赤ちゃんの発達に応じた遊び方を紹介|「遊び込み」をやってみよう【乳児編】
赤ちゃんとどう遊んだらいい?「遊び込み」について助産師さんに聞きました
毎日の子どもとの関わりの中で、「気持ちに余裕がないな」「もっと楽しい時間を過ごしたいな」と感じたことはありませんか。
乳児期には授乳やおむつ替えなどのお世話を通して、親子が関わりを深めていきます。「遊び」もその一つです。遊びを通してどんなふうに子どもと関わっていけばいいのでしょうか。
親子が一緒に遊ぶことを通じて心のつながりを強くしていく「遊び込み」という技法があります。この「遊び込み」の講座を高知県内で開いている助産師の森木由美子さんに、赤ちゃんの発達段階に応じた遊び方を聞きました。
目次
「育児に完璧を求めない」ことが前提です
助産師の森木由美子さんは土佐市を拠点に、家庭訪問をしながら授乳や、抱っこ・おんぶの仕方、沐浴(もくよく)などの支援を行っています。
遊びについてはNPO法人「遊びとしつけ推進会」の「認定おもちゃ子育てアドバイザー」の資格を持ち、保護者向けに講座を開いています。今回はいの町の地域子育て支援センター「ぐりぐらひろば」での講座を取材しました。
森木さんは小学 3 年の長男と 1 年の長女を育てています。長男を出産後、子どもとの関わり方について悩みました。「赤ちゃんが好きで助産師になって、わが子もかわいいはずなのに、『どうやって過ごそう』と思いました」。長女が生まれ、長男と向き合う時間が減ったことが「遊び込み」を学ぶきっかけになりました。
講座では具体的な遊び方を紹介する前に、「育児に完璧を求めないで」と呼び掛けました。「育児に正解はないし、『 何歳までにこれをしないと手遅れになる』なんてことはありません」「『いいお母さん』ではなく、『私らしくいられること』を大事に、頑張り過ぎないでくださいね」
一緒に遊ぶ時間を楽しみましょう
子どもに特に手が掛かる乳幼児期。「早く一人で遊べるようになってほしい」と感じる人もいると思います。
子どもの一人遊びは、大人が一緒に遊ぶことでできるようになるそう。「たくさんおもちゃを与えたから遊べるようになるのではなく、親が関わってじっくり遊び込むことが大切。一緒に遊ぶことを楽しんでほしい」と森木さんは話します。
「親子の心が通じ合うことは教育の原点であり、遊びは学習の基盤になる」とのこと。「教育の原点」というと難しそうなイメージがありますが、「遊びを通して重ねるコミュニケーションやふれあいが、心の安定につながる」のだそうです。
では、具体的な遊び方を紹介します。月齢は目安ですので、お子さんに合わせて取り入れてみてください。
生まれてすぐから「遊び」は始まります
赤ちゃんとの遊びは生まれてすぐから始まります。「 0 ~ 4 カ月ごろはとっても簡単」と森木さん。「おもちゃを握らせてみたり、ガラガラを振ってみたりして、『かわいいね』と声を掛ける。そんなことが『遊び』になるんですよ」
【生まれてすぐからの遊び込み】
軽いおもちゃを手に持たせたり、音の出るおもちゃを振ってあやしてみてください。授乳後の機嫌のいい時に遊んでみると、生活のリズムができてきます。
何度も抱っこしてあやし、目を見つめて話しかけてみましょう。赤ちゃんの「お父さん、お母さんに抱っこされていたい、くっついていたい」というニーズを満たしてあげるとともに、妊娠出産で疲れたお母さんの心身を休ませ、ゆったりと過ごすことが大切です。
お父さん、お母さんの声も聞いています。絵本は生まれてすぐから読んであげましょう。
【 2 ~ 3 カ月ごろの赤ちゃんの発達】
お父さん、お母さんの顔を見たり、頭を動かして周囲を見るようになります。色の濃いおもちゃを見て喜ぶようになります。
【遊び込みのポイント】
リング状など握りやすいおもちゃを握らせてみましょう。赤ちゃんが見える所におもちゃをつるすのもいいでしょう。
「あーうー」と声を出した時は「あーうー」と同じように答えてみるのも「遊び」になります。「赤ちゃんは言葉が分からない」と思わずに、何でも話しかけてみましょう。
腹ばいもいい遊びになります。赤ちゃんの状態に気をつけながら、やってみましょう。
日々の遊び込みを通して、親子の絆が育まれます
子どもの目を見ながら一緒に遊び、子どもの反応に応えていく。そんな遊び込みを続けていくことで「親子の絆が育まれていく」と森木さんは話します。
【 4 カ月ごろからの赤ちゃんの発達】
首が据わり、物音に興味を示したり、声のする方に目と頭を向けたりするようになります。
口、舌、手で触って確かめたり、歯茎でかんだりするようになります。
【遊び込みのポイント】
「いないいないばあ」が分かるようになります。ぬいぐるみを後ろに隠して、「ばあ」と前に出してみましょう。
お散歩の際には「今日は晴れてるね」「ぶーぶー通ったね」など、目の前のできごとを話し掛けてください。
指で物をつかむようになるので、誤飲事故に気をつけましょう
【 8 カ月ごろからの赤ちゃんの発達】
好奇心旺盛になり、手先も器用になります。おもちゃを何度もひっくり返したり、かんだり、なめたりします。
手を動かしていろいろなことを試し、考えることで、思考も発達します。
【遊び込みのポイント】
遊びでは単純なことをずっと繰り返します。本棚の本を全部出したり、引き出しを開けたり。水回りも大好きです。コップをひっくり返す、ティッシュを箱から全部出そうとするなど、親を困らせる行動も出てきます。
赤ちゃんは同じことを繰り返しながら自分なりに考えて試しているので、「今の時期だけ」と思って付き合ってあげましょう。例えばティッシュは 1 箱全部出させて「できたね」と声をかけ、満足感を味わってもらうのもおすすめです。
まだ歩けない時期ですが、散歩はしましょう。土や葉っぱの上に座って自分の手で触るのもいい経験になります。
最高のおもちゃは「お父さん、お母さん」です
赤ちゃんの発達と遊びのポイントを紹介しましたが、あくまでも目安です。
子育てでは「心地よいか、不快か」「好きか、嫌いか」という自分の気持ちを大事にし、子どもがどう感じているかを想像しながら関わっていくといいそう。「目の前のわが子の反応を見ながら、喜ぶことをしてあげください」
ちなみに、赤ちゃんにとって最高のおもちゃは「お父さん、お母さん」なのだそう。「たくさん話し掛けて、何度も抱っこして、ぴったりくっついて。たくさんふれあってくださいね」
「幼児編」では 1 ~ 2 歳のイヤイヤ期の子どもとの遊び方を紹介します。
森木さんは土佐市の助産院「はぐはぐ」を拠点に、訪問型の育児支援や産前産後ケアを行っています。母乳育児や、抱っこやおんぶの仕方、沐浴(もくよく)支援など、メニューごとに料金が異なります。相談したい場合は「助産院はぐはぐ」に問い合わせをしてください。