「安産祈願」の朝峯神社が子育て支援を始めます|マタニティヨガ、パパママ教室…新しい社務所で交流イベントを計画中
安産祈願で知られる朝峯神社(高知市介良乙)が子育て支援を始めます。
新しくなった社務所にはキッズスペースを設置。マタニティヨガや、保健師さんや助産師さんら専門家を招いての「パパママ教室」を計画しています。
どうして神社が子育て支援を?
33 代目祢宜(ねぎ)の野村承偉さんに思いを聞きました。
“安産神社”で子育て支援 高知市の朝峯神社 社務所建て替え交流イベント―EINEE高知
(高知新聞PLUS 2024 年 12 月 1 日掲載)
高知市内に子育て支援を始めた珍しい神社があります。安産祈願で知られる朝峯神社(高知市介良乙)。社務所を建て替え、キッズスペースを設置。妊婦向けのヨガ教室や、パパママ教室などを定期的に開き、子育て世代が抱える不安や孤独感を和らげていこうと挑戦しています。
地域との関係性が希薄に
朝峯神社は地区の「介良富士」のふもとにあります。その歴史は古く、33 代目祢宜(ねぎ)の野村承偉さんによると、西暦 800 年代後半には既に鎮座していたと伝わっています。安産、子授けの神様「木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」が祭られています。
安産祈願から誕生後の命名、お宮参り、七五三。子どもの成長の節目を一緒に祝い、祈りを捧げるのも神社の大切な役割の一つ。朝峯神社でも祈祷を行ってきましたが、近年は「地域との間に関係性の薄まりを感じるようになっていた」と野村さん。企業の社屋や住宅の地鎮祭など外に招かれる機会が増え、神社での祈祷は年に 10~20 回ほどと減っていました。
「子育てを相談できる人がいない」
野村さんは2022年に高知に戻り、祢宜を受け継ぎました。当時、お宮参りや七五三で訪れた参拝者から聞いたのが「子育てを相談できる人が周囲にいない」との声。「ワンオペ育児で不安」という母親もいました。
「子育て世代が抱える深刻な孤独を感じた」と野村さん。神社から子育て世代に発信ができないかと考えました。
まず、ウェブサイトを開設し、神社の由来や祈祷について紹介。SNSや屋外広告も活用し、介良地区以外にも朝峯神社の存在を伝えました。認知度は少しずつ高まり、今では神社での祈祷が月 10 回を超えています。
参拝者が増える中で浮かんだのが「せっかく訪れてもらうなら、親子でもっと過ごしやすい場所に」という思い。地域住民らの協力を得て昨夏、社務所の建て替えに着手。12 月 8 日に落成式を迎えます。
キッズスペース開放、マルシェ 親子が安心して過ごせる場に
新しい社務所は木造 2 階建て。1 階の椅子は畳敷きの広い座面で、子どもが横になれる仕様に。授乳室、ベビーベッドなど、子育て世代に必要な設備が備えられます。2 階に設けたフリースペースでは、マタニティヨガを毎月開催予定。保健師や助産師ら専門家が講師を務める「パパママ教室」も検討されています。
さらに、境内では子ども連れでも楽しめるマルシェを計画中。キッズスペースも開放するなど、親子が散歩がてら神社に立ち寄り、安心して遊べる「子育て支援スペース」としても活用していきたいと考えています。
「これから子育てする人々から、少しでも不安な気持ちや悩みを減らしたい。安産を願い、誕生後は子育てを語り合える神社にしていきたい」と語る野村さん。地域とともに歩んできた朝峯神社は、子育て支援という新しい活動を充実させながら、新しい命と成長する家族に寄り添っていきます。(吉川琴子)
朝峯神社は子育て支援に必要な環境整備を目指し、クラウドファンディングで支援を呼びかけています。目標金額は 30 万円で、ベビーベッドやキッズスペースの備品などに使われます。来年 1 月 15 日まで。
「EINEE高知」は高知県内の地域振興の取り組みを支援するクラウドファンディングです。四国銀行、READYFOR、高知新聞社の 3 社が運営しています。