「見えない家事」が見えてる?夫婦の家事分担にもやもやしていませんか?|「夫が知らない家事リスト」の著者で放送作家の野々村友紀子さんが講演しました
子育て中の家庭に欠かせないのが家事や育児の分担。最近は「男性の育休」も進んでいますが、国の調査では家事の 8 割は女性が担っているそうです。
家事、育児の協力について考える「共育て講演会」が安芸市で開かれ、放送作家の野々村友紀子さんが登場しました。
野々村さんは著書「夫が知らない家事リスト」で「見えない家事」を紹介しています。夫婦での役割分担にもやもやしているママパパに向けて、家族でハッピーに過ごすヒントを語りました。
目次
ココハレ編集部が取材したのは安芸市主催の「みんなで考える 共育て講演会 ~ 家事・育児の協力ってなぜ大事?~」。2026 年 2 月 15 日に安芸市民会館で開かれました。
講師の野々村友紀子さんは芸人として活動後、放送作家に転身しました。現在は吉本総合芸能学院(NSC)東京校の講師や作家活動に加え、メディアにも出演。Eテレの「ハロー!ちびっこモンスター」や情報番組のコメンテーターなどでもおなじみです。
主な著書に「強く生きていくためにあなたに伝えたいこと」(産業編集センター)、「夫が知らない家事リスト」(双葉社)があります。
夫はお笑い芸人「 2丁拳銃」の川谷修士さんで、2 人の娘がいます。講演では著書の「夫が知らない家事リスト」を紹介しながら、「見えない家事」について語りました。
夫婦の家事分担は「3対3」?!夫には見えていない家事がありました
講演では「夫が知らない家事リスト」の執筆に至った経緯から語られました。
修士さんと結婚した当初、「家事は私がやるわ」と引き受けた野々村さん。1 人暮らしから 2 人暮らしになり、さらに子どもが生まれ、家事はどんどん増えていきました。
はじめに「私がやる」と伝えた手前、修士さんには家事を頼みづらかったそうです。
「家はきれいだし、ご飯は出てくるので夫は大満足。私は仕事から帰って座ることなく、バタバタ走り回って、子どもをあやしながらご飯を作って。でも、『修士君、やってよ』とは言いにくいから、大きめの音で威嚇するんです」
「威嚇」とは、大きな音を立ててフライパンを置いたり、態度で示したり。野々村さんは「気付いて」「察して」という思いでしたが、「修士君は怖がって近づかない(笑)。家の中の空気が悪くなりました」。
「こりゃあかんな」と考えた野々村さんは、夫婦で話し合いました。
「家事をやって」と伝えると、「俺もやってるけどな」と修士さん。何をやってるのかを尋ねると、こうなりました。
- 野々村さん…掃除、洗濯、炊事
- 修士さん…ごみ捨て、洗い物、フィルター掃除
「えーっ、これで 3 対 3 なん?」と驚いた野々村さん。「見えない家事」が夫には見えていないことが分かりました。
「ごみ捨て担当」って本当?「ごみの散歩」になってない?
「見えない家事」を見える化するため、野々村さんは毎日の家事を書き出してみました。その数、なんと 148 項目!プリントアウトして、修士さんに見せました。
「『修士君、この中でやってることに丸付けて』って渡したら、震える手で丸を付けたのが 148 項目中 8 項目。こんなん、店で売ってるたこ焼きやん!」
見えない家事リストは、著書にまとめる段階で 211 項目に増えました。講演会で紹介された項目の一部がこちら。家事は朝起きた時から始まります。
- 夫婦分の枕、シーツを整える(洗濯交換)
- 子どもを起こす
- 子どもの水筒にお茶を入れる…水筒のパッキンを外して洗う。付け忘れると、お茶が漏れる。
- 部屋の温度と湿度、家族の体調の把握と管理、出発時間の管理…「今日は寒いから上着を着ていって!」と声をかけるのも家事
- 洗濯は色物と白に分ける
- 白シャツは襟と袖を先に手洗いして漂白する…「洗濯はボタン一つ押すだけ」とは違う!
なるほど。「見えない家事」とは、一つ一つにはそれほど時間はかからなくても、朝起きてから夜寝るまでずっと続くものなんですね。
ココハレ編集部員が共感した野々村さんの言葉がこちら。
「『ごみ捨て担当です』ってどや顔する男性がいますけど、よくよく聞くと、奥さんがごみの用意をしていて、本人はごみをごみ捨て場に運んで手を離してるだけ。これは『ごみの散歩』。新しいごみ袋をごみ箱に掛けるまでがごみ捨てですよね」
思春期の娘たちは「パパみたいに家事ができる人と結婚したい」
「夫に家事を把握してもらいたい」と思って作った見えない家事リスト。修士さんは 8 項目しか丸を付けなかった自分に驚いたそうです。
夫婦で話し合ってから、修士さんに変化がありました。野々村さんが「後から畳もう」とソファに置いていた洗濯物がある日、消えていました。
「夫が『ゆきちゃん、バタバタしてるな』と思って畳んでくれました。夫にはそれまで、洗濯物が見えてなかったんですね。男性は見えたら早い。こなしていく力はあるんです」
夫婦での家事分担…知っておきたい三つの“ダメ”
家庭内の家事が把握できたら、次はシェア。野々村さんはシェアのこつとして、三つの“ダメ”を挙げました。
- 無理したらダメ
- 分けたらダメ
- 責めたらダメ
「分けたらダメ」である理由は「分けると、監視のし合いになるから」。確かに、「私はちゃんとやったのに、相手はさぼってる」なんて思いがち…。
野々村さんは「2 人でやったら何でも早いですよ」。料理ならば「切る人」「炒める人」というふうに、「やれる方がやって感謝する」といいそうです。
「責めたらダメ」は相手へのダメ出しをぐっと我慢すること。これについては、参加者からの質問にも答えました。

分かります。畳み方だけでなく、干し方も気になりがち…。
野々村さんの回答は「家事はこだわりがある方がやればいい」。自分のやり方を押しつけると相手のやる気がなくなるので、やってくれたことに対して「ありがとう」を伝えます。
「こだわり」の例に挙げたのが食器の片付け方。野々村さんの中でルールがあり、修士さんに違う片付け方をされると腹が立つそうです。そこで、「私がやる!」と取り上げたりはせずに、「なんでここに入れたの?」と聞いています。
理由を聞き、相手にさほどこだわりがなければ、「こうしてくれたらもっとうれしい」と伝えます。面倒ですが、これが「相手を尊重するやり方」。「自分の中での正解は、相手にとって違う」という前提が大事なんですね。
家事のやり方は「相手に優しく伝える」か「こだわりを貫きたいから『自分でやる』と伝える」かの二択。
シェアに関しても等しく分けるのが必ずしも正解ではなく、自分や家族が楽しく過ごせているかが大事だそうです。
「家事は家族がハッピーになるためのもの。けんかせずに、機嫌よく過ごせてたらいいんです。最初は面倒ですが、『 1 年後、自分の強力なパートナーをつくる』と思って、ちょっとだけ頑張ってみてください」
「トイレットペーパーの芯を立ててトイレから逃げるやつがいるでしょ?せめて花の一輪でも差しとけよ」
「ラップの見失ったあそこを見つけるのね、人生に換算したら 2 年くらい探してんで!」
講演では「見えない家事」を軽快なトークで次々と挙げた野々村さん。「分かるー!」と爆笑しながら、「皆さん、毎日こんなにやってるんです。頑張ってるんです」という言葉に励まされた講演会でした。皆さんもぜひ、「見えない家事」を見える化してみてください。
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