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大切なおもちゃが壊れてしまったら?おもちゃドクターが無料で“治療”してくれる「高知おもちゃ病院」

大切なおもちゃが壊れてしまったら?おもちゃドクターが無料で“治療”してくれる「高知おもちゃ病院」

お父さん、お母さん大助かり。14歳以下のおもちゃを無料で直す「高知おもちゃ病院」に密着しました

「子どもが気に入って遊んでいたおもちゃが動かなくなった!」「説明書を見ても直し方が分からない!」と困った経験はありませんか?

そんなお父さん、お母さんを助けてくれるのが「高知おもちゃ病院」。高知診療所(高知市)、南国診療所(南国市)、安芸診療所(安芸市)、しまんと診療所(高岡郡四万十町)、中村分院(四万十市)があり、ボランティアの「おもちゃドクター」が“治療”してくれます。14 歳以下の子どものおもちゃが対象で、部品代以外は無料です。

ドクターたちはどんなふうにおもちゃを直しているのでしょうか。高知市の高知みらい科学館で開かれた高知診療所に行ってみました。

おもちゃドクターは46人 修理件数は4300件以上

高知おもちゃ病院は 2015 年、高知市で開院しました。現在は四つの診療所がそれぞれ月 2 回のペースで開かれていて、46 人のおもちゃドクターがそれぞれの地域で活動しています。

これまでに手掛けてきた修理件数は 4300 件以上!「物を大切にすることを子どもたちに伝えたい」と、子どもたちの目の前で原因を調べ、説明しながら直すことを心掛けているそうです。

高知みらい科学館で開かれる「高知診療所」

ココハレ編集部が訪ねたのは高知市追手筋 2 丁目の高知みらい科学館で開かれている「高知診療所」。毎月第 2、4 土曜日に開かれています。

受付は旗が目印。午前 10 時の開始前から、おもちゃを抱えた親子が並んでいました。受付では持ち主の名前と連絡先のほか、おもちゃの状態を“カルテ”に記入。診察を待ちます。

診療所の受け付け。おもちゃの状態を記入し、診察を待ちます
診療所の受け付け。おもちゃの状態を記入し、診察を待ちます
診察前に、おもちゃを撮影
診察前に、おもちゃを撮影
壊れたおもちゃは診察室に運ばれます
壊れたおもちゃは診察室に運ばれます

4 歳の男の子が持ってきたのはアニメ「トイ・ストーリー」の主人公ウッディ。お母さんによると、3カ月前に買ったばかりだそう。背中に付いているひもを引っ張るとトイ・ストーリーのせりふをしゃべっていたのですが、しゃべらなくなりました。

運び込まれたウッディ。しゃべらなくなりました
運び込まれたウッディ。しゃべらなくなりました

早速、診察スタート。「電池を替えてもしゃべらないんです」と説明を聞いたおもちゃドクターが、ひもを引っ張ります。「うーん、引っ張る感覚が妙に気になるねぇ」

ドクターはウッディの服を脱がせ、背中のスイッチを開きました。中を詳しく調べますが、これといった原因は見当たりません。唯一気になったのが、電池のマイナス側に接触させるスプリング(電池バネ)のわずかなゆがみ。「もしかしたら接触が悪いのかもしれんねぇ」

診察中。背中のスイッチを開いていきます
診察中。背中のスイッチを開いていきます

ゆがみを直して電池を入れると、「元気かよ?相棒!」。ウッディがしゃべりました!ドクターは「スプリングが斜めに引っ掛かりやすくなりゆうき、電池を入れる時に気を付けてね」。受け取った男の子は「ありがとう」と大事そうに抱えて帰りました。

ウッディ復活!
ウッディ復活!

故障原因のトップは「電池」

その後もおもちゃがどんどん運び込まれ、ドクターたちが手際よくチェックしていきます。

別の 4 歳の男の子は、アンパンマンが歌って踊るぬいぐるみや、おばあちゃんに買ってもらったお気に入りのバスなどを持ってきました。アンパンマンを担当したドクターはまず、入っていた電池を外し、診療所の電池と交換。すると、動き始めました。お母さんは「えーっ!家で交換しても動かんかったのに!」とびっくり。「即退院!よかったねぇ」とドクターも笑顔です。

実は、おもちゃが「壊れた」という原因の多くが「電池の不良」「電池端子のさび」に代表される電池関係。複数の電池を使うおもちゃが動かなくなった場合、まずは全て新しい電池に交換して試してみるといいそう。入れっぱなしの電池から液漏れして端子がさびることもありますので、定期的なチェックも欠かせません。

アンパンマンが動きだして喜んだ 4 歳の男の子は、大事なバスをドクターと一緒に直し始めました。「ほら、ここが折れちゅうね」「このネジを回すき、押さえちょってくれる?」という指示にうなずきながら、真剣に取り組んでいました。

 

持ち主の子どもに説明しながら、一緒に直します
持ち主の子どもに説明しながら、一緒に直します

すぐに直らないおもちゃは「入院」

おもちゃ病院では「子どもの目の前で直す」ことを大切にしていますが、修理が難しい場合や、持ち込まれたおもちゃが多い日は「入院」となります。入院したおもちゃはドクターが家に持ち帰るなどして修理し、2 週間後に引き渡しとなります。

退院するおもちゃを受け取りに来た子どもたちには、担当ドクターが壊れた原因と直し方を説明します。ハリネズミの動くおもちゃを受け取りに来た男の子は「すごい!直った!」。大喜びしてドクターに抱きついていました。子どもの笑顔を見ることが、ボランティアのドクターたちのやりがいにつながっています。

退院を待つおもちゃたち。その横でも修理が続きます
退院を待つおもちゃたち。その横でも修理が続きます

ほとんどのおもちゃが無事に復活しますが、中には「部品が手に入らない」などの理由で修理できないおもちゃもあります。

小学 4 年生の男の子が持ち込んだのはジープのラジコン。7 歳の誕生日におじいちゃんからもらった大切なおもちゃです。ドクターがジープを分解すると、基盤にカビが生えていました。水たまりで走らせた後、しっかり乾かしていなかったことが原因。「防水」をうたうおもちゃには注意が必要なのだそうです。

男の子とドクターは一緒にカビを取り除きましたが動かず、「新しい部品が必要」という判断になりました。「『防水』って書いちょったのに…」とがっかりする男の子に、ドクターは「おじいちゃんに買ってもらったんやし、モーターは動く。捨てんでいいよ」。部品の一つ一つを説明しながら、元通りに組み立てていました。

おもちゃを修理するだけでなく、物を大切にする気持ちや、子どもたちとの交流も大切にしているおもちゃ病院。「壊れた」と諦める前に、ぜひ訪ねてみてください。

子どもたちとの交流も大切にしています
子どもたちとの交流も大切にしています

高知おもちゃ病院 各診療所の開院日

高知おもちゃ病院では14歳以下の子どものおもちゃを無料で修理しています。予約は要りません。直したおもちゃは当日か 2 週間後に返却します。修理は無料ですが、部品が必要な場合は実費がかかります。

各診療所の開設日は以下の通りです。詳しいスケジュールは高知おもちゃ病院のウェブサイトで確認してください。

高知診療所

  • 開設日:第2、4土曜日
  • 場所:高知みらい科学館(高知市追手筋2丁目1-1)
  • 問い合わせ:080-2990-3330

 

南国診療所

  • 開設日:第1、3土曜日
  • 場所:からくり創造工房(高知県南国市日吉町2丁目1-9)
  • 問い合わせ:080-4034-2516

 

安芸診療所

  • 開設日:第2、4日曜日
  • 場所:安芸観光情報センター(安芸市矢ノ丸 1 丁目 4-32)
  • 問い合わせ:0887-34-4404

 

しまんと診療所・中村分院

  • 開設日:第 1 または第 3 日曜日。中村分院は第 3 日曜日のみ
  • 場所:しまんと診療所(四万十町)と中村分院(四万十市)があります。場所はウェブで確認してください。
  • 問い合わせ:090-8285-6857

おもちゃドクターを募集しています

高知おもちゃ病院ではボランティアのおもちゃドクターを募集しています。修理の心構えや技術を学ぶ「おもちゃドクター養成講座」も開いています。「資格は必要ない」とのことです。子どもたちの笑顔のために、挑戦してみませんか?

  • 問い合わせ:高知おもちゃ病院副代表の中越さん(080-2990-3330)

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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