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新型コロナウイルスで修学旅行はどうなる?

新型コロナウイルスの感染が再び広がる中、高知県内の小中学校では「修学旅行をどうするか」ということで先生たちが頭を悩ませています。中止にした学校もあれば、「なんとか行かせてあげたい」と行き先を変えるなどの対応を取る学校もあります。

コロナ禍が始まってから、子どもたちは突然の休校・休園、おでかけの自粛、楽しい行事の中止、夏休みの短縮など我慢を重ねています。一日も早い終息を願うばかりです。

高知県内小中学校の修学旅行 四国内への変更増 中止の動きも

イラスト・岡崎紗和
イラスト・岡崎紗和

(高知新聞 2020 年 8 月 18 日朝刊より)

新型コロナウイルスが再流行する中、高知県内の小中学校で修学旅行を中止したり、行き先を四国内に変更したりする動きが出ている。学校の一大イベントとあって、関係者からは「なんとか行かせてあげたい」の声が聞かれる一方で、感染リスクへの懸念は拭いきれず…。各校ぎりぎりの判断を迫られている。

高知市の一宮中学校は9月初旬に3年生が関西に行く予定だったが、中止することにした。7月に保護者やPTAの代表者との協議で「リスクがある中、子どもを行かすわけにはいかない」との声が上がり、全員一致で決定したという。生徒の感染が分かれば2週間程度休校する必要がある。高校入試も控えており、年明け以降への延期も難しかったという。

ほかにも高知市や室戸市の一部の小中学校が中止を決めている。中学校では、2年時の実施予定を来年度の3年時に延期するところもある。

対応として中止よりも多いのが、行き先の変更だ。県内の学校は大阪や京都、広島行きが一般的だが、これらの地域で感染者数が増えていることから、特に小学校で四国内に変更するところが多そう。

高知市では9月中旬に出発する小学5校が四国内へ。他の学校でも変更や検討が進んでおり、土佐市は全9校が四国内に変更を検討している。

十津小学校(高知市)は9月16日からの旅行を広島・岡山から愛媛・香川に変更。「児童の体調が悪くなった場合、保護者が約2時間で迎えに行けることも考慮した」という。

10~12月に小中学校の修学旅行を控える四万十市教育委員会は「まだ時間に余裕がある。お盆中の人の動きによる影響を見極めたい」と話す。

県内の高校は、多くが来年1月中旬から2月上旬にスキーなどを計画。一部で延期の動きも出ている。

 

「感染出たら…」校長苦悩  「子どもに思い出を」の声も
「万一、子どもが感染したら…」。修学旅行をどうするかで学校関係者が苦悩を深めている。実施しても中止しても子どもや保護者、地域を巻き込んで賛否が起きそうな問題。ある中学校長は「誰もよう判断せんことを校長一人が決めないかん。つらい」と声を絞り出した。

修学旅行を実施するか否かは各校の判断になる。感染状況を勘案しつつ、旅行会社へのキャンセル料も避けるには出発3週間前に決める必要がある。

「毎日緊張する。早く無事に終わって」。9月に出発する県中部の小学校長は毎日、行き先の感染者数をチェックしている。別の校長も「もし修学旅行で感染者が出たら、学校は総だたきに遭う」と不安を隠さない。

出発を前にした学校は、訪問先や移動中の「密」状態を避けて子どもをどう動かすかを検討している。高知市の十津小学校は、バス移動中は1席ずつ空けて座る▽屋内施設は最大3人で活動▽布団の間隔を空け、同じ方向に枕が向かないようにする―などのガイドラインを作成。仮に9月に行けなかったら、11月と来年3月の日程も検討している。島崎雅彦校長は「万全の準備を進めたい」と話す。

万全の準備をしていても、直前に中止となる事態は否定できない。出発まで3週間を切っての中止ではキャンセル料が発生する。これは誰の負担になるのか。

高知市では校内で感染者が出たり、県内や旅行先に緊急事態宣言が出たりした場合は市負担とする内容で調整中だという。他の自治体でも支援を検討しているところがある。

USJ→レオマ
これまでの高知県内の小中学校の行き先は京都の寺社仏閣巡り、広島市の原爆ドーム、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどが定番。これが四国内への変更で、小学校の場合、4月にオープンした四国水族館(香川県宇多津町)とNEWレオマワールド(香川県丸亀市)が二本柱になっている。小豆島を訪ねる昭和の定番コースを復活させた学校もある。

これに愛媛県の総合科学博物館(新居浜市)、とべ動物園(砥部町)、坊っちゃん劇場(東温市)などを組み合わせている。

「あとは運」
修学旅行は子どもが日常と違う文化や自然に触れる貴重な機会であり、心身の成長が期待できるイベント。子どもの「行きたい」という気持ちも強い。

苦渋の末、中止を決めた一宮中学校の田所和仁校長は「大阪の感染者が増える中で、無理して行って感染者が出たら…。授業確保の必要もあり、これ以上子どもを休ませられない」。別の校長も中止にした理由を「生徒の家族には重症化しやすいお年寄りもいる。感染の可能性がある場所に連れて行けない」と話した。

10月に出発する城東中学校(高知市)の大谷俊彦校長は「絶対に感染を防げるとは言い切れない。正しい判断だったかどうかは帰った後にしか分からない」。他の学校からも「あとは運」の声が漏れる。

特に今年はコロナ禍で、運動会や音楽会などの行事を中止した学校もある。

「卒業アルバムに載せる写真が少なくて、子どもがかわいそう」「せめて県内1泊でいいから、何とか旅行に連れて行って思い出をつくらせたい」と話す校長もいた。(石丸静香、宮崎順一)

この記事の著者

ココハレ編集部

ココハレ編集部

部員は高知新聞の社員 6 人。合言葉は「仕事は楽しく、おもしろく」。親子の笑顔に出合うことを楽しみに、高知県内を取材しています。

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