週刊高知の子どもニュース 2020年4月6日~12日
県内の小学校で入学式が行われ、新 1 年生が仲間入りしました。ドキドキ、ワクワクしながら校門をくぐったお子さんも多かったことでしょう。子どもたちの田植えなど、春の便りも届いています。新型コロナウイルスの影響で、残念ながら多くの小学校が再び休校となってしまいました。お友達と会えない日が続きますが、しっかり予防しながら、元気に過ごしましょう。
2020 年 4 月 6 ~ 12 日の高知の子どもたちのニュースを、高知新聞の紙面からお届けします。
目次
ツバキの危機を絵本で訴え 土佐清水市・足摺岬小の児童が制作
(高知新聞 2020 年 4 月 7 日朝刊より)
環境省が製本、活用
高知県土佐清水市の足摺岬小学校の2019年度の3、4年生5人がこのほど、地元のシンボル、ヤブツバキを題材に絵本を作った。子どもらしいキャラクターと物語で、竹の一種「メダケ」がヤブツバキ群落を侵食している現状を紹介しており、足摺岬小学校や環境省が今後周知に活用する。児童らは「ツバキやメダケを知らない観光客にも知ってほしい」と話している。
岬周辺では環境省や住民組織「足摺岬の自然を守る会」などが、メダケに追いやられたツバキの再生計画を推進。足摺岬小学校もツバキの苗を育てるなど参加している。
3、4年生は、総合的な学習の時間にツバキのPRキャラを考案。松下一真君(10)が戦隊もののキャラを考えたのがきっかけになり、1年がかりの絵本作りに発展した。
5人が改めて登場人物やストーリーを話し合い、完成させた絵本は「ヤブツバキを守る5人の戦士」。メダケ帝国にさらわれたツバキ王国の王様を女王や騎士らが助けに行く物語が、カラフルで楽しい絵とともに描かれている。
中にはメダケがかつて家の壁や食べ物として利用されたことや、足摺岬の自然を守る会の活動も盛り込んだ。リーダーを務めた渡辺楓花さん(10)は「物語の中に事実を描くのが大変だったけど、みんなでアイデアを出し合って楽しかった」と笑顔だった。
絵本はA4判24ページ。内容を見た環境省が100冊を製本した。今後、足摺岬小学校が図書館や足摺岬の観光案内所に配布し、保育園での読み聞かせなど環境学習に役立てるという。
環境省の山下淳一さん(35)は、「自発的に題材に取り上げてくれてうれしい。子どもたちには将来、ヤブツバキ保全の担い手になってもらいたい」と話していた。(山崎彩加)
放水と田植え挑戦 南国市で騎手と子ども交流
(高知新聞 2020 年 4 月 7 日朝刊より)
水張り、始め! 高知競馬の騎手会と「高知市こども劇場」の会員親子の稲作交流がこのほど、南国市田村で始まり、子どもらが消防士姿での放水や田植えに挑戦した。
騎手会による社会貢献活動の一環で8年目。赤岡修次騎手(43)と賛同者の寄付で特別支援学校の子どもたちを高知市こども劇場の舞台に招待していることを知った農家の吉本正仁さん(58)が、田んぼを提供している。
2日は親子25人と騎手21人が参加。新型コロナウイルス感染症対策で田植え機体験や食事会は中止し、参加者は検温も行った。子どもたちは騎手とペアになり、南国市消防署のポンプ車のホースで田に水を張った後、素足で入った。
苗が横倒しになるほどの強風下での田植えとなったが、子どもたちは「寒いけど、外は気持ちがえい!」と元気いっぱい。発起人の一人である赤岡騎手は「栽培の大変さや食のありがたさを知る機会。作業が気晴らしにもなれば」と話していた。コメは8月に収穫し、福祉施設に贈る。(横田宰成)
満開の桜が出迎え 高知県内で入学式
(高知新聞 2020 年 4 月 7 日夕刊より)
新型コロナウイルスの感染拡大が終息しない中、高知県内のほとんどの小中高校で7日、入学式や始業式が行われた。地域や学校によっては8日以降の再休校も視野に入るが、約1カ月ぶりに“主人公”の戻った学びやには明るい声が響いた。
高岡郡佐川町黒原の黒岩小学校は8人が入学。ぴかぴかのランドセルを背負った子どもたちの初登校を、満開の桜とチューリップが出迎えた。感染防止のため、入学式は全員がマスクを着用し、来賓を1人に絞るなど時間を短縮して行われた。
名前を呼ばれた新入生は「はい!」と元気に返事。黒瀬忠行校長が「勉強と運動、友だちが仲良く助け合う心の勉強に取り組みましょう」と語り掛けた。
新1年生の横畠光博君(6)は「勉強を頑張りたいっ」、中野瑠月(るる)さん(6)も「お魚が大好き。給食、楽しみ」と笑顔に。保護者の横畠真美さん(36)は「新型コロナに不安はあるけど、子どもには友だちと仲良く学校を楽しんでほしい」と話していた。(石丸静香)
最後の新入生はつらつと 室戸・中川内小中3人 宿毛・松田川小6人
(高知新聞 2020 年 4 月 8 日朝刊より)
2020年度末で閉校する高知県室戸市羽根町甲の中川内小中学校と、宿毛市和田の松田川小学校で7日、それぞれ最後の入学式が行われた。新入生にとっては1年限りの学びやとなるものの、合わせて9人が保護者らの祝福を受けて希望に満ちた一歩を踏み出した。
室戸市の中川内小中学校は、児童生徒の減少により2021年度から羽根小学校、羽根中学校(いずれも羽根町乙)へ統合される。今春は小学校に1人、中学校に2人が入学し、児童2人、生徒6人となった。
新小学生の森本那奈さん(6)は、姉で新中学生の瑠奈さん(12)と一緒に初登校。緊張からか母の絵里さん(44)にくっついて甘える姿も見せていたが、式では「よろしくお願いします」と元気にあいさつした。前田久尚校長は「早く小学校の生活に慣れ、毎日元気に登校してほしい」とエールを送った。
式後、真新しい教科書を受け取った那奈さんは「お勉強を頑張りたい」とにこり。瑠奈さんと同級生の山本帆乃さん(12)は「学校がなくなるのはさみしいけど、中学生になれてうれしい。部活の卓球などを頑張りたい」と口をそろえ、中川内小中学校での最後の1年を満喫しようと意気込んだ。
宿毛市の松田川小学校は2021年度、宿毛中学校との合築校舎で開校する宿毛小学校への統合が決まっている。2020年度は新入生6人が加わり、児童は41人となった。
入学式は新型コロナウイルスの感染防止のため新入生と保護者、教職員のみでマスクを着用して実施。野中道八(みちや)校長が「強い体と友達を思いやる心を育ててほしい」と呼び掛けた。
教室に移動した新入生はさっそく教材をランドセルに詰め込み、「重い~」。安田しほりさん(6)は「給食が楽しみ!」と笑顔を見せていた。
高知県教育委員会によると、県内ではこのほか、高岡郡中土佐町の上ノ加江中学校、四万十町の北ノ川中学校、興津中学校、四万十市の川登小学校、大川筋中学校、蕨岡中学校が2020年度末で休・閉校する。(大野耕一郎、新妻亮太)
親の代から続く食育 紀貫之邸跡望み、南国市の国府小児童ら田植え
9日、児童らははだしで水田へ入り、「泥に足首をつかまれた!」などと大はしゃぎ。「同間隔で、目印に合わせて」などと助言を受け、横一線に引いたひもに沿って植えていった。
田んぼは紀貫之邸跡を望む場所。児童は土佐日記の暗唱や墓参で親しんでおり、「ここでできたコメを貫之さんも食べたかな」と思いをはせていた。
授業に協力している農家の田内富士夫さん(73)は、「子どもたちの親世代から続く食育授業。歴史も感じながら学んでほしい」。8月初旬に収穫の見込みで、同校は「貫之の墓前にもコメを届けたい」と話している。(横田宰成)