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「パートナーとの関係」「子どもとのコミュニケーション」「子育ての相談相手」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より④

「パートナーとの関係」「子どもとのコミュニケーション」「子育ての相談相手」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より④

高知のエコチル調査の基礎データから見えてくる子どもたちの姿と、子育てのアドバイスを紹介します

環境省の「エコチル調査」(子どもの健康と環境に関する全国調査)は、化学物質が子どもの成長に及ぼす影響などを調べる調査です。

連載「ずっと、ぎゅっと!」では、高知の子どもたちの生活に関する基礎データを紹介しています。第 3 部では 5~7 歳のデータを中心に、エコチル調査高知ユニットセンター(高知大学医学部内)からのアドバイスを交えてお届けします。

この記事では「パートナーとの関係」「子どもとのコミュニケーション」「子育ての相談相手」をテーマに傾向を紹介します。

【パートナーとの関係】子育ての会話は減る傾向。一方通行の伝達に注意しましょう

3 歳 6 カ月、5 歳 6 カ月の調査で、パートナーと子どもの話をする機会について聞きました。

3 歳 6 カ月では「週に 5 回以上」が 72.8 %でしたが、5 歳 6 カ月になると 61.8 %と減ってきています。

逆に、「週に 1~2 回」に満たない人が、3 歳 6 カ月では 5.3 %、5 歳 6 カ月では 9.1 %と増えています。

子育ての悩みも 3 歳と 5 歳では変わってきます。子育てに少し慣れてきて、毎日パートナーと話さなくてもいい人が増えているかもしれません。

子育てについての不安が減った結果ならいいのですが、話す時間がなかなか取れなくなっているのかもしれません。

子育て以外の会話も減っていませんか?

「子育てについて話をするというより、子どものことについての業務連絡になっている」という声もよく聞きます。それが続くと業務連絡の頻度も減ってきてしまうことがあります。

忙しい日々ですから、業務連絡も仕方ないのですが、一方通行の伝達が続くと、いろんなことに対して、やる気がなくなってきてしまうことがあります。

そういうときはおそらく、子育て以外でもパートナーとの会話が減ってきている可能性があります。パートナーとの話をすること自体が減ってきていないか、一度見直してみたいところです。

(監修:公認心理師、臨床心理士・小森香さん)

【子どもとのコミュニケーション・愛情】「幸せホルモン」で不安、緊張を和らげましょう

エコチル調査ではお子さんとのコミュニケーションについて、継続して質問しています。

「お子さんを抱きしめたり、優しい言葉をかけて愛情を示していますか」という質問では、3 歳 6 カ月で 96.9 %、6 歳でも 94 %のお母さんが「あてはまる」と回答していました。

体に優しく触れられたり、優しい言葉をかけてもらうと、「オキシトシン」という物質が分泌されます。オキシトシンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、ストレスや、不安、緊張を和らげる効果があります。

オキシトシンは相互に分泌されるので、子どもだけでなく、子どもに触れたり言葉がけをしたお父さん、お母さんにも分泌されます。

子どもとの触れ合いの時間を大切に

小さい子どもは、自分の気持ちを言葉にするのが難しいものです。子どもがうまく表現できない不安な気持ちやもやもやした気持ちも、家族に抱きしめてもらったり、優しい言葉をかけてもらうことで落ち着くことも多いのではないでしょうか。

日本には古くから「『つ』がつくうちは、膝の上」という言い伝えがあるそうです。「ひとつ」「ふたつ」と数えて、 9 歳までは親の膝の上に置いて育てることが大事だ、との意味が込められているようです。

9 歳と言わず、子どもとの触れ合いの時間をいつまでも大切にしたいですね。

(監修:小児科医・満田直美さん)

【子どもとのコミュニケーション・理由を聞く】叱る前に、子どもの目線に立ちましょう

6 歳の調査で、「子どもが間違った行動をした時、どうしてその行動をしたのか理由を聞き、どうしたらよかったのかを話し合っていますか」と聞きました。89.4 %が「だいたいあてはまる」あるいは「ぴったりあてはまる」と回答しました。

お子さんが間違った行動をしたとき、ついつい叱り飛ばしたくなることもあるかもしれません。でも、まずは子どもの目線に立って、「どうしてそうしたかったの?」と聞いてみましょう。

話を聞くと、子どもなりの理由が分かることがあります。そんなときは説明できたことを褒め、子どもの気持ちに共感してあげましょう。その後で、どうしたらよかったかを話し合い、取るべき行動を具体的に伝えましょう。

「どうして?」に答えられない場合は代弁を

小さい子どもは特に、大人に「どうして?」と聞かれても、うまく答えられないこともしばしば。そんなときは、子どもの気持ちを代弁して、例えば「仲間に入れてもらえなくて悲しかったのかな」などと聞いてあげましょう。

頭ごなしに叱るより、まずはその行動をせざるを得なかった子どもの気持ちを受け止めていくと、子どもも心を開いてくれ、どうしたらよかったかを伝えやすくなるかもしれません。

(監修:小児科医・満田直美さん)

【子育ての相談相手】「友人」と大変さを共有。「職場の人」「専門家」も相談相手になっています

5 歳、7 歳の調査で「子育てについて相談できる人はいますか?」と聞きました。

5 歳では「いる」と答えた人は 98.5 %、7 歳では 97.8 %でした。「いない」と答えた人は 5 歳で 1.5 %、7 歳で 2.2 %と、わずかですが増えています。

7 歳の調査で相談相手について聞きました。子どもから見た続柄で、「母の友人」が 70.5 %、「祖母」が 69.9 %、「父」が 60.1 %という結果でした。

母の友人への相談が多いのは、同じぐらいの子どもさんを育てる友人と、育児の大変さを共有できるからかもしれません。

相談相手で「その他」を選んだ人では、「職場の人」という回答が多くありました。幼稚園、学校、学童保育の先生、病院の先生、支援センターの先生など、専門家の先生に相談する方も多くいました。

「身近な人」以外にも相談できます

今はいろいろな家族関係があります。パートナーや家族など、身近な人に相談しにくい人もいると思います。

身近な人に相談しにくい場合は、家族関係より少し遠い人を頼ってみることをおすすめします。電話相談などもあります。

「身近ではない人だから、相談しやすい」ということは多々あります。一人で悩まず、相談できる人や場所を探してほしいと思います。

(監修:公認心理師、臨床心理士・小森香さん)

第 3 部、ほかの記事はこちらから

「歯のケア」「歯ぎしり」「テレビ・DVD鑑賞」「携帯・ゲーム機」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より①

「一緒に過ごす時間」「睡眠時間・就寝時間」「食物アレルギー」「花粉症」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より②

「習い事」「外遊び」「アトピー性皮膚炎・乾燥肌」「入浴」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より③

「おねしょ」「加熱式たばこ・電子たばこ」「一緒に遊ぶ機会」「予防接種」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より⑤

エコチル調査について

エコチル調査は 2011 年に始まった追跡調査です。全国から 10 万組、高知県からは約 7000 組の親子が参加し、年 2 回の質問票に答えています。

調査期間はお母さんの妊娠期から、生まれた子どもが 13 歳になるまでの予定でしたが、18 歳まで継続されることになりました。

高知ユニットセンターのキャラクターは「ちょるるん」
高知ユニットセンターのキャラクターは「ちょるるん」

高知県内のエコチル調査は、高知大学医学部内にあるエコチル調査高知ユニットセンターが行っています。

第 3 部で紹介するデータは、2022 年 6 月時点の高知県内の回答に基づく暫定的な結果です。データは四捨五入しており、加算値が 100 %にならない場合があります。

 

ココハレの「エコチル調査」で「ずっと、ぎゅっと!」を掲載しています。

この記事の著者

ココハレ編集部

ココハレ編集部

部員は高知新聞の社員 6 人。合言葉は「仕事は楽しく、おもしろく」。親子の笑顔に出合うことを楽しみに、高知県内を取材しています。

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