絵金歌舞伎の子どもたちに、ぴったり合う「かつら」を!赤岡町の「土佐絵金歌舞伎伝承会」が支援を呼び掛けています
香南市赤岡町の芝居小屋「弁天座」で毎年 7 月、「絵金歌舞伎」が披露されます。子どもたちも出演して人気を呼んでいますが、大きな悩みがあります。それは「子どもの頭にぴったりフィットする『かつら』がない!」。
土佐絵金歌舞伎伝承会によると、衣装は手縫いができますが、かつらは自分たちでは作れないそう。大人用のかつらはサイズが合わないので、かぶるとぐらぐら。見た目のバランスも気になります。
「子どもたちの小さな頭に合ったかつらで、不自由のない演技を見せてほしい」と考え、クラウドファンディングでかつらの購入費用などを募っています。
子ども歌舞伎役者に専用の「かつら」を! 赤岡町の「土佐絵金歌舞伎伝承会」 大人物での「ぐらぐら」解消したい ―EINEE高知
(高知新聞Plus 2023 年 11 月 1 日掲載)
「絵金」の町として知られる高知県香南市赤岡町の「土佐絵金歌舞伎伝承会」は、長年にわたって大きな一つの悩みを抱えています。それは歌舞伎役者として舞台に立つ子どもたちの「かつら」がないことです。今は大人の物を流用しているのです。同会は子どもにフィットした「かつら」を購入するため、クラウドファンディングでの支援を呼び掛けています。
子どもたちの衣装は同会メンバーたちが手縫いするなどしてこしらえてきましたが、「かつら」だけは自作できないのです。子どもたちは大人用の「かつら」をかぶって舞台に立っています。頭にタオルを巻くなどしていますが、どうしても大きな「かつら」はバランスが悪く、ぐらぐらしてしまいます。
同会のメンバーは「本番前にどうしても頭のかつらが気になって仕方なく、練習通りの動きができなかったと言う子どもたちもいるんです」と打ち明けます。
絵金を愛した赤岡の町
幕末土佐藩のお抱え絵師だった絵金こと金蔵は贋作事件に巻き込まれて、高知城下を追われます。そして、たどり着いたのが赤岡の町でした。
絵金の絵は歌舞伎を題材にして、時に血も飛び散る凄惨な場面も描きました。赤岡の人たちは絵金の圧倒的な画力と異才を愛しました。当地には絵金の芝居絵屏風が数多く残されています。
毎年夏に行われる「絵金祭り」では、家の軒先に芝居絵屏風を並べて披露します。その日の夜の街灯は消され、ろうそくの揺らめく明かりによって、そのおどろおどろしくも美しい絵が浮かび上がります。
「かつら」を町の「財産」にしたい
「土佐絵金歌舞伎伝承会」は1993年に発足しました。絵金祭りに合わせて、地元の子どもたちも出演する歌舞伎公演を芝居小屋「弁天座」で行っています。
「絵金歌舞伎」の出演者は、親から子へと引き継がれています。毎年4月に演目が決まり、7月の本番に向けて、週末に練習を重ねていきます。
近年は子どもたちだけの演目も多くなってきました。歌舞伎を指導する先生と伝承会に宛てた子どものメッセージを紹介します。
「練習は、とてもおぼえることがいっぱいで、たいへんだったけど、みんなとカレーを食べたり、楽しかったです。本番はみんなかっこよく、できていたからよかったです。自分も、きんちょうしたけど、おきゃくさんがはくしゅをいっぱいしてくれてうれしかったです。ありがとうございました」
伝承会事務局の横矢佐代さんは言います。
「ゼロから始めた絵金歌舞伎でしたが、30年をかけて手作りの衣装や小道具がそろってきて、他から借りることなく、ようやく自分たちでまかなえるようになりました」
そうした町の「財産」に子どもたち専用の「かつら」を加えたいと願っているのです。
子どもたちの小さな頭に合った「かつら」を購入したい。子どもたちは練習を重ねて舞台に立っています。ぴたりとフィットした「かつら」で、不自由のない演技を見せてほしい。メンバーたちは思っています。
子ども用の「かつら」は一つが、およそ40万円と見込まれています。支援が得られたならば「かつら」を5人分、そのほか子ども用の小道具の購入を考えています。来夏の子どもたちの晴れ舞台に向けた、みなさんの支援を呼び掛けています。(竹内 一)
クラウドファンディングの目標額は300万円。12月25日まで募っています。詳しくはこちらから
「EINEE高知(えいねぇ高知)」は高知県内の地域振興の取り組みを支援するクラウドファンディングです。四国銀行、READYFOR、高知新聞社の3社が運営しています。