お片付けでは「今必要な物」を選びましょう|仕事でも家庭でも役立つ整理収納のこつを紹介
整理収納アドバイザー・西野ナミさんの「お片付けセミナー」から、整理収納の進め方を紹介します
「私はお片付けが苦手」「頑張ってもちっとも片付かない」と諦めてはいませんか?子育て中は特に物が増え、家の中が散らかりがちですね。
こうち男女共同参画センター「ソーレ」(高知市旭町 3 丁目)でこのほど、女性のための就職支援セミナーが開かれました。テーマは「仕事がはかどるお片付け」。整理収納アドバイザー認定講師の西野ナミさんが整理、収納の正しい進め方について語りました。
職場でも家庭でも、お片付けのポイントは「今必要な物」を選ぶことだそうです。セミナーの様子を紹介します。
おおざっぱな性格だから無理?! やり方を学べばできるようになります
セミナーは高知県の女性就労支援事業として、ソーレ内にある「高知家の女性しごと応援室」が企画。会場とオンラインで約 60 人が参加しました。
西野さんは整理収納アドバイザーの認定講師として、県内各地でセミナーを開いています。アドバイザーになる前は「性格がおおざっぱで、片付けられない人だった」そう。その言葉が信じられないほど、すっきりと片付いた自宅内の写真を見せながら、「『私には片付けは無理』と思っていましたが、やり方を学べばできました」。力強い言葉から、講演は始まりました。
お片付けをする目的は?
そもそも、なぜお片付けをするのでしょうか。西野さんは「片付けることが目的ではなく、片付けた机で何がしたいかが大切」と語ります。
例えば、職場を片付ける目的の一つが、時間を効果的に使うため。国内の文具メーカーが行ったある調査では、職場で書類探しに「1 日平均 20 分費やしている」という結果が出たそうです。
「年間 240 日出勤するとすると、年間 80 時間は書類を探していることになる」と西野さん。「職場を片付けることで、探し物をするという無駄な作業がなくなり、時間を効果的に使うことができます」。他にも備品や消耗品を把握して大切に取り扱えるようになる、集中力がアップしてミスがなくなるという効果がお片付けにはあるそうです。
「時間の効率化」は家庭でも当てはまります。整理収納を学び始めた西野さんの目的は「家事時間を減らして韓国ドラマを見たい!」だったそう。理想の暮らしや働き方をイメージし、そのイメージに合ったお片付けをすることが効率アップにつながります。
「整理」「収納」「お片付け」それぞれ違います
「整理」「収納」「お片付け」。この三つは同じようで、異なる作業です。「整理」とは不必要な物を除くこと、つまり「必要な物を選ぶ」こと、「収納」は「取り出しやすく、戻しやすい場所に選んだ物を収める」こと、「お片付け」は「元の場所に戻す」こと。「しっかり整理することがお片付けの土台になる」と西野さんは語ります。
整理の際にはまず、「中の物を全部出す」ことから始めます。全部出した上で分類作業に入るのですが、やはりこれが「最も難しい作業」だそう。物を前にすると「前に使ったな」「今は使わないけど、いつか使うかも…」という気持ちがわき起こり、なかなか捨てることができなくなるからです。
「要る」「要らない」の 2 択にすると判断する難しさが増すため、西野さんが提案するのが「要る」「要らない」「どうしよう」「移動」の 4 択。以下のポイントで分けると、比較的スムーズに進むそうです。
- 要る(今使っている)→収納スペースへ
- 要らない(今使っていない)→捨てる
- どうしよう(迷っている)→保留・保管しておき、期限を決めてあらためて見直す。手放せない物もこちらへ
- 移動(共有の物)→共有の場所へ移す
これだと、すぐに手放せない物をとりあえず保管することができるので、ハードルが下がりますね。分類のポイントは「今」。「最長でも 1 年のスパンで必要かどうかを判断するといい」そうです。
「収納」は取り出しやすく、戻しやすく
収納の仕方については、一般的な事務机を例に説明がありました。事務机を五つのエリアに分け、いすに座った時の自分の動きや行動を意識しながら収納する物を考えていくといいそうです。
- デスクの上…「パソコンと電話のみ」など置く物を限定する
- 右側の引き出しの一番上…一番使いやすいので、一日に何度も使う物を入れる
- 右側の引き出しの真ん中…たまに使う物を入れる。書類は上に重ねるしかなく、探しにくくなるので入れない
- 右側の引き出しの一番下…深い引き出しなので、進行中の書類を入れる。探しやすいように内容ごとに分類し、立てて入れる
- 体の前にある広い引き出し…いす座ったままでは取り出しにくいので、基本的には何も入れない。書類の一時保管などに使う
引き出しの収納のポイントは「 8 割収納」だそう。物を入れ過ぎると取り出しにくくなるので、注意しましょう。開け閉めで中の物が移動するので、中を四角く区切り、全てが見渡せるようにするといいそうです。引き出しの手前と奥では、取り出しやすさが違います。「よく使う物を手前に入れるなど、使い方や使う場面を意識して定位置を決めてください」
定位置は定期的に見直し、「使いづらい」と思ったら変えましょう
ここまで来ると、後は「使った物を定位置に戻す」という「お片付け」の作業で維持、継続ができます。職場だと、帰宅前の 5 分間をリセット時間にして片付けると、習慣になるそうです。そして大切なのが「定期的な見直し」。「定位置を決めても、永遠ではありません。『使いづらい』と思ったら変えてください」
今回紹介した方法は職場だけに限らず、自宅の部屋や子ども用品、パソコン内のデータ、かばんの中身など、あらゆる場面で使えるとのこと。「『今』に目を向けて、物を整理しましょう。クローゼットや押し入れなど大きい場所から始めるのではなく、引き出し一つから始めてください。1 カ所やり切ると、達成感が味わえます。できなかったことができると、楽しくなりますよ」