【2023年】「らいーな」の保育園に親子で行ってみませんか?|地域ぐるみで子育てを。高知県の多機能型保育支援事業を紹介します
子育てサロン、園庭開放、季節の行事、水族館…「地域の子育て応援拠点」として高知県内の18園が活動しています
「らいーな」をご存じですか?高知県が進める「多機能型保育支援事業」の愛称です。2023 年度は高知県内の 18 の保育施設が「地域の子育て応援拠点」を目指して活動しています。
子育てサロン、季節の行事、水族館など、各施設が工夫を凝らして、親子の交流の場を毎月設けています。園庭開放もあります。
高知市の江ノ口保育園、高知愛児園をココハレ編集部が訪ねました。
目次
「多機能型保育支援事業」とは?子育て家庭を地域で見守り、支えます
多機能型保育支援事業は 2016 年度、高知県教育委員会が始めました。目的は、子育て家庭を地域で見守り、支え合うこと。具体的な活動は次の三つです。
- 子育て支援の場の提供
- 未就園児や地域住民にも参加してもらう園行事の実施
- 地域活動への参加
事業の運営はNPO高知市民会議に委託されています。「こんな施設があったらいいな」という思いを込め、「らいーな」の愛称で呼ばれています。
らいーなの活動は 8 年目に入りました。その意義について、高知県教委幼保支援課の課長補佐・有岡希恵さんと、佐藤理香さんに聞きました。
らいーなの活動の対象は、主に未就園児です。高知県内の未就園児の割合は 2022 年度、0 歳児で 8 割弱、1~2 歳児で 2 割ほど。高知県は共働き世帯が多く、1 歳を過ぎると、ぐっと減ります。
さらに、親と子どもだけの核家族世帯も増えています。
「不安や悩みを抱えながら、孤独に子育てをしている人がいます。地域ごとにある保育園を拠点として、子育て支援を身近に、利用しやすいものにしていきたいと考えました」
保育園での活動を核に、親子と住民がつながり、子育てしやすい地域をつくっていく。コロナ禍で控えられていた活動は今、徐々に復活しています。
【江ノ口保育園】園庭開放はいつでもウェルカム!「心配なことがあれば保育園へ」を当たり前に
江ノ口保育園(高知市中水道)は 2016 年度から、らいーなに参加しています。主な活動は、毎週水曜日の子育て相談と、木曜日と土曜日の園庭開放です。
園長の刈谷緑さんは「活動日は決めていますが、いつでもウェルカムです。朝、お母さんから『今日行っていいですか?』と電話があると、『どうぞー!』とお声掛けしています」と笑顔で語ります。
らいーなの魅力の一つが、保育園での生活を身近に見られること。江ノ口保育園でもお誕生日会や季節の行事を通して、親子が利用しやすい機会を提供しています。
刈谷さんは「『保育園は敷居が高い』という意識を変えたい」と考えています。
「『子どもを通わせてなかったら来ちゃ駄目』なんて全くないです。保育園の敷居、壁を取り払って、誰にとっても安全で、安心して遊べる場所にするのが多機能型保育支援であり、子育て応援だと思います」
江ノ口保育園では江ノ口地区の民生委員らと協力し、地域の赤ちゃん訪問に取り組んでいます。刈谷さんや園の看護師が同行し、「心配なことがあったら、保育園に来てくださいね」と呼び掛けています。
「県外から来られた方も多くて、土地に慣れるのも大変だなと感じます。保育園を先輩ママや地域の人とつながる場所にして、子育てに悩む時間を楽しむ時間に変えていきたいです」
7 月からは新たに「江ノ口絵本の日」が始まります。お天気のいい日は園庭にあるログハウスで、地域の人が絵本の読み聞かせをします。毎月第 3 火曜日の 10:00 から。7 月は 18 日(火)開催です。
【江ノ口保育園】
- 住所:高知市中水道 9-24
- 電話:088-872-7782
- 駐車場:園舎北側に 5 台分あります
- らいーなの主な活動:子育て相談、園庭開放、季節の行事、江ノ口絵本の日
※園庭開放を利用する際は、事前に電話してください
【高知愛児園】お母さんの「あったらいいな」を「サロンおひさま」で企画!主任児童委員も参加しています
高知愛児園(高知市竹島町)は 2017 年度から、らいーなに参加しています。主な活動は、毎週木曜日の「サロンおひさま」と、月曜日の園庭開放です。
6 月のサロンおひさまを訪ねると、「いろいろな感触をたのしもう」という遊びをしていました。
風船を使ったクッションに寝そべったり、水のりを活用したおもちゃをぐにゅっとつかんでみたり。小麦粉を水で練り、粘土遊びのように楽しんでいました。
サロンおひさまでは「お母さんたちがほっとできる場所」を心掛けています。らいーなの活動に力を入れてきた前園長の家次まりさんは「お母さんたちの希望を聞いたり、保育士が母親目線で『あったらいいな』と考えたりしながら企画しています」と語ります。
保育士が考えた「あったらいいな」の一つがランチ会。近くにある「ほっと笑(しょう)」で開かれました。ほっと笑は空き家を活用した地域サロンで、高齢者や子どもの支援に取り組んでいます。
お昼前に親子が訪れ、まず子どもたちがお昼ご飯。終わったら、スタッフらが子どもを預かります。
お母さんたちは隣の部屋でゆっくりランチ。手作りのおかずがおいしそうです。「座っておしゃべりしながら食べられてうれしい」と喜んでいました。
愛児園では地域の主任児童委員もらいーなの活動に定期的に参加しています。他にも、自主防災の活動に参加したり、百歳体操を訪問したり、地域とつながる場を設けています。
家次さんは「保育士でもなく、ママ友でもなく、しゅうとめでもない、『近所のおばちゃん』の存在が大事」と考えています。らいーなを通して顔見知りになり、地域で会話が生まれています。
「『お子さん、大きくなったねぇ』という声掛けは、お母さんにとっては『子育て頑張ってるねぇ』という励みになります。わが子を知ってくれている人が地域にいることは、とても心強いですよね」
家次さんは、他の園のらいーなの活動もお母さんたちに紹介しています。「他の園には行きづらい」という声を聞き、一緒に訪問できるイベントも企画しています。
「自園のことだけを考えて、『利用者が増えてよかった』というのは違うかなと。らいーなの活動を広げ、みんなで盛り上げていけば、子育てに優しい地域、高知になると思います」
【高知愛児園】
- 住所:高知市竹島町 28-2
- 電話:088-831-2857
- 駐車場:あり
- らいーなの主な活動:サロンおひさま(木曜日)、園庭開放(月曜日)
※サロンおひさまは活動によって曜日が変わります。電話で予約してください
厚生労働省が注目!県内にもっと広げていきます
保育園を拠点にした多機能型保育支援事業「らいーな」は、高知県オリジナルの事業です。国も注目し、2023 年度の厚生労働白書で紹介されることになりました。
参加する保育施設は現在 18 園(補助金を受けている施設はこのうち 16 園)。高知県教委幼保支援課の有岡さんは「各園の状況や希望を聞きながら、もっと増やしていきたい」と話していました。
保育園が利用者以外にとっても行きやすい場、相談しやすい場になれば、子育て中の親にとってありがたいですね。
2023 年度は高知市、室戸市、香美市、四万十市の計 18 施設が多機能型保育支援事業に取り組んでいます。
高知市
- Azonoにこにこ駅(高知市薊野北町 4 丁目 7-24 )
- うらど龍馬保育園(高知市浦戸 528-1 )
- 潮江第二双葉園(高知市仲田町 1-13 )
- 江ノ口保育園(高知市中水道 9-24 )
- 介良西部保育園(高知市介良丙 789-1 )
- 高知愛児園(高知市竹島町 28-2 )
- 高知聖園マリア園(高知市新本町 1 丁目 7-25 )
- さくらんぼ園(高知市帯屋町 2 丁目 2-9、帯屋町チェントロビル 2 階)
- 針木保育園(高知市針木北 2 丁目 2-13 )
- ふくし園(高知市百石町 3 丁目 7-7 )
- 城南保育園(高知市竹島町 158-1 )
※補助金を受けていない施設も含まれています
室戸市
- 元保育所(室戸市元甲 1680-2 )
香美市
- ひまわり保育園(香美市土佐山田町 842 )