「完成」がゴールじゃない!遊びや工作で「挑戦」する力が育ちます|見守る親が心がけたい五つの役割とは?高知リハビリテーション専門職大学の篠田かおりさんが紹介しました
身近な物を使った遊びのポイントとは?

子どもが遊んでいる時、親は「ちゃんと作れるかな」「失敗しないかな」と、つい完成を期待してしまいがち。
でも子どもにとって遊びや工作は、うまくできることだけが目的ではありません。試したり、失敗したり、また挑戦したり…。そうした経験の積み重ねが子どもの成長につながっていくそうです。
「身近な物を使った遊び」をテーマにした高知リハビリテーション専門職大学(土佐市高岡町乙)の公開講座が 2026 年 7 月、高知市追手筋 2 丁目のオーテピアで開かれました。
作業療法学専攻の准教授・篠田かおりさんが、遊びや工作で育まれる「挑戦する力」の大切さや、見守る親が心がけたい五つの役割などを紹介しました。
目次
高知リハビリテーション専門職大学は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を養成しています。
2026 年 6~9 月の間、「令和 8 年度公開講座」を 3 部に分けて高知市追手筋 2 丁目のオーテピアで開催しています。
7 月開催の第 2 部が子どもに関係する講座で、脱水症状や遊び、運動神経をテーマに 3 回開かれました。各講座をココハレでレポートしていきます。
- 7 月 5 日(日)…「脱水になるのは夏だけ?-身体の脱水が運動パフォーマンスに与える影響とその予防-」
- 7 月 19 日(日)…「身近なもので遊んでみよう!」
- 7 月 26 日(日)…「子どもの運動神経を高めるコーディネーショントレーニング」
第 2 回の講座「身近なもので遊んでみよう!」は、高知リハビリテーション専門職大学准教授の篠田かおりさんが講師を務めました。
新聞紙、段ボール、ビニール袋でどう遊ぶ?
新聞紙に、ビニール袋、段ボール、ガムテープ…。参加者の座るテーブルにこれらの材料が用意された状態で、講座は始まりました。
「この材料で自由に何でも遊べる物を作ってみましょう」と篠田さんが呼びかけ、参加者は作業をスタート。ただ「自由に何でも」が、大人になると難しいんですよね。
段ボールを切ったり組み立てたり、新聞紙を折ったり段ボールに貼ったり。思い思いに工作すること約 30 分…。
皆さん、どんな物ができたでしょうか?篠田さんが一人ずつ聞いていきました。
こちらの方は、丸めた新聞紙にガムテープを貼ってボールを作り、ボール当ての的を段ボールで組み立てました。
的には「お母さんが怒っている時の顔」を描いており、角が付いているのもユーモアたっぷり。
次の女性も同じようにボールを作り、段ボールをカッターでくりぬいて、ボール入れのおもちゃを作りました。
次の女性は、ビニール袋に空気を入れ、新聞を貼り付けて作った「クラゲ」!
ぽーんと打ち合うと、短冊状に切って付けた新聞紙がひらひらと揺れます。腰に付けると、「しっぽ取り」のゲームもできそう。「県外の孫が遊びに来た時に喜ぶかな」と話していました。
こちらの女性は、二つの段ボールをガムテープでつなげて、穴にビニールを通して持ち手にした「電車」を作りました。
「おもちゃを入れて引っ張っても遊べるし、丈夫な段ボールだったら小さい子どもさんが乗れるかもしれないですね」と篠田さん。子どもが好きそうな遊び道具があっという間に完成していました。
子どもは「チャレンジの天才」…無限に失敗させてあげることが大切
参加者の皆さんはそれぞれ面白いおもちゃを作り上げていました。ただ大人はつい、「正解」や「完璧な物」を求めがちになります…。
「大人にとっては『完成』がゴールかもしれないですが、子どもは失敗も楽しみの一つ。うまくできなくても楽しいのが、子どもの遊び」と篠田さんは言います。

「『とりあえずちぎってみよう』『こうしたらどうなるだろう?』『強度が足りないかな』など、いろいろ頭を使って手を動かすことが大事だと思います」
子どもが作業している時は、次の五つのサイクルがあることを知って見守ってあげるといいそうです。
- やってみる(思い切って試して、正解は気にしない)
- 考える(「どうしてこうなった?」と頭を使う)
- 試す(別のアイデアも形にする)
- 失敗する(うまくいかないことを経験する)
- またやってみる(挑戦を繰り返す)
段ボールや古新聞など、値段がほとんどかからない物を使って思い切りやらせてあげると、親も広い心で見守れますね。
「成功や完成を一足飛びに経験しているお子さんは、チャレンジすることを怖がってしまう。子どものうちに、試すことをたくさん経験しておくといいと思います」と語りました。
物を作ることばかり目が向きがちですが…「もっと感覚を楽しんで」
子どもの遊びには、いろいろな種類があります。先ほどのように、段ボールなどの材料を使って「的当て」や「電車」などの物を作る遊びは、「構成遊び」と呼ばれます。
子どもが最初に始めるのは五感を使った「感覚遊び」です。例えば新聞紙を使うと、次のようなことでも十分遊びになるそうです。
- 破ったり丸めたりする。
- ビリビリ、クシャクシャといった音を聞く。
- 空中でひらひらさせる。
「何か物を作ることばかり目が向きがちですが、感覚を楽しむことをもっとお子さんと共有してもいいのでは」と篠田さん。「1 歳児からできる遊びですし、幼稚園や保育園の間ずっと続けてもいいと思います」
年齢が上がるごとに、次のような遊びができるようになります。
- 「運動遊び」…ボール投げや的当て、トンネルくぐり、しっぽ取り
- 「構成遊び」…材料を使って、家や車を作る
- 「ごっこ遊び」…お店屋さんごっこ、ヒーローごっこ
- 「ルール遊び」…じゃんけんを使った遊び、チーム戦
- 「創造遊び」…新しい遊びを考える、ルールを変える
どれも子どもたちが自然とやっている遊びですが、成長のステップを積み重ねているんですね!
「教えすぎない」が遊びを豊かに…親が心がけたい五つの役割
子どもが遊んでいる時に親がついやってしまうのが、良かれと思って口を出すこと。

子どもの遊びをもっと豊かにするために、親が心がけたい五つの役割を紹介しました。
- 見守る…「どうなるかな?」と見守り、子どもの自主性を大切にする。
- 一緒に遊ぶ…子どもと同じ目線に立つ。
- きっかけを作る…材料を買ったり、環境を整えたりする。
- 遊びを広げる…「他の方法はあるかな?」「こうしてみたらどうかな?」と発想を広げる声がけをしてみる。
- 必要なことだけ教える…はさみやカッターの使い方など、安全に遊ぶための注意点は丁寧に伝える。
「子どもはゲーム機があればゲームで遊びますし、新聞紙しかなければ新聞紙で遊ぶしかないんです。環境だけ大人が整えて、後は見守っていれば、子どもは発想力を使って勝手に遊びを展開していきますよ」
「遊びが始まったら『はい、どうぞ』以上は何も言わないのが発想力を引き出す大事なポイント。安全面など本当に必要なことだけ教えてあげながら、『見守る』『待つ』のが一番いいと思います」と篠田さんはアドバイスを送っていました。
子どもの工作の材料やくずがリビングにしょっちゅう散らかっていて、そのたびに怒ってしまうココハレ編集部員。
たくさんの「チャレンジ」と「失敗」が子どもの成長につながると思って、片付けの声がけもしながら広い心で見守っていきたいと思いました。
最後に、今回の講座で用意された「ビニール袋」「新聞紙」「段ボール」を使った遊び方の一例が紹介されました。
お子さんの自由な発想を大切にしながら、遊びのヒントとして参考にしてみてくださいね。
ビニール袋
- 風船のように膨らませて、投げ合ったり、うちわであおいで動かしたりする
- 切り貼りしてマントやスカートに見立てる
新聞紙
- 丸めてボールにして投げる
- 帽子やかぶと、剣、ステッキを作る
- 新聞紙の上に乗ってじゃんけんし、負けた人が折り畳んでいき、長く残れた方の勝ち
- 紙飛行機にして飛ばす
- 洋服やマントに見立てる
段ボール
- 家や車、ロボットを作る
- 積み木のように高く積む
- 道やトンネルを作る
- 秘密基地などに見立てる
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