週刊高知の子どもニュース 2020年4月20日~26日
新型コロナウイルスの影響で、多くの学校が休校し、保育園や幼稚園が登園自粛を呼び掛けています。学校や園で元気に活動する子どもたちを紹介するニュースはすっかり減ってしまいましたが、先生が代わりに田植えをしたり、子どもたちが再び戻ってきた時に備えて地域の人がマスクを寄贈したり、1 人で食事する子どもたちのためにお弁当を配ったり。子どもたちのために奮闘する大人たちのニュースが紙面を飾った 1 週間でした。
2020 年 4 月 20 ~ 26 日の高知の子どもたちのニュースを、高知新聞の紙面からお届けします。
目次
子どもの元気は地域の活力 西土佐のNPOが手作りマスク贈る
(高知新聞 2020 年 4 月 20 日朝刊より)
新型コロナウイルスの影響でマスクが不足する中、高知県四万十市西土佐大宮であったかふれあいセンターを運営する「NPOいちいの郷(さと)」がこのほど、手作りの布マスクを地元の小学生や高校生にプレゼントした。「子どもの元気は地域の活力」「感染症対策の一助になれば」という願いをマスクに込めた。
県内小中高の入学式や始業式を翌日に控えた6日。須山美樹センター長(47)は、全国的なマスク不足で「新学期、学校に着けて行けずに困っている子どもや家庭があるかも」と、布マスク寄贈を思い立った。
地域の高齢者らとパッチワークを楽しむ際に使っている、色も柄もさまざまな布を活用。顔にフィットする立体型で、裏地には柔らかいガーゼ生地を使った。職員7人で裁断から裁縫まで行い、1週間で約140枚を仕上げた。
13日には、この日から休校となった西土佐小学校(四万十市西土佐用井)を訪れ、児童と教職員の分、計96枚を贈った。一枚一枚に「コロナに負けず頑張ろう!」などのメッセージカードを添えた。
段松淑子校長(52)は「マスクがありがたいのはもちろん、子どもたちを守ろうという皆さんの思いに感謝でいっぱい」と話していた。
15日が登校日だった中村高校西土佐分校(四万十市西土佐津野川)には、あったかふれあいセンターの職員から生徒へ、38枚を直接プレゼント。淡いピンクの生地に白抜きの象の柄のマスクを手に取った3年、永山よしのさん(17)は「誰もが大変な中、時間をかけて作ってくれてありがとうという気持ち。いっぱい使います」と笑顔を見せていた。
西土佐地域の保育所や中学校には、地元の老人クラブがマスクを製作して贈る予定。(平野愛弓)
児童らの代わりに教職員が田植え 休校の伊野南小中
(高知新聞 2020 年 4 月 20 日朝刊より)
高知県吾川郡いの町八田の伊野南小、中学校の教職員15人ほどがこのほど、近くの田んぼ約30アールで田植えを行った。新型コロナウイルスの影響で休校となったため、児童生徒の代わりに作業した。
小学5年生と中学2年生、近くの八田保育園とあいの保育園の年長組の計約70人が近く、田植え体験をする予定だった。
16日の作業では、参加した全教職員が田植え機を使うのは初めて。「真っすぐ進まん」などと苦労しながらも、真剣な表情で操作していた。稲刈りは8月の予定で、同中学校の市川泰三校長は「収穫は子どもたちと一緒にできたらいいですね」と話していた。(山崎友裕)
小中学生へ手作りマスク 安芸市 あったかセンター寄贈
(高知新聞 2020 年 4 月 22 日朝刊より)
新型コロナウイルスの影響でマスク不足が続く中、高知県安芸市の地域福祉拠点「あったかふれあいセンター」が20日、市内や安芸郡芸西村の小中学生に手作り布マスク200枚を寄贈した。
安芸市や芸西村の児童生徒は4月初めからマスクの着用が義務付けられているが、品不足のため持ってこられない子どもも。そこであったかふれあいセンターのスタッフや利用者がマスク作りを企画。材料も品薄だったが、手芸品店に毎朝並んで布地やゴムひもを調達し、センター職員、利用者8人が協力して作った。
この日、安芸市役所で開かれた寄贈式であったかふれあいセンターの秋本幸所長(56)は「しばらく休校となるが、家庭でも使ってほしい」。安芸市・芸西村校長会を代表して、マスクを受け取った安芸第一小学校の門田満穂校長(58)は「大変ありがたい。有効に使わせてもらいます」と話していた。(森部智成)
宿毛JCがマスク寄贈 3市町村の保育園に
(高知新聞 2020 年 4 月 24 日朝刊より)
宿毛青年会議所(宿毛JC、立田昌敬理事長)はこのほど、高知県宿毛市と幡多郡大月町、三原村の保育園・幼稚園の職員向けに、新型コロナウイルス拡大で不足しているマスクの寄贈を始めた。
宿毛市周辺では先月末以降、感染確認が相次いでいる。4月19日には市内の幼稚園児の感染も分かり、宿毛JCは「感染拡大防止にできることを」と配布を決めた。
マスクは、個々の会員が全国の青年会議所のつながりを生かして4月上旬から集めた。21日は、立田理事長ら役員2人が宿毛市中央2丁目の宿毛保育園を訪れ、田中知津園長と三木健正理事長にマスク150枚を手渡した。
宿毛保育園には園児117人が通うが、独自の非常事態宣言を出した宿毛市が保護者に登園自粛を呼び掛け、登園する園児は減少している。一方で職員25人は毎日出勤しており、田中園長は「マスクの備蓄が底を突きそうだったので、本当にありがたい」と感謝していた。
宿毛JCは今後、大月町と三原村を含めて計11園に、職員数に応じた枚数を順次配布する予定。(新妻亮太)
弁当で子ども・高齢者と絆 香美市のサロン コロナ休止で提供
(高知新聞 2020 年 4 月 26 日朝刊より)
新型コロナウイルスの影響で休止した香美市土佐山田町の交流サロン「きてみい家(や)」がこのほど、利用者との絆を絶やすまいと、子どもやお年寄りに手作り弁当を提供した。現在は自粛中だが、スタッフらは「状況が改善すれば2回目以降もやりたい」と話している。
サロンは高知医療生活協同組合香美支部員が2015年から、山田高校北側の家屋で運営。お年寄りが集まるランチ会や無料の子ども食堂を定着させてきたが、今年は3月上旬から休止せざるを得なくなった。
ただ、地域には1人で食事をしないといけない子どもや、サロンを楽しみにする1人暮らしのお年寄りも少なくないという。支部員らは少しでも見守りにつながればと、18歳以下に無料で、大人には300円での弁当提供を企画した。
今月11日の初回は40食の申し込みがあり、女性5人が朝から調理。唐揚げや卵焼きなどおかず8品の弁当を作った。午前11時には「もうできちゅう?」「弁当取りに来たで」と玄関に子どもたちの元気な声。お年寄りも「助かる、また作ってよ」と笑顔で受け取っていた。
当初は月2回の“弁当交流”を続ける考えだったが、県内でも人と人の接触機会の減少が求められる中で、2回目は断念した。運営メンバーの池上円さん(65)は、「元気にやりゆうか、ちゃんとご飯食べゆうか。顔を見て確認できると安心する。早く活動再開できるのを願っている」と話している。(小笠原舞香)