。

親が不安になる時は、子どもの力を信じていない時もありますよ」と是永さんは語ります。

「子どもの不安には注目しすぎず、『つまづいて失敗して転んでも大丈夫』と思って背中をポンと押してあげてください。『お父さん・お母さんも頑張るからねー!』と大人の上機嫌に子どもを巻き込んであげてくださいね

大人の上機嫌にうまく巻き込んであげましょう
大人の上機嫌にうまく巻き込んであげましょう

ココハレ編集部員も子育て中ですが、耳の痛い話がたくさん。子どもが何かすると、「何でそんなことをしたの!」と口癖のように言ってきました…。

子どものことで親が不安になったり悩んだりした時、「子どもの力を信じていないこともあるのでは」という話も、どきっとしました。子どもは親が思うより意外とたくましかったりしますよね。「転んでも大丈夫!」と、決断も失敗もさせてあげられる親になっていきたいです。

2026年度の研修会日程はこちら

2026 年度のテーマは「子どもの笑顔を育むために、私たち大人は?~子育てとは、大人がともに育つこと~」。2027 年 2 月 20 日(土)まで 7 回開かれます。

研修会の様子をココハレでレポートしていきます。

この記事の著者

徳澄裕子

徳澄裕子

小学4年生の男の子の母です。「一緒に遊ぼう」と言ってくれるうちは、体力を振り絞って頑張りたいと思います。1986年生まれ。

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