褒めるこつを学ぶ「ペアレント・プログラム」を受けてみた①|「現状把握」から始めましょう
「叱る」を減らし、「褒める」を増やしたい!子育てに悩む親向けの「ペアプロ」をココハレ編集部員がリポート
「あぁ、今日もまた叱り過ぎてしまった…」。わが子の寝顔を見ながら、反省することはありませんか?
子どもの困った行動を理解し、褒めて育てるこつを学ぶ「ペアレント・トレーニング」や「ペアレント・プログラム」を保護者向けに取り入れる自治体や保育園が高知県内で少しずつ増えています。
高知市内で新たにペアレント・プログラムの講座が始まり、ココハレ編集部・門田が 5 歳児と 2 歳児の母親として参加しました。全 6 回のプログラムをシリーズでリポートします。
第 1 回のテーマは「現状把握」。自分の「いいところ」「努力しているところ」「困ったところ」を動詞で書けますか?
「育てにくさ」「関わり方」で悩む親のために
ペアレント・トレーニング(ペアトレ)は発達障害のある子どもの親への支援として開発されました。親が子どもの行動を理解し、肯定的な言葉掛けなど適切な対応を身に付けることで、子どもの困った行動を減らしていくことを目指しています。
ペアレント・プログラム(ペアプロ)は、ペアトレの考え方を地域の子育て支援の場で広げていくためのプログラム。わが子に育てにくさを感じている、関わり方に悩んでいる人が楽しく子育てしていけるようにと開発されました。
今回のペアプロの講座は高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」で始まりました。3 月中旬まで 2 週間ごとに 6 回開かれます。
ココハレ編集部・門田の現在の悩みは 5 歳の長女のへの関わり方。「叱り過ぎてはいけない」と思いつつも、朝の支度などで余裕がなくなると、「早くしなさい!」とガミガミ。保育園の面談で「保育園で頑張っているから、おうちではだらけても大丈夫。もっと甘えさせてあげて」と指摘されたばかりです。
何ができて、何が難しい?
講師はいるかひろばの理事長で、ココハレのコラム「こころのとびら」でおなじみの土居寿美子さん。参加者はお母さん 5 人で、自己紹介では「上の子のイヤイヤと下の子の妊娠が重なり、怒り過ぎてしまった」「上の子にチックが始まり、関わり方に悩んでいる」など思いを打ち明けました。
お母さんたちを前に、土居さんは「子どもには多様性がある」と話を始めました。「新しいことをする時に、自然とできる子と、具体的なこつを教えることでできるようになる子がいます」
子どもが言うことを聞かないという場面では、子どもはもしかしたら、自分でやりたいけれどやり方が分からずに困っているのかもしれません。土居さんは「子どもが何ができて、何が難しいのか。こつをつかむためにどのような手助けができるのか、一緒に見ていきましょう」と呼び掛けました。
「現状把握表」を埋めていきましょう
「『何ができて、何が難しいのか』を理解するためには、行動を分けて整理することが大切」ということで渡されたのが「現状把握表」。「自分編」と「子ども編」があり、「いいところ」「努力しているところ」「困ったところ」を埋めていくことになりました。
まずは「自分編」から。「名詞や形容詞ではなく、動詞で、行動を具体的に書いてください」と言われました。例えば、こんな感じ。
- 早寝早起きをする→朝 6 時半までに起き、夜 9 時までに布団に入る
- 明るい→明るくあいさつをする
マス目は五つずつ。簡単に書けそうで、難しい…。考え込むお母さんたちに、こんなアドバイスがありました。
- いいところ…普段できているところ
- 努力しているところ…少しはできたり、やろうとしているところ。工夫すればできるところ
- 困ったところ…すぐには解決できないところ、苦手なところ
「『私にはいいところなんてない』なんて思わず、普段できていることを書いてください。自分に優しくしてあげて」と土居さん。「なるほど」とハードルを下げ、「朝、おみそ汁を作る」を入れてみました。
ある程度埋めたところで、隣のお母さんと見せ合いっこしました。ペアになったお母さんと、「自分のいいところって思い浮かばない」「できてないことはいっぱいあるけど」と意気投合。おしゃべりも楽しい時間です。
発表では、こんな意見が出ました。
- いいところ…「夜寝る時に上の子が選んだ本を 2 冊以上読む」「ありがとう、ごめんなさいを素直に言う」
- 努力しているところ…「子どもにムカついても、自分の感情をぶつけて大声を出さない」「子どもが退屈しないように、遊ぶ場所を探す」
- 困ったところ…「周りの人の顔色を気にしすぎて疲れる」「後片付けを後回しにしてためる」
子どもが努力しているところって??
続いて、「子ども編」。2 人以上育てている人は 1 人選んで埋めていきます。私は 5 歳長女で考えました。
不思議なことに、「子ども編」はすらすらペンが進みます。「お母さんたちが普段、子どもの様子を見ているということですよ」と土居さん。そう言われると、ちょっぴり自信がわきました。
難しかったのが「努力しているところ」。「少しサポートすればできることを書いてください」と言われたものの…。「書けないのは、上手にサポートできていないということでは?」と思ったことでした。また、「いいところ」を埋めながら「うちの子、結構いいところあるやん」、「困ったところ」を埋めながら「それほど困ったことでもないのかも…」と感じ、新鮮な発見となりました。
「行動を見る」とは「動詞で表す」ということ
ペアプロでは子どもの行動の仕組みを理解し、具体的にどのように行動したらよいかを導くこつをつかんでいきます。行動を具体的に見ていくために、その行動を動詞で表すことを知り、体験することが 1 回目の講座のテーマでした。
受講後、家であらためて長女を見てみました。「歯ブラシをくわえたまま磨かない」ということに毎日困らされていますが、「歯を磨きたくない」わけではなく、「お母さんが横にいる状態で磨きたい」という気持ちが強いということが伝わってきました。少し、見方が変わったような気がします。
2 回目は 1 月下旬に開かれます。お楽しみに!