「うまくいかない」と感じた時は?|子育ての悩みに寄り添う土居寿美子さんコラム「こころのとびら」⑨
高知市の子育て支援センター「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長、土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
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「無理してた…」
1 月から、いるかひろばで「ペアレント・プログラム」という講座を始めました。わが子に育てにくさを感じている、関わり方に悩んでいる人が楽しく子育てしていけるようにと開発された講座です。ココハレ編集部の記者さんが実際に受講し、レポートしてくれています。
講座では「現状把握」ということから始めます。なにやら難しそうな言葉ですが、子育てで困っていることを見直していく前に、自分のこと、子どものことを振り返り、整理していくことです。自分の感情を除いて、行動を書き出していくことがポイントで、自分のことを客観的に見られるようになっていきます。
この「現状把握」の考え方は、普段のいるかひろばでも取り入れています。ご自分を振り返っていただきながら、困りごとを一緒に考えています。
■Aさんのお話
Aさんは初めて来られた時から、なんとなく気になるお母さんでした。お子さんの食事や歯磨きなど、誰もが悩む話を聞きながら、私はずっと見守っていました。
ある日の午後のこと、他の利用者がいない時にAさんが来ました。私は「現状把握」についてAさんに伝えてみました。すると、幼少期からの自分のことを少しずつ話しだしました。
「私、他の人にすごく気を使うんです」
「自分の気持ちより、他の人がどう思っているかを意識してしまう。そして、他の人に合わせてしまうんです」
小さい頃から親も含めて誰にも言えず、ずっと悩んできたんだそうです。話しながら涙を流し、「あれ?なんで私、泣いているんだろう…」。初めて本音が言えた瞬間だったと思います。
その後は、つっかえていたものが取れたようにリラックスした表情になりました。そして、Aさんのリラックスが伝わったかのように、子どもの様子も変わり、自分のペースでのびのび遊んでいました。「以心伝心だなぁ」と思ったことでした。
結婚すること、子どもを産んで育てることは、人生において大きな変化になります。楽しいことも増えますが、大変なことも増え、心が揺れ動きます。
「せっかち」「気が散る」「忘れっぽい」「コミュニケーションが苦手」「人見知り」「こだわり」など、これまで自分が気づかなかった問題、心の奥底に隠れていた(隠していた)問題に直面し、悩む方は少なくありません。
子育てをする中で、「○○しなさい」「またそんなことして…」と、子どもの気になるところばかりに目がいき、怒りたくないのに毎日怒ってばかり。自己嫌悪に陥るけれど、やっぱり怒ってしまう。そんな悪循環に悩んでいる方も少なくありません。
ペアレント・プログラムの「現状把握」は悩みに気付き、整理するのにいい方法だと思います。自分のいいところ、苦手なことを知ることが、困りごとに対応する一歩になります。
子育てで「うまくいかないな」と感じている方、なんかモヤモヤしている方はいらっしゃいませんか?
いるかひろばで一緒に考えてみませんか?