18歳以下の子どもへの10万円給付、高知県内の市町村は大半が現金の方針です
18歳以下の子どもへの10万円相当の給付金について、高知県内の大半の市町村が全額を「現金で給付」「現金給付の方向で検討中」という方針であることが高知新聞社の調べで分かりました。年内の一括給付の準備を進めている市町村も 12 月 15日時点で 14 市町村あります。
ココハレの「パパ・ママリサーチ」でも現金給付を求める声が 9 割を占めました。市町村では政府の方針転換を評価する声がある一方で、作業に追われて大変なようです。
高知県内、10万円給付は大半が現金 14市町村は「年内一括」準備
(高知新聞 2021 年 12 月 16 日掲載)
国方針転換に厳しい声も
クーポンか現金か、支給方法が選べるようになった18歳以下の子どもへの計10万円相当の給付金。高知新聞が15日までに、高知県内の34市町村に対応を確認したところ、32市町村が10万円全額を「現金で給付」または「現金給付の方向で検討中」とし、うち14市町村は年内一括給付の準備を進めているとした。政府の方針転換を巡っては、柔軟な対応を評価する声の一方、厳しい声が多数を占めた。
給付金を巡って政府は当初、現金5万円と子育て用品に使えるクーポン5万円分に分けて配る方針を原則としていたが、岸田文雄首相は13日、年内の現金一括給付を容認し、15日に三つの選択肢を明記した政府指針を通知した。
本紙は14、15日に各市町村の担当課に対応を確認。土佐清水市と本山町が「未定」とした以外は、現金給付の方向を示した。両市町は16日に方針を示す予定。
理由については、クーポンに対して「地元に経済効果が見込める」(土佐町など)、「子どものための使途に限る趣旨は理解できる」(高知市など)との声はあったものの、「印刷や事業者選定、換金などで多額の費用と手間がかかる」(安芸市)など、多くの市町村が事務作業の負担増を指摘。また、「地元にクーポンが使える店が少ない」(日高村)などの声も相次いだ。
現金給付を決めた市町村の多くは、費用や手間が少なくて済む一括給付を検討。土佐市は13日の首相のコメントを受けて急きょ、14日の市議会12月定例会最終日に補正予算案を提出した。高知市も一括給付を目指し、開会中の12月議会に補正予算を追加提出する方向だ。
ただ、12月議会が既に閉会していたり、1回目の5万円給付の手続きが進んでいたりする市町村もあり、「年末のこの時期に(一括給付の)作業をするのは難しい」と東部の自治体。全体では、年内と年明けに5万円ずつ給付するパターンが多くなる見通しだ。
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クーポン給付にかかる巨額事務費や市町村負担への批判、現金を望む国民の声を受けて転換した政府方針。これに対しては「国民の声を聞いて融通を利かせてくれたことは評価したい」「柔軟に選択肢を与えてくれたことはよかった」と肯定的な評価はある。
ただ、多数を占めるのは批判的なトーンで、「二転三転して職員が混乱し、消耗している」(中部の自治体)、「大迷惑」(西部)、「判断が遅い」(東部)、「クーポン発行は市町村負担が大きい。国はそういうことを一切考えていないのでは」(中部)。
県中西部の自治体担当者は「国は一括給付OKと国民受けすることを言うが、すぐに一括給付は難しい。できなくて苦情を受けるのは市町村」と恨み節を漏らす。
高知市は13日、5万円給付の案内を中学生以下がいる世帯に郵送。国の方針転換を受けて一転、年内一括給付の検討に入った。担当者は「ここまでのドタバタは経験がない」と、ため息をつく。
給付対象が多い同市は、事務量が他市町村より圧倒的に多く、市民からの問い合わせも絶えない。岡﨑誠也市長は「政府が早く決められず、方針がぶれ続け、市町村が混乱した。政府は一体何をやっているのかという目で自治体は見ている。官邸や省庁で意思疎通ができていないのが問題だ」と憤りをあらわにした。(本紙取材班)