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「怒鳴らない」「たたかない」どうすればできる?しつけのこつを紹介します

「怒鳴らない」「たたかない」どうすればできる?しつけのこつを紹介します

指示はせず、自分で考えさせる。「たたかない子育て」を提唱する子育てアドバイザー・高祖常子さんに聞きました

子どもが駄々をこねた時、どうしても言うことを聞いてくれない時、大きな声で注意したり、思わず手を上げてしまった…という経験はないでしょうか。

子どもを怒鳴る、たたくなどの行為は「体罰」とされ、現在は「親によるしつけのため」という理由であったとしても法律で禁止されています。

「そう言われても、うちの子は言うことを聞いてくれない」「たたかないで、どうやったらしつけができるの?」。そんな疑問に答える講演会がこのほど、高知市内で開かれました。講師を務めたのは子育てアドバイザーの高祖常子(こうそ・ときこ)さん。しつけでは、親が子どもに指示するのではなく、子どもの気持ちを受け止めた上で解決方法を考えるように促すことが大切だそうです。

「怒鳴らないしつけ」「たたかないしつけ」のこつを紹介します。

講演会は高知県人権啓発センターが企画しました。高祖さんは保育士や幼稚園教諭などの資格を持ち、子育てアドバイザーとして全国各地で講演しています。著書に「男の子に厳しいしつけは必要ありません」(KADOKAWA)、「感情的にならない子育て」(かんき出版)などがあります。子どもへの虐待を防ぐ活動に取り組む認定NPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」の理事も務めています。

子どもの虐待死事件をきっかけに、法律による体罰禁止を求める署名活動が始まり、2020 年 4 月に改正児童虐待防止法が施行されました。高祖さんはこの法律のガイドライン作りにも携わりました。

子どもをたたく、怒鳴ることは「暴力を使っていい」と教えているということ

「親に怒鳴られた」「悪いことをしてお尻をたたかれた」「反省するために正座をさせられた」…。子どもの頃にそんな経験をした人もいると思います。国内で行われたある調査では「しつけのために子どもに手を上げるのは仕方がない」という人が 6 割いました。「たたかないと、しつけができない」という考え方は日本では根強いと言われています。

一方で、虐待事件では必ずと言っていいほど、虐待をした親が「しつけのためだった」とその理由を話します。「しつけと称した暴力がエスカレートし、子どもの命を奪っています」と高祖さん。暴力をエスカレートさせないためには、たたく行為そのものをやめる「たたかないしつけ」が必要だと訴えます。

そもそも、なぜ子どもを怒鳴ったり、たたいたりしてはいけないのでしょうか。高祖さんは騒がしい子どもたちを静かにさせる場面を例に説明しました。

「優しい声で『静かにして』と注意して聞いてくれるのは 2 ~ 3 人くらい。まだまだ騒がしいので、次に『いい加減にして!』と怒鳴ります。それでも騒がしい子には『何で分からないの!』と手を振り上げます。ここまですると、子どもたちは静かになりますね」

怒鳴ったり、手を振り上げたりして静かにさせる行為は、恐怖や不安によって子どもを支配している状態だそうです。静かにしないといけない理由を子どもが理解したから静かにするのではなく、「怒られたら怖いから」という理由で静かになるだけです。これは「子どもに問題解決の方法を教えず、暴力を使うことを教えることにつながる」と高祖さんは説明します。

最近では「子どもへの暴力や暴言は、脳の成長発達によくない」ということを示す研究結果も出ています。「親から『お前のためだ』と言われてたたかれてきた人もいるかもしれませんが、体罰にいいことは一つもありません。今からやめましょう」

イライラが生まれやすい「子育てあるある」から、親の気持ちを整理してみましょう

では、「怒鳴らないしつけ」「たたかないしつけ」はどうやって行えばいいのでしょうか。高祖さんは親がイライラを募らせやすい場面を取り上げ、親の気持ちを分析することから説明を始めました。

場面は以下の通りです。

 

あなたの子どもは最近、お友達のおもちゃを取って、トラブルを起こしてばかり。子育て広場から足が遠のいていましたが、「子どものため」と思って今日は頑張って来ました。遊び始めると、子どもは早速おもちゃを独り占めして、お友達と取り合いになり、お友達を押しのけました。あなたが「貸してあげなさい」と言っても「ヤダ!」と騒いで聞き入れず、おもちゃを持って逃げようとします。

 

子育て支援センターなどでの“あるある”。他のお母さんの手前、恥ずかしく、友達と仲良く遊べないわがままなわが子にイライラしそうな場面です。

まず、この場面で「親として子どもに今してほしいこと」を考えました。会場からは「逃げないでほしい」「言うことを聞いてほしい」「お友達と仲良く遊んでほしい」などが挙がりました。

高祖さんはこういった親の思いを「子育ての短期目標」と呼び、「親が思った通りに子どもが動いてくれないからイライラする」と分析します。イライラすると、語気が強まり、「言うことを聞かない子はうちの子じゃない!」「置いて帰るよ!」など、思ってもないことまで言ってしまいがちですね。

ここで少し、冷静になってみましょう。

おもちゃの独り占めや、お友達との取り合いは、子どもにはよくある行動です。「子どもは年齢に見合った行動をしていただけなのにイライラしてしまうのは、親の中に既にストレスがあるから」と高祖さん。「この子はお友達に優しくできないのかな」「忙しい中、頑張って子育て広場に連れてきたのに」。いつも通りの子どもの行動が、不安や疲れを抱える親の気持ちのスイッチを押してしまい、ストレスが爆発するという流れだそう。「もし気持ちに余裕があれば、同じ行動をしても、『またそんなことして~』と爆発せずに受け止められるはずです」

「子育てあるある」での子どもの気持ちを考えてみましょう

では次に、同じ場面で子どもになりきってみましょう。

 

あなたの子どもは最近、お友達のおもちゃを取って、トラブルを起こしてばかり。子育て広場から足が遠のいていましたが、「子どものため」と思って今日は頑張って来ました。遊び始めると、子どもは早速おもちゃを独り占めして、お友達と取り合いになり、お友達を押しのけました。あなたが「貸してあげなさい」と言っても「ヤダ!」と騒いで聞き入れず、おもちゃを持って逃げようとします。

 

あなたはなぜ、「ヤダ!」と言いましたか?会場からは「このおもちゃでもっと遊びたいから」「わがままを通したいから」という意見が挙がりました。「お母さんが追いかけてきたから」「逃げたら楽しくなっちゃった!」「なんでそんなに怒ってるの?」と答える人もいるそうです。高祖さんは「子どもには子どもの気持ちがあるということを理解してほしい」と話します。

その上で、今度はこう問い掛けました。「お子さんにどんな大人になってほしいですか?」

「優しい人」「思いやりがある人」「助け合える人」「人の気持ちの分かる人」「自分の意見が言える人」…。たくさんの意見が紹介されたところで、もう一度、最初の“あるある”場面に戻りました。

 

あなたの子どもは最近、お友達のおもちゃを取って、トラブルを起こしてばかり。子育て広場から足が遠のいていましたが、「子どものため」と思って今日は頑張って来ました。遊び始めると、子どもは早速おもちゃを独り占めして、お友達と取り合いになり、お友達を押しのけました。あなたが「貸してあげなさい」と言っても「ヤダ!」と騒いで聞き入れず、おもちゃを持って逃げようとします。

 

最後に考えたのは「そんな大人になってほしいと思ったら、あなたは子どもにどう接しますか?」。「人の気持ちの分かる人」になってほしいのであれば、感情にまかせて怒鳴るのはやめた方がいいですね。

会場からは「『お友達も遊びたいみたい。どうしようか?』と聞く」「『貸してって一緒に言ってみようか』と促す」など、最初の「子育ての短期目標」とは違う方法が挙がりました。自分の気持ちを確かめ、子どもの気持ちを考え、大人になった時のことをイメージすると、ずいぶん接し方が変わることを経験しました。

子どものありのままを受け止め、解決方法を一緒に考えていきましょう

子どもが「ヤダ!」と聞き入れない時、「まずは制限を付けずに、ありのままの気持ちを受け入れてほしい」と高祖さんは語ります。「このおもちゃで遊びたいんだね」「お友達に貸したくないんだね」というふうに子どもの気持ちを言葉にして説明してあげた上で、「あなたの気持ちは分かるよ。でもね…」と話し、次のステップに移ります。

「このおもちゃで、お友達も遊びたいんだって」と友達の気持ちを伝えた上で、考えさせるのは「どうやって折り合いを付けるか」。「どうしたらいいかな?」と問い掛け、子どもの考えを聞きます。アイデアが出てこないようなら、「順番に遊ぶのはどうかな?」「こうやったら一緒に遊べるかも」「じゃあ、別の遊びをお母さんと一緒にしようか」など選択肢を示し、選んでもらいましょう。

「子どもはある程度言葉が分かれば、まだしゃべれなくても考えようとするので、ぜひ問い掛けてください。状況を整理してあげて子どもに主導権を渡すことを繰り返していくと、自分と相手の気持ちを尊重しながら自分で判断できるようになります」

子どもの「ヤダ!」を大事にしていきましょう

「ヤダ!」「ヤダ!」を繰り返す子どもにはうんざりさせられることもありますが、高祖さんは「子どもの『ヤダ!』は大事にしてほしい」と語ります。子どもの頃から「嫌だ」と感じることを相手に伝える練習をしていないと、「嫌だという気持ちを出せない大人になる」そう。「ヤダ!」を受け止めることは子どもの行動や考えを認めることであり、自己肯定感を育むことにもつながります。

「『○○しなさい』と上から威圧的に指示していると、『親に言われるからする子』になります。しつけとは、子どもが自分から習慣的に行動できるようになること。自分で考えて行動できるように、上からではなく横からサポートしていきましょう」

「ヤダ!」は大事にしなければいけませんが、子どもの要求を何でも聞いていると、「あれもやって。これもやって」とエスカレートします。親を傷つける言葉を言ったり、たたいたりすることを受け入れていると、相手を暴言や暴力で傷つけることで気持ちを収めることを学んでしまいます。「子どもに自分を差し出してはいけません。要求には『あと 1 回ね』と線を引き、暴力や暴言には同じことを仕返すのではなく、『悲しいからやめて』『痛いからやめて』と伝えてください。子どものことも、親である自分のことも大事にしてほしいと思います」

「怒鳴らないしつけ」「たたかないしつけ」は最初から完璧にできるものではありませんが、「怒鳴らない」「たたかない」と決めることで減っていくそうです。「『先月は 5 回爆発しちゃったけど、今月は 2 回だったな』というふうに自分を認めることも大事ですよ」

また、「自分がどんな時にイライラするか」「どんな時間帯にイライラするか」を書き出してみると、気持ちや状況の整理ができます。「いつも同じことで怒ってるな」ということがあれば、怒る原因を取り除くことで、怒ること自体が減っていきます。

「子どもが着替えないことにイライラするなら、『なぜ着替えないのか』を考えてみてください。服選びに時間がかかるなら、前の晩に服を用意しておく。着替えるのに時間がかかるのなら、手伝ってあげる。テレビに見とれるなら消してみましょう」

「怒りの前には悔しさ、悲しさ、疲れ、忙しさ、不安などの感情があります。怒っている人は困っている人なんです。自分の気持ちを大事にして、疲れを取ったり、相談をしたりして取り除ける原因は取り除き、笑顔で過ごしてもらいたいと思います」

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この記事の著者

門田朋三

門田朋三

アナ雪のエルサになりたい5歳と、おてんばな1歳の娘がいます。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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