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「家庭で性教育を始めませんか?」幼児~小学低学年編|「赤ちゃんはどこから生まれるの?」

「家庭で性教育を始めませんか?」幼児~小学低学年編|「赤ちゃんはどこから生まれるの?」

性教育は家庭でやるべき?親から子へ何を話せばいい?高知県看護協会で聞きました

「性教育」という言葉から、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?性交渉や性感染症などを思い浮かべ、「親から子どもには話しづらいな」と感じる人も少なくないのではないでしょうか。

性教育は今、性の知識を伝えるだけではなく、自分を大事にし、相手も大事にする「命の教育」として進められています。子どもを性犯罪の被害者や加害者にさせないためにも必要だと言われています。

シリーズ「家庭で性教育を始めませんか?」では家庭でできる性教育について、高知県看護協会の皆さんにインタビューします。

この記事は「幼児期~小学低学年編」。「赤ちゃんはどこから生まれるの?」などドキッとする質問への答え方や、子どもへの関わり方について紹介します。

 

シリーズ「家庭で性教育を始めませんか?」では、高知県看護協会の助産師、保健師、看護師の皆さんにインタビューします。

看護協会では、助産師が学校などに出向いて体の仕組みや妊娠、出産について話す「いのちの教育」を行っています。2017 年からは助産師、保健師、看護師の 3 職種が参加し、高知県教育委員会と連携しながら、高知県の実情に合わせた新しい性教育を進めています。

今回の「幼児~小学低学年編」では次の皆さんにお話を聞きました。

  • 広末ゆかさん…保健師。中芸広域連合地域包括支援センターの前センター長
  • 久保美樹さん…高知県立あき総合病院の助産師
  • 筒井久美さん…渭南病院(土佐清水市)の助産師
(右から)広末ゆかさん、筒井久美さん、久保美樹さん
(右から)広末ゆかさん、筒井久美さん、久保美樹さん

「性教育=セックスを教える」こと?

「性教育」というと、「性交渉・セックスについて教える」「性感染症について教える」というイメージがあるのではないでしょうか。「学校でちゃんと習ったことがない」「何となく知った」という人もいると思います。

性教育では性についての知識を教えていきますが、これは「ほんの一部」だそう。今は命の大切さや、他者を思いやる心を育てる教育として捉えられていて、小学 1 年生から始まります。保健体育や理科、道徳、特別活動などの授業で横断的に進められます。

性についての知識は子どもの発達段階に合わせて教えています。思春期からの体の変化や性器の仕組みを具体的に学ぶのは 4 年生から。「性交」という言葉は高校の教科書に初めて登場します。

 

性教育は今、命の大切さ、自分や他者を大事にする心を育てる「命の教育」と捉えられています

おむつ替え、沐浴も性教育につながります

性教育の基本となるのが「自分の体を大事にする」ということ。その第一歩は、赤ちゃんのおむつ替えや沐浴から始まっています。

おむつを替える時には「きれいにしようねー」、新しいおむつに替えた後には「気持ちいいねー」など、自然と声かけが出ます。こういった親子のコミュニケーションは「性器は常に清潔にするところ」「清潔な状態は気持ちがいい」というメッセージを赤ちゃんに伝えていて、自分の体を大事にするということにつながります。

小学 1 年では「体をきれいに」という授業があります。病気を防いで気持ちよく過ごすことを学びます。

お風呂はチャンス!「生きた性教育」の場になります

家庭での性教育は「あらたまって行うもの」ではなく、「日々の生活の中で自然に取り入れていくもの」だそうです。お互いが裸になるお風呂は「生きた性教育の場」。学校の授業ではできない話が、親子で自然にできます。

繰り返し伝えたい「プライベートゾーン」

子どもが幼いころから繰り返して教えていきたいのが「プライベートゾーン」を大切にすることです。プライベートゾーンは「水着で隠れるところ」とよく説明されますが、口や顔、男の子の胸も含まれます。

プライベートゾーンは人に見せたり、触らせたりしてはいけないし、他の人のを見たり、触ったりしてはいけません。「いのちのもとが詰まっているから」「赤ちゃんに関係するところだから」と伝えると、子どもは理解するそうです。

以前は「知らない人に見せてはいけない」と言われていましたが、この説明では「知ってる人ならいい」と理解する子どももいるそうです。「お風呂と、病院で診てもらう以外で見せるものではない」ということも伝えましょう。

見られたり、触られたりしそうになったら「嫌だ」と言っていいことや、相手が嫌がることをしてはいけないということも伝えたいですね。

 

プライベートゾーン

・場所…胸、性器、お尻、口、顔(男の子も女の子も)

・説明…命のもとが詰まっているところ、赤ちゃんに関係するところ

・伝えたいこと…人に見せたり、触らせてはいけない。他の人のを見たり、触ったりしてもいけない

性器の洗い方も教えましょう

プライベートゾーンと一緒に教えたいのが性器の洗い方です。男の子のお母さんの中には「おちんちんの洗い方が分からない」と戸惑った経験のある人もいるのではないでしょうか。

実は出産後、赤ちゃんの性器の洗い方を教えてもらう機会のないまま子育てを始めるお父さん、お母さんがほとんどだそう。正しく洗えていないことで炎症を起こしたり、子どもが思春期に「洗い方が分からない」と悩んだりするそうです。

基本は「せっけんを手で泡立てて、優しく洗う」です。

 

・男の子…包皮を痛くない程度に体の方向に引っ張って、優しく洗う。おむつ替えの時も包皮を少し引っ張って、軟らかくする

・女の子…ひだの間、おしっこの出口、肛門の回りを優しく洗う。トイレでは前から後ろに拭く

心配になる「性器いじり」はプライベートスペースならOK

「プライベートゾーン」を教える際に気をつけたいのが、プライベートゾーン、特に自分の性器を「自分で触ってはいけない場所」としないことです。

保護者や保育士さんなどからよく受ける質問が「性器いじり」について。「子どもがよく性器を触っています。どうしたらいいですか?」という質問には、「自分のプライベートスペースでならいいんですよ」と答えています。

性器は「汚いもの」「タブーなもの」ではなく、「自分の大切な体」です。自分の体なので「触ってはいけない」ということはありません。ただ、人前で触るのはNG。子どもには「人前では触らず、自分 1 人の場所で触る」ということを伝えましょう。

かゆくて触っているなど何か理由があるかもしれませんので、「どうしたの?かゆいの?」とさりげなく尋ねてみるのもいいですね。

ドキッとする質問NO.1!「赤ちゃんはどこから生まれるの?」

お子さんに「赤ちゃんはどこから生まれるの?」と聞かれたことはありますか?「いつか聞かれるだろうな」と分かってはいても、いざ聞かれると焦ってドギマギ…という話をよく聞きますね。

ともすれば、大人が「セックスや妊娠、出産について子どもに説明しなきゃ!どうやって話したらいいの?」と舞い上がってしまうこの手の質問。答える時のこつは「全部答えなくていい」、そして「子どもが何を求めているかを見極める」です。まずは逆質問をします。

 

子ども:僕はどこから生まれてきたの?

親:「どこから生まれてきたの?」ってどういうこと?

 

このころの子どもは、性交渉の説明なんて求めていません。「どこから生まれるのかな」という素朴な疑問だったり、「お母さんに毎日怒られてばっかり。本当にお母さんの子どもなのかな」という心配だったり、質問の意図が必ずあります。「お母さんから生まれたのよ」の一言で納得するということも多々あるそうです。

素朴な疑問の場合も、具体的な場所や方法を説明する必要はまだありません。例えばこんな説明はどうでしょうか。

 

親:○○ちゃんは赤ちゃんの通る道から頑張って出てきたんだよ。お母さんのおなかの中では元気に動いていたよ。○○ちゃんは望まれて生まれてきたんだよ

 

子どもが理解できる言葉を使って、「あなたは望まれて生まれた」ということをぜひ伝えてあげてください。「コウノトリが運んできた」「お尻から生まれた」と説明するよりもおすすめです。

お母さんの悩み!生理中のお風呂はどうする?

お母さんたちが悩むのが生理中のお風呂。お父さんなど他の家族が入れてくれたらいいのですが、そうもいかない時がありますね。

対応のポイントは「変に隠すことなく、あえて見せることもなく」。自然と目につくことで、子どもは「そういうものなんだ」と受け入れるそうです。

子どもに聞かれた時は、例えばこう答えます。

 

親:女の人は、赤ちゃんを産むためにベッドの準備をしているんだよ。赤ちゃんのもとが来なかったら、ベッドがいらなくなるから、月に 1 回、体から出ていくんだよ。血と一緒に出るけど、けがをしてるわけではないんだよ。

 

「赤ちゃんはどこから生まれるの?」といった質問と同じように、いきなり全てを答える必要はありません。子どもがどんな答えを求めているかを見極め、心配な気持ちをフォローすることを心がけましょう。

さらに、この時期は「月経」「生理」などの言葉を教える必要はありません。「子どもは新しい言葉を知ると、外で言いたくなる」そう。例えば、子どもが保育園で「生理」と発言し、聞いていた大人が驚いて固まってしまった結果、子どもが「言ってはいけないことなんだ」とネガティブに捉えるということがあります。言葉ではなく、意味を伝えていきましょう。

自己肯定感を育むことも性教育です

高知県では、10 代の人工妊娠中絶率が全国値よりも高い状態が長く続いています。子どもが将来、性に関して適切な行動を取るための土台になるのが「自己肯定感」です。「ありのままの自分でいいんだ」と自分を認めることが、自分と相手を大事にすることにつながります。

親や周りの大人たちが「あなたは望まれて生まれてきたんだよ」「あなたは大事な存在なんだよ」と繰り返し伝えることで、子どもの自己肯定感は育まれていきます。子どもが安心して自分の気持ちを話せる関係性づくりにもつながります。ぜひ実践してください。

 

次回は「小学高学年編」です。6 月に公開します。

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

5歳と2歳の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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