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障害のある子どもたちが楽しめる花火大会を続けたい|11/30(日)にヤ・シィパークで「ユニバーサル花火大会」。インクルーシブへの理解を広げるため、支援を呼びかけています

障害のある子どもたちが楽しめる花火大会を続けたい|11/30(日)にヤ・シィパークで「ユニバーサル花火大会」。インクルーシブへの理解を広げるため、支援を呼びかけています

香南市夜須町のヤ・シィパークで 2025 年 11 月 30 日(日)、「ユニバーサル花火大会」が開かれます。

ユニバーサル花火大会はNPO法人「YASU海の駅クラブ」が  2022 年から開催。障害のある人たちにマリンスポーツ体験をする中で、「花火大会に行ったことがない」「車いすの人を連れて行ったら気を遣う」という声を聞き、始めました。

障害のある子どもやその家族を毎年招いていて、「迫力があって最高」「子どもにとって初めての花火大会で楽しめた」と好評だそうです。花火大会の継続と、人を障害の有無などで分けない「インクルーシブ」への理解を広げていくため、クラウドファンディングで支援を呼びかけています。

「誰もが自由に楽しめる」インクルーシブな花火大会を 香南市のヤ・シィパークで11/30開催 ―EINEE高知

(高知新聞PLUS 2025 年 10 月 31 日公開)

障害者支援施設や放課後等デイサービス、児童福祉施設などに入所・通所する子どもたちや家族を招き、楽しんでもらう「ユニバーサル花火大会」が11月30日、香南市夜須町のヤ・シィパークで開かれます。主催するNPO法人YASU海の駅クラブ(同市)は、花火などに必要な運営費への支援をクラウドファンディングで呼びかけています。

「誰もが楽しめる花火大会」を続けていきたいと願う、NPO法人YASU海の駅クラブ理事長の丸岡克典さん=中央=とスタッフ(香南市夜須町千切)
「誰もが楽しめる花火大会」を続けていきたいと願う、NPO法人YASU海の駅クラブ理事長の丸岡克典さん=中央=とスタッフ(香南市夜須町千切)

海の駅クラブは2004年に結成。02年のよさこい高知国体で地元の手結沖がセーリング会場になり、その際に整備されたヨットやカヌーの艇庫などを有効活用するためでした。

スローガンは「誰のものでもない海で 誰もが楽しむマリンアクティビティを」。シーカヤックやSUP(スタンドアップパドルボード)体験といったスポーツ振興や、小中学校の課外授業受け入れなどを通して青少年の育成にも取り組み、マリンスポーツ愛好者や住民らと協力してビーチの清掃も行っています。そして、障害がある人たちにマリンスポーツを体験してもらうサービスも長年提供してきました。

ユニバーサル花火大会の開催は、そうしたサービスの利用者やその家族らの言葉がきっかけでした。スタッフが何げない会話の中で「手結で花火がありますよ」と言うと、「花火大会は行ったことがない」「家族で見たことがない」との返答。「車いすの人を連れて行ったら、人混みの中で邪魔にならないかと気を遣うから」と自重していることを知りました。

クラブには「地域のために活用してほしい」と会員から託された寄付金がありました。物品を買う手もありましたが、それをユニバーサル花火大会の開催に充てることにしました。クラブが重視するのは、インクルーシブ(人を障害の有無などで分けない)の精神。花火を見たくても行けない人、遠くからしか見られない人、そんな人たちやその家族が気兼ねなく来られる花火大会を開けば、寄付の趣旨にもクラブの活動にも沿うからです。

目の前で打ち上がる花火を楽しみました(香南市夜須町のヤ・シィパーク)
目の前で打ち上がる花火を楽しみました(香南市夜須町のヤ・シィパーク)

2022年10月15日、ヤ・シィパークで500発の花火が打ち上がりました。地元の子どもたちや市内外の障害者ら約350人が集まり、ビーチ沿いの舗装道から光のショーを楽しみました。

「ヤ・シィパークはそもそも『ユニバーサルビーチ』の発想で造られた公園なんです」と、クラブ理事長の丸岡克典さん。スロープやウッドデッキを使えば、車いすの人たちも浜辺付近まで行くことができました。さらに丸岡さんは「手結は水中花火が名物。下から広がる、上から落ちる花火を一緒に見ると、何とも言えないんです」としみじみ振り返りました。打ち上げるのは観衆の先、わずか100メートルほどの地点。大喜びで手を振られ、歓声を耳にした花火師さんも「感動した」と話していたのだとか。

ウッドデッキを使えば移動も楽に。ヤ・シィパークはユニバーサルビーチを念頭に造られました(香南市夜須町)
ウッドデッキを使えば移動も楽に。ヤ・シィパークはユニバーサルビーチを念頭に造られました(香南市夜須町)

「本当にきれいで迫力があって最高」「頭の上に落っこちるんじゃないかと思うくらい間近」「子どもにとっては初めての花火大会で楽しめたと思います」。開催後に実施したアンケートでは、「大変感動」という評価がずらりと並びました。

にぎやかな光のショーに、参加者から喜びの声が集まりました(香南市夜須町のヤ・シィパーク)
にぎやかな光のショーに、参加者から喜びの声が集まりました(香南市夜須町のヤ・シィパーク)

花火大会はその後毎年続き、今回で4回目となりますが、運営費が課題となっています。丸岡さんの理想は「循環型」。訪れた人や子どもたちが「次のために」と少額からでも寄付してくれたら、趣旨に賛同した企業や団体が力を貸してくれたら…と持続に向けてさまざまな手法を模索しており、今回はクラウドファンディングで広く協力を呼びかけることにしました。善意の輪が広がり、第2目標の金額にまで達すれば花火の追加も考えています。

「車いすの利用者や障害者が花火を見にきた時、知らん間にそこを空けて皆が見ている…となれば理想的ですね」。丸岡さんは花火大会の継続だけでなく、インクルーシブへの理解がさらに進むことを期待しています。(藤枝武志)

クラウドファンディングの目標額は50万円で、12月1日まで支援を呼びかけています。

「EINEE高知」は高知県内の地域振興の取り組みを支援するクラウドファンディングです。四国銀行、READYFOR、高知新聞社の 3 社が運営しています。

この記事の著者

ココハレ編集部

ココハレ編集部

部員は高知新聞の社員 4 人。合言葉は「仕事は楽しく、おもしろく」。親子の笑顔に出合うことを楽しみに、高知県内を取材しています。

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