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受動喫煙から子どもを守れていますか?|ぜんそく、たばこの誤飲、見えない「サードハンド・スモーク」…子育て中の親が知っておきたいこと

受動喫煙から子どもを守れていますか?|ぜんそく、たばこの誤飲、見えない「サードハンド・スモーク」…子育て中の親が知っておきたいこと

5月31日は「世界禁煙デー」。たばこの害について高知県医師会・計田香子先生に聞きました

5 月 31 日は「世界禁煙デー」です。WHO(世界保健機関)が禁煙を呼び掛けようと定めました。日本では 6 月 6 日までの 1 週間が「禁煙週間」です。

2023 年度の禁煙週間のテーマは「たばこの健康影響を知ろう!~望まない受動喫煙のない社会を目指して~」です。受動喫煙が子どもに与える影響について、高知県医師会の計田香子(けた・きょうこ)さんに聞きました。

家庭内での喫煙のリスクとして、子どものぜんそくやたばこの誤飲に加え、「サードハンド・スモーク」の被害も指摘されています。詳しくご紹介します。

※ 2023 年 5 月 31 日更新。高知城のライトアップの写真を追加しました。

 

今回お話を聞いたのは計田香子さん。高知厚生病院(高知市葛島 1 丁目)の副院長で、禁煙外来を担当しています。高知県医師会では常任理事を務めています。

子どもの受動喫煙の状況は?

たばこの煙には、三つの種類があります。

  • 主流煙…たばこの吸い口から喫煙者が吸い込む煙
  • 呼出煙…喫煙者が吸って吐き出した煙
  • 副流煙…たばこから立ち上がる煙

受動喫煙とは、呼出煙と副流煙にさらされることです。計田さんは「たばこの有害物質は主流煙よりも副流煙に多く含まれている」と説明します。

「たばこを吸わない人が、意図せず、受け身で有害物質にさらされているのは問題です」

では、どのくらいの子どもが受動喫煙にさらされているのでしょうか。環境省のエコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)にデータがありました。

エコチル調査から、高知県内の基礎データを集計しています
エコチル調査から、高知県内の基礎データを集計しています

高知県内の 1 歳 6 カ月の子どもへの調査で、お子さんの近くでたばこを吸う人がいますかという質問がありました。

「よくいる」と答えた人が 4 %、「たまにいる」と答えた人が 18 %。合計 22 %という数字に、計田さんは「かなり高く、お子さんたちが心配な状況です」。

同じ調査で、お父さんの喫煙率は 29 %、お母さんの喫煙率は 8 %でした。

※エコチル調査の数値は 2017 年時点の暫定データです。

煙を吸わなければいい?「サードハンド・スモーク」に注意を

受動喫煙とは有害物質を含んだ煙を吸い込むこと。では、煙を吸わなければ、健康被害はないのでは?

…と思いたいところですが、計田さんによると、「サードハンド・スモーク」に注意が必要だそうです。

サードハンド・スモークとは目に見えないガス状の有害成分のことで、「残留受動喫煙」「 3 次喫煙」とも呼ばれます。

「例えば、お父さんが外でたばこを吸って家に帰ってきたとします。家庭内にたばこの煙は持ち込まれませんが、お父さんの服や髪の毛などに有害成分が付いています」

「サードハンド・スモーク」は目に見えないので注意が必要です
「サードハンド・スモーク」は目に見えないので注意が必要です

有害物質は喫煙者が吐き出す息や、たばこを吸った部屋の壁紙やカーテン、カーペットなどにも残っていて、乳幼児は特に影響を受けやすいと指摘されています。

サードハンド・スモークは「におい」で考えると分かりやすいそうです。喫煙所から離れていても、においがすればサードハンド・スモークの被害を受けているそうです。

「『換気扇の下で吸ったら大丈夫』とよく言われますが、においは部屋に漂います。子どもの目の前で吸わなくても、喫煙者からたばこのにおいがする時点で有害物質にさらしていると考えてください」

加熱式たばこは紙巻きたばこよりも安全?

最近は従来の紙巻きたばこから加熱式たばこに切り替える人も増えてきました。

「『紙巻きたばこに比べると、加熱式たばこは有害物質が少ない』と言われていますが、ニコチンや発がん性物質が含まれていることが分かっています。加熱式たばこの受動喫煙について調べた研究はまだ少ないですが、避けるべきでしょう」

加熱式たばこは紙巻きたばこに比べると煙がなく、においが抑えられている点が喫煙者に好まれています。一方で、「におわないから、周囲の人が害に気付かない」という点が心配されています。

早産、突然死、ぜんそく、誤飲…たばこが子どもに与える影響を防ぐには?

家族がたばこを吸うことで、子どもには次の影響があると言われています。

【たばこが子どもに与える影響】

  • 早産、低出生のリスク…妊娠中の喫煙、受動喫煙
  • 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク
  • 小児ぜんそくの発症、重症化のリスク
  • たばこの誤飲のリスク

たばこの誤飲では、加熱式たばこに特に注意が必要です。

「紙巻きたばこは口に入れると気持ちが悪いので吐き出しますが、加熱式たばこはスティック状のものをするっと飲み込んでしまうことがあります」

種類によっては金属片が入っているものがあるそうです。

「金属片で喉を傷つけるおそれがありますので、誤飲に気付いたら無理に吐かせず、救急病院を受診してください。子どもは大人が触っている物に興味を持ちますので、手の届く場所、目に触れる場所には絶対に置かないでください」

「禁煙週間をきっかけに、考えてみてください」
「禁煙週間をきっかけに、考えてみてください」

たばこが子どもに与える影響をゼロにする一番の方法は「やはり禁煙です」と計田さんは訴えます。

「たばこはお子さんに有害な影響を与えますし、喫煙者本人にとっても、がんや心臓病、呼吸器疾患、高血圧などあらゆる病気のリクスを高めるものです。大切な家族、そして自分自身をを守ってください」

「禁煙する」と決めた人には、禁煙外来の受診がおすすめです。

「 1 人で禁煙に取り組むのはしんどいので、家族の応援が不可欠です。私たち医療者もサポートしますので、禁煙週間をきっかけに考えてみてくださいね」

 

高知城がイエローグリーンにライトアップされました(5月31日撮影)
高知城がイエローグリーンにライトアップされました(5月31日撮影)

禁煙週間に合わせて、高知城がシンボルカラーのイエローグリーンにライトアップされます。

禁煙週間・高知城ライトアップ

  • 実施日:5 月 31 日(水)、6 月 1 日(木)、5 日(月)、6 日(火)
  • 時間:日没から 22:00 まで
  • 主催:高知県医師会、高知県

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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