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入園、入学、職場復帰、引っ越し…支援センターを“卒業”しても子育てを見守っていきます|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら・53」

入園、入学、職場復帰、引っ越し…支援センターを“卒業”しても子育てを見守っていきます|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら・53」

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営するNPO法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

入園、入学、進級で子どもの環境が大きく変わる春。大人も職場復帰したり、異動があったり、何かと緊張しますよね。子育て支援センターも春は利用者が大きく入れ替わる季節。今回は引っ越しに伴い、いるかひろばを“卒業”したお母さんのお話です。

コラム「こころのとびら」はこちらから

新しい環境は、子どもも大人も緊張を伴います

2025 年度がスタートしました。入園式、入学式を迎えたご家族の皆さま、おめでとうございます。

お子さんはそれぞれ進級し、新しい環境となったことでしょう。お母さん、お父さんの中には職場復帰や異動、引っ越しなどで環境が変わった方もいるかと思います。

春ですね。いるかひろばのお部屋のある港孕保育園でもチューリップが咲きました(写真はいずれも本文とは関係ありません)
春ですね。いるかひろばのお部屋のある港孕保育園でもチューリップが咲きました(写真はいずれも本文とは関係ありません)

新しい環境は、大人も子どもも緊張を伴います。特に子どもは気持ちを言葉で表現するのが難しいです。もしかしたら、泣いたり、落ち着かなかったり、機嫌が悪くなったりなど、いつもと違う行動があるかもしれません。

そんな時には、お子さんの気持ちに添ってあげてみてはいかがでしょうか。いるかひろばでよかったら、関わり方を一緒に考えることもできますよ。

直接会えなくても、遠くから見守ることができました

いわゆる「転勤族」のご家庭は、引っ越しのたびにお住まいも変わります。私も経験がありますが、ご苦労もひとしおだとお察しします。

いるかひろばは、転勤族の方も利用されています。Aさんは、いるかひろばができた頃、夫の転勤で高知に来られました。車を運転されない方で、娘さんを連れて、毎日歩いて通ってくださいました。暑い日も寒い日も、風が強い時も雨の時も。頭が下がる思いでした。

Aさんは娘さんへの関わり方に悩んでいました。他のお子さんとの小競り合いなど困ったことがあれば、その都度一緒に考えていきました。

ほかにもご家庭のことなどさまざま不安を抱えながら、懸命に子育てをされていました。Aさんの気持ちに寄り添えるように、ちょっとした変化も見逃さないように接したことを覚えています。

今日は何して遊ぶ?
今日は何して遊ぶ?

高知での生活や子育てにだいぶ慣れた頃に、また転勤となりました。やがて新たな命を授かり、お姉ちゃんと弟の 2 人の子育てが始まりました。

高知を離れてからも、何か心配なことがあると連絡があり、お子さんたちが成長した様子も知らせてくれました。

直接会えなくても、直接関わることができなくても、遠くから子育てを見守ることはできると思ったことでした。

「小さい時、もっと優しくしてあげればよかった」

この春、Aさんから連絡がありました。

「娘が高校を卒業しました。4 月から県外で暮らします」

「娘が小さい時、もっと優しくしてあげればよかった」

つづられていたのは、子育てへの後悔。家庭の問題で抱えたストレスを子どもたちにぶつけてしまったことを反省していました。

いるかひろばではお子さん同士の関わりを見守っています
いるかひろばではお子さん同士の関わりを見守っています

Aさんはいろんな葛藤を抱え、「しんどい」と言いながらも懸命に子育てをしてきた方です。私はAさんの子育てを振り返り、お返事しました。

「これまでご苦労さまでした」

「娘さんも息子さんも、お母さんが頑張って関わってこられて、元気に育っていると思います」

子どもはやがて、巣立ちます

子育ては楽しいけれど、大変なこともたくさんあります。いるかひろばにはこんな相談が寄せられます。

「夜ぐっすり寝られません」

「子どもがどうして泣いているのか分からない」

「子育ての方針で夫と意見が違っていて、しんどいです」

でも、このような生活はずっと続くわけではありません。子どもの成長とともに親も成長します。やがて子どもは親から巣立ちます。さみしいけれど、うれしい成長です。

遊びながら、関わりながら、毎日いろんなことを吸収しています
遊びながら、関わりながら、毎日いろんなことを吸収しています

Aさんからその後、こんなメッセージが届きました。

「娘がいとおしいです。一緒に過ごした一日一日が貴重な時間だったと、今さらながら思い知らされます」

いるかひろばでは、子育てが始まった頃のお母さん、お父さんと出会います。そして、入園や入学、職場復帰や引っ越しとともに離れていかれます。ご縁のある方は、近況を時々報告してくださったり、偶然出会ったりしながら、その後の子育ても共有させていただいています。

離れたとしても見守ることはできますし、子育ての居場所の一つにしていただけたらありがたいです。

いるかひろばは本年度も、皆さんの子育てを応援していきます。

※今回のコラムはAさんの了解のもと、執筆しました。Aさんに感謝申し上げます。

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜 9:30~12:00、12:30~15:30  日 、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します

オンラインいるかひろばのスケジュール

  • お試しオンライン(相談も):月~金曜日 9:30~10:00
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日。午前は 11:00~11:30 、午後は 15:00~15:30 。通所いるかひろばとつないで「集まりの時間」を行います

 

土居さんへのインタビューはこちら

【ココハレインタビュー】「いるかひろば」理事長・土居寿美子さん|しんどい気持ち、安心して話して

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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