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南国市から安芸市へ路面電車が走っていた?!|開通から100年、廃線から50年…旧土佐電気鉄道の「安芸線」を知っていますか?

南国市から安芸市へ路面電車が走っていた?!|開通から100年、廃線から50年…旧土佐電気鉄道の「安芸線」を知っていますか?
在りし日の西野市駅(撮影=鈴木写真変電所)

ごめん・なはり線が誕生するずっと前に、南国市後免町から安芸市まで、路面電車が走っていたのをご存じですか?

今のとさでん交通の前にあった土佐電気鉄道の「安芸線」で、1974 年まで運行していました。

安芸線の開通から 100 年、廃線から 50 年の今年、記念誌「安芸線探訪 26.8 キロ安芸線跡を歩く」が出版されました。発売から約1カ月で完売する人気で、重版への支援を呼びかけるクラウドファンディングが行われています。

沿線を歩くと、今でも名残がたくさんあるそうです。この記事でもいくつか紹介していますので、探してみてください!

安芸線の記憶つなぐ記念誌「安芸線探訪 26.8キロ安芸線跡を歩く」 重版を目指し支援呼び掛け  ― EINEE高知

かつて南国市後免町と安芸市を結び、周辺住民の貴重な足として愛された旧土佐電気鉄道「安芸線」。自動車の普及と道路網の整備に伴い、1974年に惜しまれつつ廃線となりました。開通100年、廃線から50年を記念して制作された記念誌「安芸線探訪 26.8キロ安芸線跡を歩く」は、初版が約1カ月で完売。当時の安芸線を懐かしむ人や、鉄道ファンから販売を望む声が寄せられ、重版にかかる費用をクラウドファンディングで呼び掛けています。

記念誌「安芸線探訪26.8キロ 安芸線後を歩く」。2024年4月に出版され、早々と完売しました
記念誌「安芸線探訪26.8キロ 安芸線後を歩く」。2024年4月に出版され、早々と完売しました

幼少期の貴重な思い出「安芸線」を形に

「安芸線探訪 26.8キロ安芸線跡を歩く」の著者は、高知市在住のペンネーム「と~でん・あき」こと佐藤尚孝さん。幼少期に過ごした赤岡町(現香南市赤岡町)の実家のすぐ目の前が安芸線の線路でした。佐藤さんにとって安芸線は日常の一コマであり、祖父母の実家があった高知市や香美市に家族と出かける際の思い出の乗り物。「ベンチシートの感触、車内の情景、移り変わる車窓の景色、その全てがワクワクでした」

第一手結山隧道(ずいどう)を走る電車(撮影=鈴木写真変電所)
第一手結山隧道(ずいどう)を走る電車(撮影=鈴木写真変電所)

佐藤さんにとって思い出深い安芸線ですが、当時を振り返る資料など公式な印刷物が存在していないことを後に知ります。もともと印刷会社に勤務していた経験から、廃線50年を迎えるタイミングで、「何としても書籍にしたい」と決意。企画、取材、執筆、撮影を自ら行う記念誌の出版に動きだしました。

私家版の発行、そして改訂新版へ

書籍化に向け活動を始めるものの、安芸線に関する知識はほぼゼロ。2022年に私家版を発行するまでの6年間は、路面電車を愛好する組織「高知の電車とまちを愛する会」からの紹介や、インターネットの情報などを頼りに、仕事の休みや合間を縫って遺構を訪れて取材を重ねました。

今もひっそりと残る手結駅場内信号の基礎の遺構(香南市夜須町手結)
今もひっそりと残る手結駅場内信号の基礎の遺構(香南市夜須町手結)

「少しずつですが、意外と情報は集められました」と佐藤さん。それでも、限られた時間の中での取材には苦労が絶えなかったそう。一眼レフカメラを持ってはいたものの、本格的な撮影経験はなく、「遺構は見つけられても、雑草が生い茂る、落ち葉だらけ、挙句の果てに悪天気など、何度も訪れては撮影する日々」でした。

書籍化にめどが立ってきた段階でぶつかったのが出版費用の工面。ある程度自費を覚悟しつつ、支援を求めて沿線の企業や店舗を巡ります。しかし、まだ形になっていない本への出資はなかなか受け入れてもらえず、最終的に全額自費で出版。完成したわずか50部の私家版は協力者らに進呈し、どうにか書籍化にこぎつけます。

物部川橋の梁橋脚跡(南国市立田、提供写真)
物部川橋の梁橋脚跡(南国市立田、提供写真)

それでもなお、私家版には掲載しきれなかった写真や資料があり、「歴史資料として使ってもらえるくらい上等な記念誌に改訂したい」と考え、書籍化後も取材を継続。「いつしかライフワークになっていました」と振り返ります。

そして今年4月、当時の写真を増やし、追加取材分も加えて充実させた改訂新版「安芸線探訪 26.8㌔安芸線跡を歩く」が完成しました。もちろん、改訂版も全て自費出版。今回は書店で販売されることとなり、売れれば多少の補てんになるとはいえ、200部が限界。それでも、「廃線50年の記念の年に発行できたことは感慨深かった」と語ります。

早々に完売、そして重版を求める多くの声

「安芸線探訪 26.8キロ安芸線跡を歩く」は書店に並んで約1カ月で完売。その後も「重版の予定はありますか?」という問い合わせが数多く寄せられています。

多くは、かつての沿線住民ら安芸線にゆかりのある人たち。佐藤さんはうれしさをかみしめつつ、「これ以上、一人で出版費用を賄うことはできなかった」。重版を求める声に応えるため、そして安芸線が走っていた当時の息吹や人々の思いを後世につなぐため、今回のクラウドファンディング挑戦を決めます。

物部川の第1三島橋梁跡(南国市立田、提供写真)
物部川の第1三島橋梁跡(南国市立田、提供写真)

目標額は260万円。安芸線開通から100年の記念日である12月8日には書店に並ぶように、支援を呼び掛けています。(森本裕文)

「安芸線探訪 26.8キロ安芸線跡を歩く」重版への支援は、クラウドファンディング「EINEE(えいねえ)高知」で9月13日まで募っています。詳しくはこちらから

 

「EINEE高知」は高知県内の地域振興の取り組みを支援するクラウドファンディングです。四国銀行、READYFOR、高知新聞社の 3 社が運営しています。

この記事の著者

ココハレ編集部

ココハレ編集部

部員は高知新聞の社員 6 人。合言葉は「仕事は楽しく、おもしろく」。親子の笑顔に出合うことを楽しみに、高知県内を取材しています。

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