ずっと、ぎゅっと!第2部・高知のエコチル調査より①|「歯のケア」「歯ぎしり」「テレビ・DVD」「携帯・ゲーム機」
高知のエコチル調査の基礎データから見えてくる子どもたちの姿と、子育てのアドバイスを紹介します
環境省の「エコチル調査」(子どもの健康と環境に関する全国調査)が今年で 10 年目を迎えました。
化学物質が子どもの成長に及ぼす影響などを調べる調査で、生まれた子どもが 13 歳になるまで追跡調査が行われます。全国から 10 万組、高知県からは約 7000 組の親子が参加し、半年ごとに質問に答えています。
連載「ずっと、ぎゅっと!」では、高知の子どもたちの生活に関する基礎データを紹介しています。今回は 2017 年の掲載に続く第 2 部。エコチル調査高知ユニットセンター(高知大学医学部内)からのアドバイスを交えてお届けします。(高知新聞 2020 年 9 月 2、3、11、16 日掲載)
※高知県内の調査から 2020 年 3 月時点の暫定値を紹介します。データは四捨五入しており、加算値が 100 %にならない場合があります。
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目次
【歯のケア】仕上げ磨きを続けましょう
4 歳児の調査で、歯磨きについて聞きました。ほぼ全員の 99.5 %が毎日磨き、81.2 %の保護者が毎日仕上げ磨きをしています。虫歯は 1970 年代をピークに全ての学年で毎年減少傾向にあり、今回の結果からも親の虫歯予防への意識の高さがうかがえます。
歯が生える時期には個人差がありますが、ほとんどの子どもは 2 歳から 3 歳半ごろに 20 本の乳歯が生えそろいます。お菓子やジュースに触れる機会が増え、虫歯ができやすくなる時期でもあります。
乳歯が抜け始め、永久歯に生え替わるのは、だいたい 6 歳前後からです。乳歯の時期に正しいケアを行うことで、将来虫歯ができたり、歯並びが乱れたりするリスクを低くできます。
4 歳になると自分でできることが増え、「そろそろ歯磨きも自分で」と考える親御さんもいると思いますが、この時期は手先が大人のように器用ではないため、磨き残しがあります。まだまだ仕上げ磨きは必要です。できれば、永久歯が定着する小学校低学年ぐらいまでは続けてください。ちょうど自我も芽生えてきて、大人のまねをするのが楽しい時期です。お子さんと一緒に、遊びの延長で歯磨きの習慣をしっかりと身に付けさせてあげましょう。
【歯ぎしり】かみ合わせを調整しています。様子を見ましょう
4 歳児の調査では 21.1 %のお子さんが歯ぎしりをしているという結果でした。
4 ~ 6 歳は乳歯が抜けて顎が大きくなり、歯と歯の間に隙間ができやすくなる時期です。この時期は歯のかみ合わせが悪く感じることがあり、睡眠中に歯ぎしりをして調整しようとします。
子どもの歯は、6 〜 12 歳で乳歯から永久歯に生え替わります。永久歯が生えそろうと、かみ合わせは安定します。生え替わりの時期は乳歯と永久歯が混在しているため、歯ぎしりをすることで、かみ合わせを正常に合わせようとしているようです。
子どもの歯ぎしりは年齢とともになくなっていくことが多いので、様子を見るようにしましょう。歯並びに問題があったり、歯が過度にすり減ったり、顎を痛がったりするようであれば、歯科医に相談してください。
お子さんの精神的なストレスが考えられる場合は、ゆっくり話を聞いたり、一緒に過ごしたりする時間を持つなど、コミュニケーションを増やすといいでしょう。
【テレビ・DVD】見る番組や視聴時間を意識しましょう
2 歳半、3 歳、4 歳のお子さんに普段、テレビやDVDを見せている時間を聞きました。1 日 1 ~ 2 時間が最も多く、年齢が上がっても視聴時間に大きな増減はありませんでした。
日本小児科学会が 1 歳 6 カ月健診時に行った調査では、長時間のテレビ視聴( 4 時間以上)をしていた子どもに、言語発達の遅れの傾向が見られました。このことから、「2 歳以下の乳幼児には内容に関わらず、テレビ・ビデオを長時間見せないように」との提言を出しています。
子どもはいろいろな体験をする中で、身近な人とコミュニケーションを取りながら言葉を覚えていき、心と体も成長していきます。テレビの視聴そのものが悪いというよりも、長時間見ることで他の体験の機会を奪ってしまうことが心配されています。
言語発達は一般に 9 歳くらいまでが伸びる時期とも言われており、一方通行の媒体であるテレビをあまり長い時間見ることはやはり気を付けた方がいいでしょう。教育的な内容の子ども番組や、大人と話しながらの視聴は言語発達によい影響があったという研究もあります。見る番組や時間を意識して、家族の団らんの中でコミュニケーションのツールとしてテレビを活用できるといいですね。
【携帯・ゲーム機】小さな画面を避け、使用のルールを決めましょう
近年、情報通信機器が急速に普及し、インターネットやゲーム機の使用の低年齢化が進んでいます。長時間の使用による子どもの健康への影響が懸念されています。
高知の調査では 3 、4 歳児の約 9 割が携帯電話やゲーム機を「まだ使用していない」「 1 時間未満の使用」という結果でしたが、機器との接触や使用頻度は年齢とともに大きく上がることがさまざまな調査で報告されています。
子どもの外遊びが減り、室内で細かい物を見ることが多くなった影響でしょうか。2019 年の学校保健統計によると、裸眼視力 1.0 以下の子どもの割合は小学生で 34.6 %、中学生で 57.5 %と過去最多となっています。
視力への影響を防ぐには、なるべく接触開始の年齢を遅らせること、特に未就学児では周囲の大人が意識して管理やルール決めを行うことが必要です。動画を視聴する際は、小さな画面を避ける、テレビにつないで大人と共有する、パスワードや使用時間を設定して使用を制限するなど、家庭に合った方法を取り入れてみてください。
電子端末やメディアとの接触は私たちの生活に欠かせないものになっています。適切な使用には幼い頃からの習慣付けが大切です。
高知県内のエコチル調査は高知大学医学部内にあるエコチル調査高知ユニットセンターが行っています。
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