高知市の保育士さんが手作りしたおもちゃをFBで紹介しています
高知市の人気イベント「手作り遊具展」が中止に。代わりに、各保育園のおもちゃをFBで公開しています
高知市内の保育園で日ごろ使われている手作りのおもちゃを紹介する「手づくり遊具展」。毎年 1 月に開かれ、たくさんの親子が訪れる人気イベントですが、2021 年の開催は新型コロナウイルスの影響で中止が決まりました。
そこで、子どもたちの発達に合わせて作られたおもちゃをたくさんの人に見てもらおうと、高知市こども未来部がフェイスブックでの公開を始めました。
おもちゃの写真に加えて、保育士がどんな思いを込めて作ったのか、園児たちがどんなふうに遊んでいるかが紹介されています。作り方を参考に、ご家庭でもいかがですか?
毎週2園ずつ紹介
「手づくり遊具展」は 1981 年にスタートしました。それぞれの園で作られた遊具を持ち寄って展示しています。最近は高知市立自由民権記念館で開かれています。実際に遊べたり、保育士に教えてもらいながら作ったりできるのが人気を呼び、2019 年は 3 日間で 1000 人以上が来場しました。
コロナでの中止が決まり、「保育園にある手作り遊具のよさや、楽しく遊ぶ園児たちの様子を見てもらいたい」と、高知市こども未来部のフェイスブック「ほのぼの子育て」で 11 月から、毎週 2 園ずつ紹介しています。2020 年 11 月 13 日現在、長浜、鴨田、朝倉、神田の 4 保育園の遊具が紹介されています。
「こんなふうに育ってほしい」という願いを込めて
フェイスブックでは、手作り遊具の名前、対象年齢、材料や素材、作り方に加えて、「ねらい」が紹介されています。
長浜保育園の「糸巻あそび」は、鈴が付けられたロープをラップの芯に巻き付けていくおもちゃで、対象は 1 歳児から。「ねらい」は「楽しみながら、手指の力をつける」。園での様子は「鈴の音が鳴り、楽しい雰囲気の中で巻き取ることを楽しんでいます」と書かれています。
この「ねらい」について、フェイスブックを担当する高知市保育幼稚園課の職員で、保育士でもある山崎泰弘(もとひろ)さんは「手作り遊具には『こんなふうに育ってほしい』という保育士の願いが込められています」と話します。
保育園では普段から、子どもの年齢や発達に合わせたおもちゃを手作りしています。「目の前にいる子どもたちにどんな力を付けたいかを考え、子どもたちの反応を見ながら、園内にある物を活用して作っていく」そう。「先輩たちの過去の実践を聞きながら、『子どもの手の大きさには何がぴったりかな。ラップの芯かな、ヤクルトの容器かな』と考えていきます」
おもちゃの材料になるのは、主に廃材。牛乳パックやペットボトル、段ボールなど「園内にあって使える物は何でも活用します」と山崎さん。ペットボトルのふたなど小さい物は、園児の口に入らない大きさに加工するなどの工夫も。お昼寝の時間や、子どもが帰った夕方、大きな行事と行事の合間に作ることが多いそうです。
生活が便利になる一方で…
昔から作られてきた手作りのおもちゃですが、最近は生活スタイルの変化から、その意義が見直されています。
例えば、手で何かをつかみ、ひねるという動作。水道の蛇口をひねることで自然に身に付けてきたそうですが、「最近はコロナの影響もあって、保育園でも自動洗浄が増え、ひねるという動作をする機会がなくなりました」と山崎さん。生活が便利になる一方で、「日常の細かな作業で得ていた育ちや発達が得られなくなっている」と話します。生活経験では足りない成長や発達を楽しみながら補うのが、手作り遊具の新たな役割とも言えます。
おもちゃを作る際は、社会性や情緒面、感覚面、知的認識や言語性を育てるという視点を大切にしています。「子どもたちはおもちゃで友達と活発に遊んだり、手先の感覚を養ったり、自然に親しむ心を育んだりしています。保育園の送り迎えで何げなく見ている遊具に興味を持ち、保育士の思いやアイデアも知ってもらえたらうれしいです。ご家庭で作る時は安全面に気を付け、お子さんが遊ぶ様子を見守ってくださいね」
手作り遊具の公開は、毎週 2 園ずつを目安に2021 年 1 月下旬ごろまで続く予定です。高知市子ども未来部「ほのぼの子育て」からご覧ください。