子どもが不登校に…情報はどこでもらえる?どんな支援がある?|学校の対応、市町村教育支援センター、心の教育センター…高知県の情報をまとめました
わが子が不登校になった時に困る「情報収集」。高知県心の教育センターで聞きました
小中学校で不登校になった子どもが 2023 年度は全国で 34 万人を超えたと、文部科学省が発表しました。11 年連続で増えています。
わが子が不登校になった時に困ることの一つが「情報収集」。都内のオンラインフリースクールが保護者に行った調査では、約 8 割が「学校からの情報提供がなく困った」と答えました。
高知県では現在、どんな支援が受けられるのでしょうか。高知県心の教育センターで聞きました。
目次
不登校の保護者の5人に1人が離職…「気分の落ち込み」「孤独」などメンタルにも影響が起きています
不登校の保護者への調査を行ったのは「SOZOW」(東京都品川区)が運営する「SOZOWスクール小中等部」。小中学生を対象にしたオンラインフリースクールです。
調査期間は 2024 年 8~9 月で、フリースクールに通わせている小学 4 年~中学 3 年の保護者 197 人が回答。不登校の定義に当てはまる 187 人の回答を分析しました。
調査には不登校ジャーナリストの石井しこうさんが協力し、明治学院大学准教授の関水撤平さんが助言しました。
子どもの不登校によって保護者に起きた変化(複数回答)では「気分の落ち込み」が 57.2 %、「孤独を感じた」が 54.5 %。
「体調不良になった」が 26.2 %で、「死にたいと感じた」「子どもをたたいてしまった」がそれぞれ 9.1 %でした。
「仕事を辞めざるを得なかった」という人は 18.7 %。不登校の保護者の約 5 人に 1 人が離職していたという結果となりました。
不登校になった際、学校から必要な情報提供がなく、「とても困った」「やや困った」という人は計 77.0 %。
子どもが不登校であるかどうかに関わらず、不登校支援に関する情報を学校が日頃から提供することに賛成の人は 80.7 %でした。
賛成の人からは次の意見が寄せられました。
心の教育センターではスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが対応しています
高知県内では、高知市大原町にある高知県心の教育センターが不登校の相談先として知られています。
心の教育センターには、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーが常駐しています。「不登校やいじめなど、子どもの教育に関する相談ができる」と紹介されることが多いですが、相談内容は「不登校、いじめに限ってはいない」そうです。
次のような相談が寄せられています。
- 子どもが学校に行きづらい、行きたがらない
- 子どもが朝、なかなか起きられない
- 学校で勉強についていけていない
- 子どもが学校で、友達とトラブルになっているみたい
- 子どもとうまくコミュニケーションが取れない
- 学校に行きたがらない子どもに、どんな声掛けをしたらいいですか
対象とする子どもは小学生、中学生、高校生。学籍を問わず、成人になるまでの子ども本人やその保護者も相談できます。
詳しい情報をココハレで紹介しています。
学校はチームで支援。「校内サポートルーム」も始まっています
「学校での支援を知りたい」「自宅に近い場所で相談できる場所はある?」ということで、所長の吉村雅充さん、多様な学び・相談支援課長の岡村涼子さんに聞きました。
子どもが学校に行きづらくなった場合、保護者が相談しやすいのはやはり学校です。
学校ではチームで支援に取り組み、担任、管理職(校長や教頭)、養護教諭らが対応します。常駐ではありませんが、担当のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーもいます。各校に不登校を担当する先生がいて、支援を考えていくそうです。
高知県では「校内サポートルーム」という新しい取り組みも始まりました。「学校には行けるけれど、自分のクラスに入れない」という子どもための新しい居場所で、空き教室などを活用しています。コーディネーターの先生が常駐し、学習もサポートしています。
2024 年度は県内 45 の公立小中学校に設置されています。指定校の 11 校で、不登校の子どもが実際に減ったかどうか、どんな支援が求められているかを探っているそうです。
不登校支援に関する情報の提供については「学校からの提供を望む保護者もいれば、そうではない保護者もいる」とのこと。子どもや保護者とコミュニケーションを取りながら判断しているそうです。
情報が欲しい場合は、遠慮せずに聞いてみるといいようです。
学校に行きづらい場合は、市町村の教育支援センターがあります
「学校に行きづらい」という場合は「教育支援センター」で支援が受けられます。
教育支援センターは市町村が設置していて、名称もそれぞれ異なります。高知市は桟橋通 2 丁目にある高知市教育支援センター「みらい」です。
2024 年 7 月現在、24 市町村に設置されています。
高知県内の市町村の教育支援センターはこちらから
教育支援センターでは「集団での活動がしんどい」「少人数なら一緒に活動できる」など、一人一人に合わせながら、学習や体験活動に取り組んでいます。
「自分の意思で取り組み、必要な時には人に頼れる力をつけることを目指している」そうです。
学校や市町村の問い合わせ先に相談してみてください。
オンラインサポート、学生ボランティアとの関わり…居場所をつくる取り組み
不登校の子どもへのケアでは、「安心して過ごせる居場所」をつくることが大事だと言われています。
心の教育センターでは、学校や教育支援センター以外に、子どもたちに居場所をつくる取り組みを進めています。
ことことパーク
心の教育センターで毎月 2~3 回開催されています。遊びや体を動かす活動などを通して、人と関わりながら過ごせます。
カードゲーム、ボードゲーム、ミニバスケ、フォトコラージュ、迷路作りなど、スタッフと相談しながらやりたいことを見つけています。
- 対象:集団で過ごすことや人と関わることに不安がある小中高校生、学校に行きにくさを感じている小中高生
- 定員:1~4 人程度
- 開催:毎月 2~3 回 ※開催日は問い合わせてください
- 場所…高知県心の教育センター 2 階
- 申し込み、問い合わせ…088-821-9909
- ウェブサイト…https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2024111300147/
こころオンラインサポート
ICTを活用し、オンラインでの学習支援や交流活動を行っています。学校から配布されているタブレットから参加できます。
- 対象:18 歳以下の子ども。学校や教育支援センターなどに継続して通うことが難しい子どもが主な対象です。学籍の有無にかかわらず参加できます
- 開催日時:火曜、木曜、金曜の 13:30~16:30 ※開催日は問い合わせてください
- 申し込み、問い合わせ…088-821-9909
- ウェブサイト…https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2024082100074/
中高生等の居場所「Kochi Teens Base(こうちティーンズベース)」
高知県立大学と連携して開設された、中高生らのための居場所です。学生ボランティアと一緒に過ごせます。ゲームや散歩、勉強や趣味の活動などを楽しんでいます
- 対象:中高生。学籍の有無にかかわらず、18 歳まで参加できます
- 場所:高知県立大学永国寺キャンパス・地域連携棟 1 階
- 開催日時:金曜の 13:30~16:30 ※開催日は問い合わせてください
- 申し込み、問い合わせ…088-821-9909
- ウェブサイト:https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2024112000022/
ほっとgarden
子育てに不安や悩みのある保護者が集まる「ほっとgarden(ガーデン)」があります。「毎日をねぎらったり、ほっとしていただいている」とのことです。
毎月テーマがあり、ミニ講話の後、交流します。お互いの名前は紹介されません。
- 対象:「子どもの発達が気になる」「学校に行きにくい」「勉強をしない」など不安や悩みのある小中高生の保護者
- 開催日時:毎月 1 回、14:00 から 1 時間程度
- 場所:高知県心の教育センター
- 定員:6 人程度。2 人以上の参加で開催されます
- 申し込み、問い合わせ…088-821-9909
- ウェブサイト:https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2024072600096/
不登校は「誰にでも起こりうる」こと。「問題行動」ではありません
SOZOWが今回行った保護者への調査では「『子どもが学校に行かなくていい』と割り切るまでに時間がかかった」との声が寄せられました。
不登校ジャーナリストの石井さんは「『不登校は誰にでも起こること』『不登校は問題行動ではない』という前提がまず大事で、広く知ってもらいたい」と話しています。
不登校の子どもや保護者への支援はさまざまありますが、保護者からは「わが子が学校に行きづらくなって初めて、自分ごととして必死に情報を探した。それまでは全く知らなかった」という声を聞きます。
さらに、不登校の子どもが増えている中で、「すぐに相談をしたい」「支援を受けたい」と思っても、実現までに時間がかかってしまうという課題もあります。
高知県では、不登校の小中学生が学校内外で相談や指導などを受けている割合が 93.3 %。全国平均の 61.2 %を大きく上回り、他県に比べると、支援にたどり着きやすい環境のようです。
心の教育センター所長の吉村さんは「学校以外のサポートを探される際、『どこに相談したらいいか分からない』という時は、とりあえず心の教育センターにご連絡ください。一緒に考えていきましょう」と話していました。
「親がふさぎ込んでしまうと、子どもに伝わる」と言われます。困った時は家庭で抱え込まず、学校や、学校以外の支援先とまずはつながってみることが、わが子に合った居場所を探す一歩になるようです。