「ペアレント・プログラム」を受けてみた⑥|「行動で見る」を日常に
褒めるこつを学ぶ「ペアプロ講座」をココハレ編集部員がリポートします
子どもの困った行動を理解し、褒めて育てるこつを学ぶ「ペアレント・プログラム(ペアプロ)」。5 歳児と 2 歳児を育てるココハレ編集部・門田が高知市内で開かれている講座を受講し、全 6 回のシリーズでリポートします。
最終回の 6 回目のテーマは「ペアプロで見つけたことを確認する」。6 回の講座で気づいたこと、変わったことを振り返りました。
「『ペアレント・プログラム』を受けてみた」シリーズはこちらから
「デンジャラス」を探ると、対応方法が増えました!
高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」で開かれているペアプロ講座もいよいよ最終回。「自分編」と「子ども編」(私の場合は 5 歳長女)に分けて、「いいところ」「努力しているところ」「困ったところ」を書き出す現状把握を続けてきました。
5 回目の講座では「困ったところ」がどんな場面で起きるかを考えました。「デンジャラス(危険)」を見つけ、デンジャラスとは逆の状況を考えることで、困ったところに対応する「ギリギリセーフ行動」を見つけていきました。
清書したものがこちら。まずは「自分編」。
私はいろいろと書き出していた「困った行動」を「怒る」と、「子どもに『めんどくさい』と言ってしまう」「子どもにちゃんとすることを求めすぎる」という 2 種類に集約させ、対応方法を考えました。
「怒る」「めんどくさくなる」の状況は自分に余裕がない時、そして夫の理解が得られない時だと発見!「余裕をつくること」と「夫に気持ちを冷静に説明すること」を心掛けるようになりました。
続いて、「子ども編」がこちら。
「子ども編」では「かんしゃく」と「妹との関係」に大きく二分されました。長女が「気に入らない」と泣き始めると、これまでは「またか…」とうんざりしながら泣きやまそうとしていました。
「デンジャラス」を探ることで、気持ちをそらしたり、他の遊びを提案したり、時には気の済むまで泣いてもらったり、ずいぶんと“あの手この手”のアイデアが増えたように思います。
最後の宿題!皆さん、発言の内容が変わりました!
6 回目の講座では「子どもの『ギリギリセーフ』を褒める」という宿題が出ていました。冒頭でそれぞれが発表しました。
- 歯磨きをすごく嫌がるので困っていたが、「歯ブラシを自分で口に入れる」ということを継続して褒めていたら、自分で口を開けて磨かせてくれるようになった。3 秒くらいだけど、ちょっとでもできて、すごく感動した
- 夜寝なくて、お布団から脱走する。お布団に入れた時に「お布団に入れたね」と褒めたら、「おめめも閉じれるが」と得意そうだった。その後、やっぱり脱走したけど、まあいいかな
- 朝、着替えずにごろごろするのに困っていたが、時計を見て着替えるようになった。「今日は何も言わなくてもできたね」と褒めると、ニンマリした。親がたくさん言わなくても、やるようになった
- 公園でブランコを妹と取り合い、交代してもらえなかった。私は口出しせずに見ていたら、妹に「替わって」と言った。それでも替わってもらえず、どうするのかなとさらに見ていたら、ボールで遊びだした。これまでは泣いていたけど、気持ちが切り替えられたのかな
私は 4 人目のお母さんと同じようなエピソードを話しました。発表を聞いた講師の土居寿美子さんは「お母さんの行動が変わりましたね!」と拍手しました。
確かに、ペアプロ講座を受けるようになって、ちょっとしたことがとてもうれしかったり、「まあいいか」とやり過ごしたり、あれこれ口出ししていたのをやめて見守ったりということができるようになったなと感じます。
一番初めの「現状把握表」を見返してみると?
この日は「振り返り」ということで、1 回目の講座で書いた現状把握表と、今の表を見比べました。
「自分編」の 1 回目はこちら。
今の表がこちら。
見比べると、1 回目では「困っているところ」の何が困っているのかが分かっていませんでした。「子どもを怒ったら駄目だ」と分かっているのに怒ってしまうことにイライラしていました。
「怒りっぽい」というのは私の性格で、変えようと思ってもなかなか変えられるものではありません。だからこそ、「朝と夜に時間がないとイライラする」「夫に分かってもらえないと腹が立つ」といった「デンジャラス」を見つけ、なるべく避けていく方が今の私に合ってるかなと思います。
他のお母さんからはこんな意見が出ました。
- 最初のころは「ちゃんとしないといけない」という考えがあったけど、真面目に考え過ぎてたと気づいた
- 自分のいいところは探せなくて、逆に困ったところはあり過ぎて、どうにもならない状況だったけど、「今日はこれくらいできたからいいことにしよう」と考えることができるようになった
- 「困っていることを回避する」という考え方を知り、気持ちが楽になった
続いて、「子ども編」です。1 回目の長女の表はこちら。
今の表がこちら。
お恥ずかしい話ですが、5 歳の子どもに対し、あれこれと要求してきた上に、常に「 100 点」を求めてきていたんだなと反省します。歯磨きなどの生活習慣について、「毎日ちゃんとできないと、それは『できた』ことにならない」と考えていました。長女も息苦しかったのではないかと思います。
最近は、朝ご飯や歯磨きで多少だらだらしても、あれこれ言わないようにスルーしています。その結果、やりたいことをする時間がなくなって怒りだした時に「決められた時間に終わらせたらよかったんだよ」と説明しています。子どものためによかれと思い、ガミガミ追い立てて表面上の形を整えるよりも、うまくいかなかった経験から学ぶことがあるのかな…と思います。
他のお母さんからはこんな意見が出ました。
- 日常の「いいところ」「努力しているところ」は当たり前だと思い、意識していなかった。できないことばかり気になっていた
- 「困ったところ」は親の都合だったかな
- 子どもは小学生なので、「困ったところ」の理由を聞くと、子どもなりに理由を話してくれる。これからも「何でかな」を大切にし、掘り下げていきたい
- 講座を受けた 3 カ月で、子どもが成長したなと感じる。行動面で「困ったところ」が多いけど、ずっとこうではない。いちいち叱らずに、どーんと構えていたい
「修了証書」まで頂きました!
他のお母さんの話を聞きながら、「そうそう」という相づちが最も多かったのも 6 回目の講座の印象です。「子育て」はプライベートなことですし、自分の性格や家庭の状況が反映されるので、本当に「困っているところ」は言いづらかったり、恥ずかしかったりします。「ちょっと自分をよく見せたい」という心理も働きます。
今回のペアプロ講座では、参加者の共通点は「子育て中」と「いるかひろばの利用者」ということのみでした。そんな緩いつながりだからこそ、あれこれ話せたのかなと感じました。
土居さんからはこんなお話がありました。
「親は『私が産んだ子』として子どもを見てしまいますが、子どもと親は人格も気質も違います。『家族だから考え方は同じ』というわけでもありません。だからこそ、自分と子どもの『いいところ』『努力しているところ』『困ったところ』を行動で把握することが理解につながります。これからも時々、現状把握表を書いてみてください。親も子もハードルを下げて、『いいところ』をたくさん見つけていきましょう」
そして最後に、一人一人に「修了証書」が手渡されました。大人になると、賞状を受け取る機会はないですね。皆さん、照れくさそうに受け取っていました。
私も頂きました!
特に第 1 子の子育ては常に「初めて」の連続です。長女の成長とともに新たな悩みや困りごとが増えていくでしょう。
うまくいかない時は、ペアプロで学んだ「子どもを行動で見る」「デンジャラスを探る」「困っていることの中にギリギリセーフを見つける」が役立つと思います。自分の気持ちを話せるようになってきた長女にも意見を聞きながら、その時期、その時期の子育てを楽しんでいきたいと思います。