新型コロナウイルス 感染したら子どもはどうする?
「もし自分が新型コロナウイルスに感染したら…」。県内で感染者が報告されて以降、シミュレーションをしてみた人も多いと思います。特に困るのが「わが子の世話を誰に頼むのか」。祖父母や親戚に頼むにしても、さらなる感染のリスクもあり、難しいのが現状です。この記事では、親が陽性となった場合の対応について、全国の状況を紹介しています。
高知県によると、県内では「親が感染し、子どもの預け先に困った」というケースはこれまでにないそうです。子育て中の保護者が感染した場合は、まず福祉保健所が対応し、市町村や児童相談所と連携しながら、「子どもの年齢や家庭の状況を踏まえ、その家庭に一番いい方法を考えていく」そうです。
県内は感染状況は落ち着いていますが、「いつ、誰が感染してもおかしくない」ことに変わりはありません。もしもの時に備え、ご家族で一度、話し合ってみてください。
新型コロナウイルス 親が感染したら、子どもの世話は誰が? 自宅療養にはリスク
(高知新聞 2020 年 5 月 1 日夕刊より)
病院、児相が一時預かりも 対応に追われる自治体
親が新型コロナウイルスに感染したら誰が子どもの面倒を見るのか―。厚生労働省は軽症の場合は自宅療養を認めるとしているが「家庭内感染」のリスクは避けられず、子育て中の家庭は難しい判断を迫られている。
夫婦で感染したフリーアナウンサーの赤江珠緒さんは4月29日、出演するラジオ番組の公式サイトで入院したことを明らかにした。それまでは、2歳の長女の世話をしながら自宅で療養。公表した手記には「親が共倒れになった場合の子どもの面倒を誰がみるの」と不安をつづっていた。29日現在、先に入院した夫が自宅に戻っており、長女と過ごしているという。
厚労省によると、子どもがいる軽症者には自宅療養も認めるが、基本は入院や宿泊施設で療養。子どもを預かる親族がいない場合、児童相談所や児童養護施設などで受け入れることを想定する。
こうした中、自治体も対応に追われる。東京都杉並区では、感染した両親が入院となり、子どもを病院で一時的に預かってもらったケースが数件あった。担当者は「たまたま、うまくいった。今後の保証は全くない」。
児相などで一時的に預かる取り組みも、大阪や福岡など各地に広がる。だが保護者の濃厚接触者となる子どもと、他の子どもを分けるための環境整備など課題は多い。都内のある児相担当者は「施設で感染者が出れば入退所を止めなければならない。預かるのも簡単ではない」と打ち明ける。
「家庭内感染のリスクと、親と一定期間離れることの心理的影響をどう考えるかは難しいが、できれば子どもを隔離する方が良い」と指摘するのは、りんくう総合医療センター(大阪府)の倭正也感染症センター長だ。
軽症に限り、マスク着用や手洗いなどの予防策を徹底した上で、子どもと自宅で過ごすことも選択肢の一つと説明。子どもに障害があったり、医療的ケアが必要だったりする場合は「かかりつけ医師や医療機関と相談し、万一に備えて態勢を考えておくことが大切だ」。
自宅療養する際、どんな点に注意すれば良いのか。日本環境感染学会は▽患者と他の同居者の部屋は分ける▽世話をする人は1人が望ましい―などを呼び掛ける。
国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「家庭内で感染者が出ると広がりやすい。感染リスクをゼロにするのは大変だが、諦めずにできる対策を徹底してほしい」と話している。
※赤江さんは5月6日に退院したことを報告しました。