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活字を読んで想像する楽しさを知ってほしい|ココハレインタビュー 金高堂・亥角理絵さん

活字を読んで想像する楽しさを知ってほしい|ココハレインタビュー 金高堂・亥角理絵さん

子どもにどんな本を読ませたらいい?選び方は?高知市の書店「金高堂本店」店長・亥角理絵さんに聞きました

毎日多くの人が行き交う高知市の中心商店街・帯屋町にある「金高堂」。1952 年に高知市本町で創業し、高知県内に 7 店舗を展開する老舗書店の本店です。

入り口の右側にあるのが子ども向けの書籍コーナー。広いスペースを取り、乳幼児向けの絵本、小学生向けの児童書、図鑑、学習漫画などさまざまな本を並べています。子ども用のいすやテーブルも置かれた楽しい空間には、「活字を読んで想像する楽しさを子どもたちに知ってほしい」という店長の亥角理絵さんの思いが込められています。

「子どもにどんな本を読ませたらいいの?」。お客さんからの質問にも積極的に応える亥角さんに、最近の子ども向け書籍の傾向や選び方を聞きました。

閉店後は店内でおにごっこ。本に囲まれて育った子ども時代

金高堂本店は 2015 年 8 月、中の橋通商店街から帯屋町 2 丁目の複合施設「帯屋町チェントロ」1 階に移転しました。ガラス張りの広い店内で接客に応じるのが亥角さん。パーマヘアがトレードマークです。

1968 年、高知市生まれ。金高堂を創業した吉村林(はやし)さんの孫にあたります。中の橋通商店街にあった金高堂のビルが店舗兼自宅だったという“お街の子”。「学校から帰ったら、上の階にあった自宅にランドセルを置いて、下の店舗で遊んでいました」。閉店後は仕事をする父、浩二さんの横で姉とおにごっこをするなど、本に囲まれた生活を送りました。

もちろん、本も“読み放題”。小学校の図書館にも毎日通い、「かなりの読書量だった」と振り返ります。幼児期のお気に入りは、人気アニメ「おさるのジョージ」でも知られる絵本「ひとまねこざる」。小学校時代に好きだった作家は椋鳩十(むく・はとじゅう)さんです。「動物が好きだったので、椋さんの動物ものはかなり読みました。中でも印象深いのは『孤島の野犬』です。椋さんに年賀状を送ってお返事を頂いた時は感激しました」

そんな読書家だった亥角さんですが、5 年生になると「読書量が落ちた」そう。中学は卓球部、高校は陸上部で練習に没頭し、「自分でも不思議なくらい本を読まなくなった」そうです。

金高堂で働き始めたのは 22 歳の時。「家業を継ぐ」というわけではなく、自然と本の世界に戻ってきました。現在は夫で 3 代目社長の亥角政春さんとともに、店を切り盛りしています。

本に触るのが好きという亥角さん。「装丁とか肌触りとか、今もときめきますね」
本に触るのが好きという亥角さん。「装丁とか肌触りとか、今もときめきますね」

読書へのきっかけとなる「児童文庫」。「漫画やろう?」はNGです!

金高堂本店ではアーケード側の入り口を入って右手に子ども向けの書籍コーナーを展開しています。0 ~ 2 歳児向けの絵本コーナー、3 歳児以上向けの絵本コーナー、小学生から楽しめる児童書、図鑑に学習ドリル…と、子どもの年齢に応じて本が陳列されています。本棚と本棚の間は広め。「ベビーカーや車いすでも楽しんでいただけるように、通路の確保を意識しています」と亥角さんは話します。

金高堂本店の子ども向け書籍コーナー。気に入った本を座って読めるスペースもあります
金高堂本店の子ども向け書籍コーナー。気に入った本を座って読めるスペースもあります

子どもの書籍コーナーの中でも、窓際の目立つ場所にスペースを取って置かれているのが小学校中学年から高学年向けの「児童文庫」。「名探偵コナン」「鬼滅の刃」「ONE PIECE(ワンピース)」「星のカービィ」など、子どもたちに人気の漫画やゲームタイトルが目に入ります。

子どもが大きくなるにつれて、絵が中心の絵本から、活字が中心の児童書へと読む本が変わります。活字を自分で追いながら、その場面を想像して、わくわくしたり、ハラハラしたり…。それが読書の最大の楽しみですが、「読みながら想像する」ということを経験していないと、「読んでも分からない」「ちっとも面白くない」と、本から離れていってしまうそう。そんな子どもたちにとって、読書への入り口になるのが「児童文庫」というジャンルです。

「児童文庫では人気漫画やゲームのノベライズ的な本が増えました。子どもがストーリーをある程度知っているので、活字を読んで想像することができるし、想像して楽しむことができるんですよ」

最近では「日本の歴史」など学習要素のある漫画もその価値が見直されているそう。「例えば『弥生時代の住居ってどんなの?』とか、『野口英世がやけどを負ったいろりって何?』とか、漫画やイラストで見れば『あぁ、これか』と分かるし、時代背景も理解できます。歴史ものは大学の受験勉強でも活用されていますよ」。図鑑やビジュアルに力を入れた書籍もよく売れているとのことです。

大人から見れば、「これは勉強に役立つ本なの?」「漫画じゃないか」と思ってしまいがちですが、亥角さんは「活字を読んで想像する楽しさを知ってもらうには、子どもが好きな本、興味を持った本から入ることが大事」と訴えます。

「本を読み慣れていない子どもに、『さあ、あなたのためになるから読んで』と大人が読ませたい本を渡しても逆効果です。『それは漫画やろう』と否定するのではなく、『好きな本を選んでごらん』と言ってあげてほしいです」

児童文庫のコーナーには「名探偵コナン」「鬼滅の刃」など人気漫画のノベライズが並んでいます
児童文庫のコーナーには「名探偵コナン」「鬼滅の刃」など人気漫画のノベライズが並んでいます

わが子へ、孫へ。贈りたい本を選んでください

子どもや孫に本を買ってあげたい。でも、どれを選べば…。書店で迷った経験のある人は少なくないのではないでしょうか。金高堂本店で最近人気を集めている絵本と児童書を亥角さんに挙げてもらいました。

【絵本】

  • 「おむつのなか、みせてみせて!」(文・絵:ヒド・ファン・ヘネヒテン、訳:松永りえ、パイインターナショナル)
  • 「おしっこちょっぴりもれたろう」(作・絵:ヨシタケシンスケ、PHP研究所)
  • 「ぱぱんがパン!」(作:柴田ケイコ、アリス館)

【児童書】

  • 「サバイバルシリーズ」(朝日新聞出版)
  • 「5分後シリーズ」(学研プラス)

 

亥角さんたち書店員が子ども向けの書籍コーナーで聞かれるのは「子どもにどの本を読ませたらいいですか?」という質問。取材中も男の子を抱っこしたお母さんに声を掛けられました。「お子さんはおいくつですか?」「いつもどんな本を読んでいますか?」。亥角さんはお母さんから話を聞きながら、「これはどうかな?好きかな?」と男の子に絵本を手渡し、反応を見ていきます。

本選びのポイントは「対象年齢が少し高めのもの」だそう。「どんぴしゃの年齢よりも少し先に読む本であれば、子どもは今すぐには読まなくても、いつか必ず手に取ります」

お客さんと対話を重ねた上で、数冊を提案しています。「ご提案した中から、内容や絵のタッチなど、購入される方の好みで選んでいただいています」と亥角さん。「本を贈るということは、その人の気持ちを贈るということ。私たち書店員が選ぶのではなく、その人が贈る相手のことを考え、『これなら喜んでくれるかな』と選んだ本が一番ですね」

子ども向け書籍のコーナーで質問で多いのが「どんな本を選べばいいでしょうか」。会話を重ねながら、対応しています
子ども向け書籍のコーナーで質問で多いのが「どんな本を選べばいいでしょうか」。会話を重ねながら、対応しています

ネットでは出合えない本と出合えるのがリアル書店

金高堂本店の店長に就任し、今年で 10 年。「本離れ」「活字離れ」が進み、ネット書店が台頭する中、亥角さんはリアル書店の強みを生かした書店づくりを進めています。それは「思わぬ本との出合い」です。

書店員の役割は「本を作る人の思いをお客さまに伝えること」。「棚に刺さっているだけでは手に取ってもらえない本がたくさんあります。書店員は『これ、好きだな』『たくさんの方に読んでほしいな』と思った本を、意志を持って並べています。それが、自分が『探そう』と思っていたジャンルではない本との出合いにつながると考えています」

店頭では「こんな感じの本ない?」といった抽象的な質問も受けるそう。そんなお客さんと会話をしながら、「この人にはこんな本が合うんじゃないかな」と探り、提供することも書店員の仕事の醍醐味であり、喜びです。「『金高堂で聞いたら分かるろう』『金高堂に行ったら、何かあるろう』と思ってもらえる書店、普段使いをしていただける書店を目指している」と亥角さんは語ります。

「書店に来ることを幼いころから楽しんでいただきたいです。小学生、中学生、高校生、大学生、社会人とお子さんが成長する過程でずっとお付き合いできたらうれしいですね」「ネット書店の『おすすめです』では表示されない本との出合いをつくっていきたいです。お子さんの本で困ったり、迷ったりしたら、ぜひ金高堂にお越しください」

亥角さんが子どもの頃に大好きだった「ひとまねこざる」と、イチ押しの作家・柴田ケイコさんの「おいしそうなしろくま」。
亥角さんが子どもの頃に大好きだった「ひとまねこざる」と、イチ押しの作家・柴田ケイコさんの「おいしそうなしろくま」。

 

 

金高堂本店は「帯屋町チェントロ」1 階にあります。

住所:高知県高知市帯屋町 2 丁目 2

電話:088-822-0161

営業時間:10:00 ~ 20:45(定休日なし)

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この記事の著者

門田朋三

門田朋三

アナ雪のエルサになりたい5歳と、おてんばな1歳の娘がいます。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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