抱っこひもを正しく使い、腰痛を防ぎましょう!|ベルトの位置・締め方、赤ちゃんの態勢…抱っこひも相談会で助産師さんがアドバイスしました
赤ちゃんの子育てで欠かせない抱っこひも。快適に抱っこするための道具ですが、腰痛や肩こりに悩んでいるお母さんたちは少なくありません。
そんなお母さんたちを助けようと、助産師さんによる「抱っこひも相談会」が高知市で開かれました。
抱っこひもの使い方はアドバイスでどう変わる?ココハレ編集部がレポートします!
高知県内では3人の助産師さんが「抱っこの専門家」として活動しています
今回の「抱っこひも相談会」は 2023 年 6 月 26 日、高知市内で開かれました。
講師は助産師の細川真利さん、谷泰子さん、森木由美子さん。日本ベビーウェアリング協会で、抱っこの専門家として活動しています。
ベビーウェアリング協会は「抱っこやおんぶを通した子育て支援」をテーマに活動している一般社団法人です。お父さん、お母さん向けの講座や、子育ての支援者向けの講座などを企画しています。
2023 年春には「あなたと赤ちゃんにあう抱っこひもの選び方ガイド」を作りました。
今回の「抱っこひも相談会」はガイドの実践版として企画されました。アドバイスの様子を、お母さんたちのお悩みとともに紹介します。
【お悩み①赤ちゃんが下がってる?】ベルトの位置は胸の下に!
生後 9 カ月の赤ちゃんと訪れたお母さん。バックル式の抱っこひもを使っていますが、「正しく使えているかよく分からない」そうです。
「子どもが下がってる感じ」とも話していました。
アドバイスを担当した谷さんによると、ベルトを巻く位置がそもそも低いそう。
「ベルトの位置は腰骨辺りだと思われがちですが、胸の下なんですよ」
ベルトの位置が決まると、次は赤ちゃんの位置です。ポイントは「赤ちゃんのお尻が大人のおへそより高くなるように」。
赤ちゃんが下がらないように、肩や両サイドのベルトを締めて調整していきます。
赤ちゃんの位置が低いと、お母さんがバランスを取ろうとして腰を痛めるそうです。
赤ちゃんも高い位置にいる方がお母さんの顔に近くなります。呼吸がしやすくなり、周囲への興味・関心も広がるそうです。
完成形がこちら。お母さんは「全然違う!」と感激していました。
【お悩み②肩と腰が痛い!】ベルトの長さは1センチ単位で調整を!
続いてのお母さんは、生後 6 カ月の赤ちゃんと訪れました。上のお子さんの送り迎えなどで、抱っこひもは「ほぼ毎日使っている」そうです。
赤ちゃんの体重は 7 キロほど。5 キロを超えた頃から、肩と腰が痛くなりました。
使っている抱っこひもはバックル式タイプです。あらかじめ形ができている抱っこひもは、自分と赤ちゃんの体に合うように調整が必要です。担当した細川さんはさらに「赤ちゃんの成長に合わせて調整していきましょう」と説明しました。
意識したいのはやはり、赤ちゃんの位置です。「お尻の位置は高めに、赤ちゃんの手は上に向けて自由に動かせるようにしてみましょう」
抱っこひもは 1 センチ単位でフィットするように調整していきます。左右の肩ベルトをつなぐベルトも調整していきます。
これまでは「見よう見まねで着けてました」とお母さん。「フィット感が全然違う!覚えておきます!」と喜んでいました。
【お悩み③布タイプ】使い方が難しい?!着け方を実際に教えてもらうのがおすすめ
続いてのお母さんは「家で使うために買ったけれど、使い方がよく分からない」と、布の抱っこひもを持参していました。布がクロスされたタイプで、「あなたと赤ちゃんにあう抱っこひもの選び方ガイド」では「成型された布タイプ」に分類されています。
バックル式に比べると難しそう…ということで、森木さんと一緒に着けてみました。
赤ちゃんを布で包み込んだら、さらに別の布で包み込んで補強します。
成型された布タイプの抱っこひもは手早く装着できるのが特徴です。「抱き下ろしが頻繁なシーンでは使いやすいかも」とのことです。
寝返りを始めた赤ちゃんには「体を動かしたい」という欲求があります。森木さんは「落下の危険があるので、そんな時は降ろしてあげてください」と話していました。
【お悩み④おんぶ】「昔ながらのおんぶひも」は赤ちゃんの位置が高くなります
抱っこひもは、赤ちゃんを胸の位置で抱っこします。両手は空きますが、胸がふさがるので、家事の中でも特にお料理をしづらいのが悩み…。そんな時に試してみたいのがおんぶです。
今回の抱っこひも相談会では、おんぶは対象外でしたが、実演していただきました。
細川さんが使ったのは「昔ながらのおんぶひも」です。保育園の先生がよく使っていますね。
ひもは胸の前でクロスさせる方法が知られていますが、胸を強調しない結び方もあるそうです。
快適な抱っこのポイントは五つ!確認しましょう
抱っこひもの種類はさまざまありますが、快適な抱っこのためのポイントは共通しています。次の五つをあらためて確認してください。
- 赤ちゃんのお尻はおとなのおへそより高く…高い位置で抱っこすると、大人の負担が減ります
- 赤ちゃんの膝はお尻より高く、M字開脚…足を自由に動かせるようにして、股関節の脱臼を防ぎます
- 赤ちゃんの手は上にする…呼吸がしやすくなり、手や口の発達も促します
- 赤ちゃんとぴったり密着する…大人の手のひらが入るくらい密着すると、窒息や転落を防ぎます
- 赤ちゃんの様子が分かる…赤ちゃんの表情が見えるようにしましょう。機嫌や体調の変化にすぐに気付けるといいですね
五つのポイントは「あなたと赤ちゃんにあう抱っこひもの選び方ガイド」で紹介されています。
抱っこひも選びに悩んだ時は?バックル式、1枚布、スリング、おんぶひも…「選び方ガイド」を参考に
細川さん、谷さん、森木さんはそれぞれ、母乳相談や抱っこ・おんぶの相談、産後ケア、子育て講座などに取り組んでいます。
- このは助産院・細川真利さん(高知市)
- 小梅助産院・谷泰子さん(高知市)
- 助産院はぐはぐ・森木由美子さん(土佐市)