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夜間に安心して過ごせる居場所のない子ども、若者を支えたい|子どもシェルター「おるき」が「おるカフェ」をオープン。街頭での声かけも始めました

夜間に安心して過ごせる居場所のない子ども、若者を支えたい|子どもシェルター「おるき」が「おるカフェ」をオープン。街頭での声かけも始めました

高知県内で子どもシェルターを運営するNPO法人「子どもシェルターおるき」が 2025 年 9 月、子どもや若者を支える新たな活動を始めました。

毎月第 3、4 土曜日の 19:00 から、高知市帯屋町 2 丁目のビルで「おるCafe(おるカフェ)」をオープン。夜間、安心して過ごせる居場所のない子どもや若者に無料で開放しています。

カフェのオープンに合わせて、街頭では子どもや若者に声をかけています。「危険な大人たちから傷つけられる前に子どもたちを守りたい」と活動する皆さんにお話を聞きました。

【子どもシェルターとは】居場所をなくした子どものための緊急避難場所です

子どもシェルターとは、子どものための緊急避難場所。全国に 20 カ所ほどあり、NPO法人や社会福祉法人などが民間シェルターとして運営しています。

高知の「おるき」は四国初の子どもシェルターとして、2024 年 3 月 31 日に開設されました。女子専用のシェルターで、定員は 6 人。2 カ月間をめどに無料で利用できます。

対象は高校生から大学生の年代の子どもたち。児童相談所の一時保護所では過ごしづらい子どもや、年齢制限のために利用できない子どもが利用しています。

「おるき」では子どもとスタッフが日常を共に過ごしています(提供写真)
「おるき」では子どもとスタッフが日常を共に過ごしています(提供写真)

開設以降、相談も含めて 20 人ほどが利用しました。

運営するNPO法人「子どもシェルターおるき」の理事で弁護士の中島香織さんによると、子どもが自らつながって入居に至ったケースは 1 件。ほとんどが児童相談所や行政機関からの連絡でした。

そこで、「子どもや若者に『おるき』をもっと知ってもらいたい」「『おるき』に相談するハードルを下げたい」と考え、自分たちから街へ出ることに。

赤い羽根福祉基金の助成を受け、カフェの運営と街頭での声かけを「おるき」のアウトリーチ事業として始めました。

【おるカフェ】毎月第3、4土曜日の19:00にオープン

「おるカフェ」は毎月第 3、4 土曜日の 19:00~21:00 にオープンします。

場所は高知市帯屋町 2 丁目。おびさんロード商店街に面するビルの 1 階です。

性別を問わず、無料で利用できます。

「おるカフェ」はおびさんロード商店街のビルの1階
「おるカフェ」はおびさんロード商店街のビルの1階
オープン日は看板が出されます
オープン日は看板が出されます

室内はテーブルと椅子があるエリアと、床に座ってくつろげるエリアに分かれています。壁際には 1 人で過ごせるスペースが設けられています。

Wi-Fiが設置され、スマホの充電もOK。

気軽にくつろげるように、サーフボードやCDが飾られています。レコードが聴けて、DVDで映画も楽しめます。

室内はおしゃれな雰囲気
室内はおしゃれな雰囲気
ソファや床でくつろげます
ソファや床でくつろげます
壁にはCDがさりげなく
壁にはCDがさりげなく
レコードが聴けます
レコードが聴けます

飲み物やお菓子、軽食が無料で提供されます。

受付がありますが、名前を言う必要はありません。スタッフが事情を詳しく尋ねることもありません。

中島さんは「まずはゆっくりしてください。大人と話したくなったら、おしゃべりしましょう」と話していました。

奥に冷蔵庫があります
奥に冷蔵庫があります
種類がたくさん!
種類がたくさん!
飲み物もお菓子も無料
飲み物もお菓子も無料
軽食も用意されています
軽食も用意されています

初日の 9 月 20 日は 5 人が訪れました。お菓子やカップラーメンを食べたり、ソファで映画を見たり、思い思いにくつろいで過ごしていたそうです。

【街頭活動】困っている子、行き場のない子…自分たちからつながっていきたい

街頭での声かけ活動には、「子どもシェルターおるき」や支援機関の皆さんのほか、高知県立大学のボランティアの学生らが参加しています。

帯屋町を中心に街を歩き、活動を紹介するカードにお菓子を添えたセットを手渡します。初日の 9 月 20 日は 70 人以上に声をかけました。

「おるカフェ」の活動をカードで紹介
「おるカフェ」の活動をカードで紹介
カードにはお菓子を添えて
カードにはお菓子を添えて
思いを込めて袋詰めしました
思いを込めて袋詰めしました

声かけを始める前の 8 月、中島さんらはアウトリーチ活動の練習を行いました。都内で 10~20 代の女性を支援するNPO法人「BONDプロジェクト」のメンバーと一緒に中心商店街やJR高知駅周辺などを歩き、高知の子どもや若者が夜間、街でどんなふうに過ごしているかを調査しました。

中島さんは「子どもや若者を見ただけでは『困ってる』とか『行き場がない』かどうかは分からなかった」と振り返ります。

「居場所がない子、居場所を失った子は危険な大人たちにキャッチされるリスクが高い。BONDの皆さんに関わり方を教わりながら、私たちは『おるき』で待っているだけではなく、こちらから出向いてつながっていかなきゃと感じました」

「高知の子どもたちをサポートできる大人につないでいきます」
「高知の子どもたちをサポートできる大人につないでいきます」

「おるカフェ」と声かけの活動はひとまず、2026 年 3 月まで続けられます。

「気軽にカフェに来て、わいわい過ごしてください。『カフェに行ってみてよかったな』『助かったな』と思ってもらえたらうれしいです。街で声をかけた子から、困っている子、支援を必要としている子に『高知には子どもシェルターがあるらしい』『困ったら相談できるらしい』と情報が届くことを願って、活動していきます」

 

「おるき」ではシェルターに入居する・しないに関わらず、子どもたちを支援しています。「一人一人に寄り添った支援をしていきます。周囲に困っている子どもがいたら気軽に連絡してください」と呼びかけています。

NPO法人「子どもシェルターおるき」のウェブサイトで情報を発信しています。相談や問い合わせも受け付けています。運営に必要な寄付も募っています。

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小学生ママです。長女は思春期の入り口にさしかかった4年生、次女はピカピカの1年生です。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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