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子どもに体験、交流の場を|いの町の金蓮寺に“令和の寺子屋”

子どもに体験、交流の場を|いの町の金蓮寺に“令和の寺子屋”

「多様な価値観に触れる学びを」。3児のママが始めた「寺子屋きんいろ」を紹介します

2020 年 9 月、吾川郡いの町に“令和の寺子屋”が誕生しました。名前は「きんいろ」、場所はいの町中心部にある金蓮寺(こんれんじ)の一室。取り組むのは江戸時代のような「読み書き」ではなく、「体験」です。

立ち上げたのは、住職の妻の岡田美保さん。3 人の子どもを育てる中で、「子どもたちに、多様な価値観に触れられる学びの場を」と考えてきたことを形にしました。子どもたちが大人と対話を重ねながらさまざまなことを体験する活動に場を提供しています。

11 月に行われた土佐和紙を使ったワークショップを取材しました。

広い畳の間でのびのびと

「寺子屋きんいろ」は金蓮寺にある約 30 畳の客間で開かれています。家具はなく、広々としています。

ワークショップ「土佐和紙を使って体を動かそう」には園児、小学生の親子が参加しました。講師はダンサーの石山優太さん。子どもたちと一緒に土佐和紙を題材にした舞台をつくっている「土佐和紙未来プロジェクト」の浜田あゆみさんも加わり、準備体操が始まりました。

体をほぐした後、一人一人に白い和紙が手渡されました。「くしゃくしゃに丸めてみよう」「頭に載せてみよう」。講師の声掛けに応じ、子どもたちは踊ったり、寝転んだりのびのびと動きます。

ちぎり絵用の色和紙を使い、創作も行いました。ちぎる、丸める、くっつける。「何を作る?」「面白い形だね」。子どもも大人も会話を楽しみながら取り組む様子を、岡田さんが笑顔で見守っていました。

ワークショップを見守る岡田美保さん
ワークショップを見守る岡田美保さん

高知で子育てすることに不安を感じた

岡田さんは小学 1 年生、5 歳、3 歳の男の子を育てるお母さん。「長男が生まれた時から、高知で子育てをすることに漠然と不安を感じた」と振り返ります。

「家庭や学校以外に、多様な価値観の中で育つ環境があればいいな」という思いを言葉にできたのが 2 年半ほど前です。

「子どもたちが体験や対話を通して、自分の気持ちを発見したり、他の人の生き方に触れたりできる場をつくりたい」

目標が定まった岡田さんは、住職である夫の隆弘さんらに相談。金蓮寺の客間を活用し、イベントやワークショップを行う場として貸し出すことになりました。

対象は「小学生から大学生が参加者に含まれる活動」としています。土佐和紙のワークショップは、10 月に開かれた科学教室に続き、 2 回目の親子向けイベントになりました。

「学び」というキーワードで人と人とをつなぐ

ワークショップでは、子どもたちが自由に動き回る、思い通りの形が作れずに悩む、和紙を取り合いするなど、素の感情を出している姿が印象的でした。保護者もわが子以外の子どもに話しかけたり、お互いの子育てについて話したりしながら交流を深めていました。

ワークショップでの 1 回限りの体験が子どもたちの中でどう生かされるのか。岡田さんは言葉を選びながら思いを語りました。

「その場で大きな変化ということはないと思います。ですが、子どもの心が動かされたり、熱中できる何かを見つけたりするきっかけになるのでは」

「講師の先生や参加者同士が『学び』というキーワードでつながることで、子どもたちに新たな選択肢が生まれることを期待しています」

「寺子屋きんいろ」で行う活動は、「親子で楽しみ、学べるイベント」「学生がこれからの活動や仕事について考えられる場」「幅広い世代や異なる体験をしている人との交流の場」であることを大事にしています。岡田さんは内容について、主催者と必ず話し合うようにしています。

「子どもが自分で自由に考えて、決めて、やってみる。成功しても失敗しても、やってみてどうだったかを振り返る。その繰り返しが自信につながっていくと思うんです。信頼できる親以外の大人がいる環境で、対話しながらさまざまなことを体験し、多様な生き方があることを知る。そんな『学び』を『寺子屋きんいろ』で提供していきたいです」

「寺子屋きんいろ」では今後、子どもの運動に関するイベントなどを企画しています。情報はウェブサイトフェイスブックで発信しています。

【金蓮寺】

  • 住所:高知県吾川郡いの町旭町 96
  • 問い合わせ:terakoyakiniro@gmail.com

 

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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