高知の子どもの大学進学を低糖質スイーツで応援!返済不要の奨学金「ともしび奨学基金」で支援を呼びかけています

「ともしび奨学基金」を知っていますか?経済的な事情などで大学進学を諦めざるを得ない子どもを支援する返済不要の給付型奨学金で、公益財団法人「土佐育英協会」が運用しています。
「ともしび奨学基金」を発案したのが菓子メーカー「スウィーツ」の創業者・福永稔さん。福永さん自身、そして福永さんの父親が奨学金で大学を卒業した経験から、私財を投じて始めました。
「スウィーツ」で販売されている低糖質スイーツシリーズの売り上げの 5 %が奨学金の原資に充てられています。福永さんは進学の夢を諦める子どもを一人でも多く救おうと、クラウドファンディングで支援を呼びかけています。
高知の子どもに大学進学の希望を 返還不要の給付型奨学金「ともしび奨学基金」で苦学生を支えたい 菓子メーカー「スウィーツ」(香美市)―EINEE高知
(高知新聞PLUS 2025 年 7 月 1 日掲載)
経済的な苦境やさまざまな家庭の事情で大学進学を諦めざるを得ない子どもや家庭にとって、返還不要の給付型奨学金は大きな希望になります。その一つ、公益財団法人土佐育英協会が運用する「ともしび奨学基金」は、大学進学を諦めてほしくないとの願いを込めて、菓子メーカー「スウィーツ」(香美市土佐山田町テクノパーク)を創業した福永稔さんが発案し、私財を投じて始めたもの。福永さんは、多くの人に基金の存在を知ってもらい、経済的な事情で進学を諦める子どもを一人でも減らそうと活動を続けています。

創設4年で396万円給付
ともしび奨学基金は、土佐育英協会の貸与型奨学金に上乗せして給付する奨学金。月額3万円を4年間(6年制大学の対象者には6年間)給付します。
福永さんは2018年に活動を開始し、2020年に基金を創設。これまでに選考を経て決定した5人に計396万円を給付してきました。今春には毎年の新規給付対象者を1人から2人に増やしています。
奨学金の原資は、福永さんの自己資金や低糖質スイーツ売上額の5%分のほか、一般からの寄付も充当。寄付金の累計総額は2300万円超に上り、福永さんは「想像を超える多くの方から寄付をいただいた。世の中捨てたもんじゃない」と喜びます。
父の思いを引き継ぎ、基金創設を目指す
福永さんが基金の創設を目指したのは、自身、そして父親も奨学金で大学を卒業した経験が大きく影響しています。
父親は大学を卒業する際、余った奨学金を返還しようと、奨学金を運用する企業に出向きました。しかし、その企業の経営者はお金を受け取らず、こう言ったそうです。「将来、あなたが苦学生のための奨学金を作ってくれるとうれしい」
そんな話も聞いて育った福永さん。「親子で受けた恩を返したいと強く思ってきた。社会貢献と人材育成のバトンを次の世代につなげたかった」。思いを温め、仕事に励んできました。
道を開いた低糖質スイーツの開発
福永さんが創業した「スウィーツ」は、ヒット商品にも恵まれて経営が軌道に乗り、奨学金の実現も視野に入るようになりました。そんな頃、糖尿病を患う友人から、糖質を抑えた菓子の開発を懇願されます。


福永さんは、創業前に勤めていた菓子メーカーの同僚で、洋菓子店「シャンクレール」(南国市岡豊町吉田)を営む立田俊二さんに相談。試行錯誤の末、従来の品から糖質を90%カットしながらもしっかりとした甘さを味わえるスイーツを開発しました。
新商品とともに、福永さんは構想の具現化に動きます。それが現在「心をつなぐ美糖質スイーツプロジェクト」として展開されている活動。低糖質スイーツシリーズの売り上げの5%、年間約300万円を奨学金の原資に充てるとともに、提携する高知市内2カ所の障害者施設に商品の製造、販売を委託。福祉への貢献も実現させました。
より多くの子どもに進学の道を!
福永さんは、自身も籍を置いた上智大学のOB会メンバーらで組織する「ともしび奨学基金推進委員会」とともに、進学の夢を諦める子を一人でも多く救おうと活動を続けています。そして、基金の精神をより多くの人に知ってもらい、支援の輪がさらに広がれば、もっと多くの子に給付できると考え、クラウドファンディングに挑戦しています。

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ココハレ編集部
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