離乳食の軟らかさはどれくらい?保健師さん、栄養士さんに聞きました
生後 5 、 6 カ月頃からスタートする離乳食。「うまく作れるかな」「ちゃんと食べてくれるかな」…。特に初めての子育てでは、分からないこと、不安なことがたくさんありますね。
月齢に沿った離乳食の軟らかさを実際に確かめる離乳食教室がこのほど、長岡郡本山町の子育て支援センターで開かれました。離乳食を進める際のポイントや便利な冷凍保存の注意点などについて、保健師さん、栄養士さんに聞きました。
目次
離乳食教室「ザ!お茶碗!DASH」
離乳食教室が開かれたのは、本山保育所内にある子育て支援センターです。子育てについて「ママだけでなく、パパ、じいじ、ばあばみんなで話ができる場」として 2020 年度に始まった「まぱじば教室」として企画されました。
テーマは「ザ!お茶碗!DASH ~来て 見て 触れて 離乳食~」。人気テレビ番組をもじったユニークなタイトルです。親子 6 組が参加し、町の保健師の津浜由依さんと栄養士の高橋千尋さんが講師を務めました。
離乳食開始は“サイン”に注目!
離乳食を始めるタイミングは「生後 6 カ月前後」とされています。津浜さんによると、この「6 カ月」には理由があるそう。
「0 ~ 2 カ月、3 ~ 5 カ月の赤ちゃんは、1 日に必要なエネルギー量を母乳やミルクだけで補えます。6 カ月を過ぎると、母乳やミルクだけでは足りなくなるので、食事で補うことになります」
ただし、「6 カ月になったから即、始めなければ」というものではありません。「予定日より早く生まれた赤ちゃんもいれば、成長がゆっくりな子もいます。子どもの様子を見ながら進めることが大切です」
始めるタイミングになると、赤ちゃんはいろいろな“サイン”を出します。代表的なのが次の四つだそうです。
- 首の据わりがしっかりしてきた
- 支えると座ることができる
- よだれが増える
- 食べ物に興味を持つ
食材の軟らかさはヨーグルト、絹ごし豆腐、バナナ、肉団子
次に食材の軟らかさについて。こちらも書籍やインターネット上にたくさん情報がありますが、「実際に触ってみるのが一番」とのことです。
栄養士の高橋さんが用意したのがヨーグルト、絹ごし豆腐、バナナ、肉団子。参加したお母さんたちはフォークですくったり、つぶしたりしながら、感触を確かめました。
最初はペースト状にしたおかゆから始め、少しずつ新しい食材を試しながら、徐々に硬さをつけていきます。
生後 5 、6 カ月ごろはヨーグルトの軟らかさに。口に入った食べ物を喉の奥へ移行させていく段階なので、おかゆや野菜もどろどろの状態です。
7、8 カ月ごろになると、絹ごし豆腐。舌と上顎を使ってつぶすことができる程度の硬さになります。
9 ~ 11 カ月ごろはバナナ。赤ちゃんは歯茎を使って食材をつぶすようになります。
12 ~ 18 カ月ごろは肉団子の硬さ。歯も生えてきて、かむことができるようになります。
ただし、離乳食を進み方にも個人差があります。月齢はあくまで目安。赤ちゃんの様子を見ながら進めることが大切です。
初めての食材を食べさせる際に心配なのがアレルギーです。高橋さんは「胃などの消化機能が活発に働いている」「もしアレルギー反応があった時にすぐに病院で診てもらえる」という理由で午前中に試すことを勧めていました。「親御さんに余裕がある日や、家に他に大人がいる日を選ぶといいでしょう」
繊維をつぶすのが大変!葉物は冷凍がおすすめ
おかゆを食べ始めたら、いろいろな野菜を食べさせたいところですが、特に葉物は繊維が多く、つぶすのが大変です。
高橋さんおすすめの調理方法は冷凍。例えばキャベツを大きめに切って、ラップにくるんで凍らせて固めます。調理する際は凍ったかたまりをおろし器ですり下ろすと、繊維が簡単に断ち切れます。「すり下ろした食材は必ず加熱してから与えてください」
ちなみに、おかゆは一度にペースト状にしようとすると、すりつぶしにくいそう。「手間はかかりますが、少しずつすりつぶした方がきれいに仕上がります」
冷凍の注意点は「新鮮なうちに」「必ず再加熱」
離乳食を毎回作るのは大変。冷凍を上手に活用したいところですが、注意点があります。材料が新鮮なうちに、1回に使う量ずつ冷凍しましょう。保存期間の目安は1週間。日付を記載しておき、食べる際には必ず再加熱しましょう。
冷凍前にはしっかり冷やすことが大切です。最近は暑い日が続いています。高橋さんは「クーラーが効いた部屋でしっかり冷やしてください」と話していました。
【冷凍のポイント】
- 材料が新鮮なうちに冷凍する
- 冷凍前にしっかり冷やす
- 密着して冷凍する
- 1回に使う量ずつ冷凍する
- 日付を記載し、1週間で使い切る
- 食べる時は自然解凍はせず、電子レンジや鍋で必ず再加熱する。加熱ムラがないように注意
- 再冷凍は避ける
教室ではベビーフードも紹介されました。作るのが大変な時に便利なだけでなく、外出時や旅行、災害時にも役に立ちます。普段の日に使う場合はマンネリ化しないように、手作りの離乳食と組み合わせるといいそうです。
赤ちゃん向けのイオン飲料は飲み過ぎると、ビタミンB1が欠乏する恐れがあるそうです。1 日 200 ミリリットルまでにしましょう。
誤飲に注意!サイズ確認を
最後に、乳幼児の事故で多い「誤飲」について津浜さんから説明がありました。
お母さんたちに配られたのが、二つの丸が描かれた小さなカード。直径 32 ミリのオレンジ色は乳児の口の最大サイズ、39 ミリの紫色は 3 歳児の最大サイズとのこと。乳児は 500 円玉より大きく、3 歳児はトイレットペーパーの芯より大きいそう。思ったより大きいですね。
乳幼児が詰まらせやすい食材にはこんにゃくゼリー、おもち、あめ、団子などがあります。離乳食で使う食材で気を付けたいのがプチトマトやぶどう。小さくて食べさせやすく、栄養もありますが、詰まらせないように注意が必要です。
津浜さんによると、あまり意識されていないのが「リンゴ」。「食べやすいように」と小さいブロック状に切ると、丸のみして喉に詰まらせることがあるそうです。「薄いくし切りにすると、しっかりかめます。少し手間をかけ、事故を予防してください」
体重が増えていれば問題ありません。焦らず、ゆっくりと
離乳食やその次の幼児食で多い相談は「食べてくれない」という悩みだそうです。「お子さんによって、その食材の食感が嫌だったり、まだ食べる準備ができていなかったりということがあります。ゆっくり待ってあげてください」と津浜さん。その上で、「お母さん、お父さんと一緒に食べる時間をつくってみてください」と呼び掛けています。
「『食べてくれない』と相談されるお母さんに話を聞くと、食事の時間は赤ちゃんに食べさせることに集中し、親は一緒に食べていないということがよくあります。大人が楽しく食べている姿を見せることで、食事への関心が出てきます。無理のない範囲でみんなで食べてみてください」
離乳食がうまく進まなくても、成長曲線に沿って体重が増えていれば問題ないそうです。「お母さんの作り方が悪いということは決してありません。食事を取らない大人はいないので、いつか必ず食べます。焦らなくても大丈夫です」