ずっと、ぎゅっと!第2部・高知のエコチル調査より④|「習い事」「紫外線対策」「アトピー・乾燥肌」「入浴」
高知のエコチル調査の基礎データから見えてくる子どもたちの姿と、子育てのアドバイスを紹介します
環境省の「エコチル調査」(子どもの健康と環境に関する全国調査)が今年で 10 年目を迎えました。
化学物質が子どもの成長に及ぼす影響などを調べる調査で、生まれた子どもが 13 歳になるまで追跡調査が行われます。全国から 10 万組、高知県からは約 7000 組の親子が参加し、半年ごとに質問に答えています。
連載「ずっと、ぎゅっと!」では、高知の子どもたちの生活に関する基礎データを紹介しています。今回は 2017 年の掲載に続く第 2 部。エコチル調査高知ユニットセンター(高知大学医学部内)からのアドバイスを交えてお届けします。(高知新聞 2020 年 10 月29 日、11 月 3 、7、12 日掲載)
※高知県内の調査から 2020 年 3 月時点の暫定値を紹介します。データは四捨五入しており、加算値が 100 %にならない場合があります。
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【習い事】「楽しい!」を大切に
3 歳児の調査では、習い事をしているお子さんは全体の 9.2 %。4 歳になると、21.1 %に増えました。4 歳は自立心や理解力がぐっと高まり、通園によって集団生活にも慣れてくることから、「そろそろ習い事を」というご家庭は多いようです。
習い事の種類は「水泳」が最も多く 35 %、次に「英語」の 29.4 %、「音楽」の 25.6 %が続きます。
水泳は男女の区別がなく小さい頃から始められ、基礎体力を付けることができるなどの理由で、他の調査でも近年最も人気がある習い事となっています。ですが、人気がある一方で、「 1 年以上続かなかった習い事ランキング」でも一番だそうです。
小さいうちは、結果よりも「楽しい!」と子ども自身が感じることが大切です。その上で、習い事を長く続け、成長へつなげるためには、「上手になった!楽しい!」と思えるような、資質や性格に合ったものを見付けることが重要になってくるでしょう。
年齢が上がると、学校の勉強や課題など、しなければならないことが多くなり、子どもの自由な時間は限られます。親御さんにとっても、費用や送り迎えなど負担は大きいものです。できれば小学校低学年くらいまでにいくつか試した中で、お子さん自身が「続けたい」と思うものを選択できればいいですね。
【紫外線対策】帽子や日焼け止めを活用しましょう
4 歳児の調査で、外で遊ぶ時に気になる紫外線対策について聞きました。高知では夏、冬ともに日中外で遊ぶお子さんが多く、帽子の使用率は 89.8 %と高い結果でした。
紫外線には、骨を形成するために必要となるビタミンDを体の中で生み出す効果があります。極度に紫外線を避けて全く外出しないことや、全身を覆う服装ばかりで生活することは好ましくありません。ですが、小さいうちから強い日焼けをし過ぎないように注意してあげることは、皮膚がんや目の病気の予防にもつながり、生涯健康で過ごすためにとても大切です。
日焼け止めの使用は 19 %でした。紫外線の強い時間帯を避ける、日陰を利用する、帽子や服で覆うなどの紫外線対策とともに、日焼け止めの利用もお勧めです。ベビー用や子ども用として販売されているものを購入するといいでしょう。「低刺激性」と書いてあるものを選んでください。
防御指数は、日常の生活では、短時間で肌が赤くなるような日焼けを引き起こす紫外線B波を防ぐ「SPF」が 15 ~ 20 、しわやしみの原因となるA波を防ぐ「PA」が++、海や山ではSPF 20 ~ 40 、PA++~+++を目安にします。汗や水で落ちにくいウォータープルーフの製品であれば、なお効果的です。
これらの商品は、普通の石けんやボディーソープで落とせるものがほとんどです。購入時には洗い方についての商品説明を確かめ、使用後はきちんと洗い落としましょう。紫外線対策を上手に取り入れて、外でたくさん遊ばせてあげたいですね。
【アトピー・乾燥肌】皮膚を清潔に保ち、保湿しましょう
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う慢性的な皮膚炎(湿疹)です。皮膚の乾燥とバリアー機能に異常があり、そこにさまざまな刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。
アトピーになったことがあるお子さんの割合は 3 歳で 12 %、4 歳で 13.1 %、5 歳で 14.5 %。乾燥肌はいずれの年齢でも 40 %前後でした。3 歳から 5 歳で大きな差は見られませんが、アトピーや皮膚が乾燥しているお子さんが多いことが分かります。
アトピーは一般に乳幼児・小児期に発症し、年齢が上がるともに患者数が減少する傾向にあります。皮膚のバリアー機能が低下している状態なので、夏は日焼けや発汗で悪化しやすく、冬は乾燥で悪化しやすくなります。皮膚を清潔に保つこと、乾燥を防ぐために保湿クリームなどでスキンケアを行うことが大切です。
治療には、ステロイド外用薬や免疫抑制剤であるカルシニューリン阻害外用薬などが使用されます。ステロイド外用薬は「副作用が強く、怖い薬」というイメージを持たれることもありますが、炎症を抑えるという大切な役割があり、症状に合わせて使用頻度や種類を調整することで副作用を回避できます。医師とよく話し合って、適切な外用薬で治療を行うことが大切です。
【入浴】時間がない時はシャワーのみでも大丈夫です
4 歳児の調査で入浴について聞きました。お風呂(バスタブ)に入る回数は「 1 週間に 7 回」が 59.4 %で最も多いという結果になりました。お風呂につからずにシャワーのみを浴びた回数は「週に 1 ~ 2 回」が 15.0 %、「週に 7 回」が 8.1 %とでした。
温かいお湯につかると、体を休めるための副交感神経が優位になります。リラックス感をもたらし、睡眠の質が高まる効果や、一時的に上がった体温が下がる時に眠たくなることから、寝つきがよくなる効果があります。
ただし、42 度以上の「熱い」と感じる温度での入浴は、反対に交感神経が高くなり、目が覚めてしまいます。熱過ぎるお湯によって肌の自然なバリアー機能が阻害される心配もあり、37 ~ 40 度のあまり熱いと感じない程度のお湯にゆっくりつかることが推奨されています。
とはいえ、小さなお子さんをお風呂に入れるのが大変な日もあると思います。米国皮膚科学会は子どもの入浴頻度について、通常「 6 ~ 11 歳は毎日の入浴は必要ではなく、週 2 ~ 3 回で十分」としています。「泥遊びやプールなどで汗をかいたり、体臭が気になったりする場合や、天候によっては随時、入浴や洗髪を」とアドバイスしています。
新陳代謝が活発な思春期( 12 歳前後から)には、毎日シャワーか湯船で入浴し、朝晩 2 回の洗顔を。湿疹やその他の皮膚疾患がある場合は、かかりつけの医師の指示に従うこととされています。
皮膚にはさまざまな細菌が存在し、それにより免疫機能が強化されるため、特に小さいお子さんは過度に皮膚を洗い流さないことが大切です。どの年齢の子どもにも楽しいバスタイムで入浴する習慣と、頻繁に手洗いをする習慣をつけることが推奨されています。
日本では当たり前のバスタブにつかる入浴ですが、実は世界ではとても珍しく、ほとんどの国ではシャワーでの入浴が一般的です。あまり神経質にならず、時間のない日はシャワーの利用も取り入れて、適度な入浴でバスタイムを楽しんでくださいね。
高知県内のエコチル調査は高知大学医学部内にあるエコチル調査高知ユニットセンターが行っています。
「こうちエコチル調査」のウェブサイトはこちら