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子どもを叱ることは大事…でも、頭ごなしに伝えていませんか?「ペアレント・プログラム」で困りごとを一緒に考えています|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら・54」

子どもを叱ることは大事…でも、頭ごなしに伝えていませんか?「ペアレント・プログラム」で困りごとを一緒に考えています|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら・54」

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営するNPO法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

「子どもが言うことを聞いてくれない」とは、子育て中のお父さん、お母さんに共通する困りごとの一つです。子どもを叱ることは大事ですが、頭ごなしに伝えてしまっていませんか?今回は「ペアレント・プログラム」を通して家族への関わり方を見直したお母さんのお話です。

コラム「こころのとびら」はこちらから

子どもの行動が親の思いと違う…子育てのストレスにつながっていくようです

いるかひろばには毎日、親子が遊びに来てくれています。お子さんたちと関わっているだけで、私たちはプラスのエネルギーをたくさんいただいています。

利用者は子ども 1 人を育てているご家庭、2 人を育てているご家庭、3 人以上のご家庭とさまざまです。その中で、上のお子さんの子育てへの不安が共通しているようです。

赤ちゃんの頃の不安を少しひもといてみました。

  • 寝ない
  • 首据わり、寝返り、ハイハイなどの身体的な成長について
  • おっぱい(ミルク)の飲みなど栄養面について

これらの悩みは、子どもが成長すると軽減につながっていくように感じます。

成長とともに自我が芽生えます(写真は本文とは関係ありません)
成長とともに自我が芽生えます(写真は本文とは関係ありません)

成長に伴って徐々に自我が芽生え、子どもの意思で行動することが増えてきます。そうすると、こんな悩みが共通して増えてきます。

  • じっとしない
  • 親や大人の言うことを聞かない
  • わが子にどう関わっていいのか分からない

子どもの行動が親の思いと違う場面が増えてくるようになると、子育てをする中で徐々にストレスにつながっていくようです。

子どもの困っている行動は、関わり方次第で変えることができます

いるかひろばでは「ペアレント・プログラム(ペアプロ)」という講座を続けています。ペアプロとは、わが子に育てにくさを感じている人、関わり方に悩んでいる人が楽しく子育てしていけるようにと開発されたプログラムです。

発達障害のある子どもの親への支援として開発された「ペアレント・トレーニング(ペアトレ)」が元になっています。親が子どもの行動を理解し、肯定的な言葉がけなど適切な対応を身につけることで、子どもの困った行動を減らしていくことを目指しています。

「こころのとびら」でもたびたびご紹介してきました。ココハレの記者さんも体験受講してくれました。

褒めるこつを学ぶ「ペアレント・プログラム」を受けてみた①|「現状把握」から始めましょう

いるかひろばでは希望者にペアレント・プログラムを受講していただいています
いるかひろばでは希望者にペアレント・プログラムを受講していただいています

子どもも親も、持って生まれた性格を変えるのは難しいですが、困っている行動は関わり方次第で変えることができます。

ペアプロはそのきっかけになる講座ですが、講座を受けただけでは行動は変化しません。実生活の中で実践していくと、行動が変化していきます。

どちらもおままごとが大好き!(写真と本文は関係ありません)
どちらもおままごとが大好き!(写真と本文は関係ありません)

家族それぞれの個性が強いわが家でも、家族みんなに対してペアプロの考え方を実践しています。毎日の生活の中で小競り合いになる前に対処しています。そうすると、感情的にならずに家族の行動がうまく回っていきます。

夫と子どもが仲良くおでかけできない…お母さんの取った行動は?

いるかひろばでは、希望される方には個人でもペアプロを受けていただいています。先日、「子どもが『パパとまた一緒におでかけしたい』と言ってくれました」と報告してくれたお母さんがいました。

お子さんは 5 歳。お母さんは「子どもが『したらダメ』ということをわざとする」「わがままをどこまで許したらいいのか分からない」と悩んでいました。

特にお父さんが頭ごなしに「ダメ」と言ってしまうそうで、2 人でおでかけをすると、必ずけんかをして帰ってくるそうです。お母さんは「夫の子どもへの言動を見ると気になるけれど、私も同じことをしてしまっています」と話していました。

今日はどれで遊ぶ?(写真と本文は関係ありません)
今日はどれで遊ぶ?(写真と本文は関係ありません)

ペアプロでは自分や家族の「いいところ」「努力しているところ」「困ったところ」を、行動で具体的に書き出しながら、現状把握をしていきます。

ココハレの記者さんが記入した現状把握表。悩みながら埋めていっていました
ココハレの記者さんが記入した現状把握表。悩みながら埋めていっていました

ペアプロを受ける中で、お母さんは「私は、夫にしてほしいことばかり強要していた」と気づきました。

そこで、困りごとに対応する「あの手、この手」をお母さんと一緒に考えていきました。「子どもが『おもちゃを買って』と駄々をこね始めたら、頭ごなしに『ダメ』ではなく、『家に帰ったらどのおもちゃで遊ぶ?』『今日のおやつは何食べようか』と気をそらしてみるのはいかがでしょう」と具体的に提案してみました。

お母さんは夫にしてほしい行動を具体的に伝えました。すると、夫は外出先でお子さんの気を上手にそらせることができ、2 人は笑顔で帰宅できたそうです。

このお母さんはこのほかにも夫にしてほしい行動を具体的に伝え、してくれたら「ありがとう。助かった」と言葉でまた伝えていました。この繰り返しが効果的だったようで、「こんなに変わるのか」と驚かれていました。ご家族で実践してきたからこその変化だと思います。

ペアプロは「受けた後」が大事です

ペアプロの講座を受けると、「受けて良かった」と感じます。ですが、実は大事なのが講座を受けた後。ご家族それぞれに合わせた関わり方に変えることで、行動が少しずつ変化していきます。

子どもを叱ることは大事ですが、頭ごなしに伝えても理解できないことが多々あります。子どもが理解できるような関わり方、家族に伝わるような伝え方を、ペアプロの講座で感じたこと、理解したことをもとに考えていきます。

とても地道で、手間のかかる作業です。実践してくださる皆さんには頭が下がります。

集まりの時間ではピアノが人気です(写真と本文は関係ありません)
集まりの時間ではピアノが人気です(写真と本文は関係ありません)

講座で学んだことは、日々の子育ての中では忘れていきます。また、お子さんも成長し、「うまくいっていた方法が通用しなくなった」ということも起こります。

いるかひろばではペアプロを活用しながら、皆さんの子育ての困りごとを一緒に考えていきたいと思っています。「どんな内容か気になる」「受けてみたい」という方はぜひご連絡ください。

 

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜 9:30~12:00、12:30~15:30  日 、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します

オンラインいるかひろばのスケジュール

  • お試しオンライン(相談も):月~金曜日 9:30~10:00
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日。午前は 11:00~11:30 、午後は 15:00~15:30 。通所いるかひろばとつないで「集まりの時間」を行います

 

土居さんへのインタビューはこちら

【ココハレインタビュー】「いるかひろば」理事長・土居寿美子さん|しんどい気持ち、安心して話して

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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