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【イチ押しニュース】未経験からシイタケ農家に!挑戦を続ける子育てママが「ただ今修業中」で紹介されました

高知で働く人を紹介する高知新聞のコーナー「ただ今修業中」に、未経験から一念発起し、シイタケ栽培に挑戦する子育てママが紹介されました。

高知市の山崎桃子さんがシイタケ栽培を始めたのは 40 歳の時。2 人の子どもはまだ小学生でした。全てが初めての経験でのスタートでしたが、その分、お客さんが手に取ってくれたときの感動はひとしおだそうです。

山崎さんは「大きなチャレンジが苦手でずっと生きてきた」と語っています。人生を前向きに、ひたむきに歩む大切さを教えてくれています。

子育てママ、一念発起 シイタケ農家 山崎桃子さん(44)高知市―ただ今修業中

「頑張った分だけ返ってくるのがうれしい」と話す山崎桃子さん(香南市夜須町坪井)
「頑張った分だけ返ってくるのがうれしい」と話す山崎桃子さん(香南市夜須町坪井)

(高知新聞 2022 年 9 月 19 日掲載)

じめっと蒸し暑いビニールハウス。土色の食パンのような物体が、番号札の掛かった何列もの棚にずらりと並んでいる。

ぱんぱんっと手で一つずつたたきながら棚の間を回っていく。まるで何かの研究所のよう。

「こうやって菌床をたたくと早く発芽するんです。子孫を残さなきゃって、焦るみたい。不思議でしょ」

菌床シイタケの栽培を始めて4年。高知市の住まいから香南市夜須町のハウスに日々通う。以前までは農業に全く関心のない子育てママだった。

高松市出身。専門学校時代に大阪で出会った夫と28歳で結婚し、夫の働く高知市へ。娘と息子を産み、事務の臨時職に就いた。

5年ほど働いたころ、1年契約というパートの身分にふと不安になった。いつ更新が止まるか分からない。このまま将来に向かっていいものか―。

そんな話を夫としていると、夫が「農業とかどう? 老後は2人でもやれるし」。でも畑仕事は力がいるからなあ、と答えを流すと、翌日から夫があれこれ調べ始めた。農業ハウスにも行く配管工の夫は、なんだか前から計画していたかのように乗り気だった。

「これは? そんなに力いらなそう」と提案されたのが、菌床シイタケ。2人で国内生産量1位の徳島県へ出向き、種菌メーカーの指導員の案内で農家を見学して回った。

パートの代わりに始めることに、行く先々で「そんな簡単じゃないよ」と言われた。毎年の菌床の購入費用、栽培管理、生産量の確保…。考えることはたくさんあり、全員がそろって失敗を案じた。

「大きなチャレンジが苦手でずっと生きてきたのに、じゃあやってやろうって気になった。ほんと謎やけど」

40歳。子ども2人はまだ小学生。金融機関から借金して、長年使っていなかった夫の祖母のハウスを改修し、菌床を6千床購入した。

やってしまった。安定を求めていたはずなのに、もう後戻りできない。夫だけが「大丈夫、大丈夫」と言っていた。

菌床は5月に入荷後、4カ月間培養し、収穫期に入る。ちゃんと育つには温度と湿度の調整が大事。収穫期は一つの菌床から何度もシイタケが生え、生産量の確保には水やりなどの工夫が要る。時折たたいたり、ひっくり返して水に漬けたりと刺激を与え、発芽を早めないといけない。

初年、収穫期は深夜までハウスに残った。むくむく出てくるシイタケに、感動よりもほっとした。出荷後、直販市の売り場をこっそり見守り、手に取る人に感激した。

「育てた物を買ってくれるのが、こんなにうれしいとは思わんかった。これが農業かって思った」

1人の作業は厳しいと思い知り、翌年からパートを雇った。2年目は形などを競う全国の品評会で金賞を受賞。飲食店にも出荷するようになった。

前年と成長具合を見比べながら、試行錯誤の日々。データを取り、温度管理や水やりの頻度を考える。「今年は大丈夫やろか」と今も眠れぬ夜がある。夏に生えてくる品種も扱い始め、菌床は8千床に増やした。

ブランド名は「はちきん椎茸(しいたけ)」と名付けた。「はちきんみたいに前向きに。夫が退職して老後になっても、ずっと長く続けたい」と笑った。

写真・土居賢一  文 ・福田一昂

 

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この記事の著者

森本 裕文

森本 裕文

高1の長男、中2の長女の4人家族。理論派のO型組(私と長女)と、感覚派のB型組(妻と長男)でいつも楽しく抗争中。1979年生まれ。

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