パパ・ママリサーチ「入園・入学の準備③」|小学校入学までに習得しておくことは?平仮名は書けた方がいい?高知県教委・幼保支援課で聞きました!
幼児期の「遊び」が、小学校以降の「学び」につながります。入学前、入学後に保護者が心掛けておきたいことを紹介します!
高知の子育ての“今”を探る「パパ・ママリサーチ」では、入園・入学準備で気になること、伝えたいことを調査しました。
第 3 弾は、小学校入学に関する質問について。「入学前までに習得しておいてほしいことは?」「平仮名は書けるようにしておいた方がいい?」「子どもが小学校になじめるか心配」などが寄せられました。
質問を基に、ココハレ編集部が高知県教育委員会・幼保支援課の担当者にインタビューしました。幼児期の遊びが学びにつながるそうです。保護者が心掛けておきたいことをご紹介します。
目次
リサーチは 2023 年 2 月 21~23 日、ココハレLINE公式アカウントのお友だちの皆さんを対象に行いました。43 人(女性 38 人、男性 1 人、不明 4 人)から回答がありました。ご協力ありがとうございました!
第 3 弾は皆さんから寄せられた小学校に関する質問特集です。
ココハレ編集部がおじゃましたのは高知県教育委員会の幼保支援課。チーフの岡上里香さん、専門企画員の岡林律子さんが質問に答えてくださいました。
岡上さんも岡林さんも小学校の先生です。現在は幼保支援課で、幼稚園や保育所の先生や保護者向けの研修などを担当しています。
入学前に生活面で準備しておくことは?
小学校入学は、子どもにとって大きな環境の変化です。最初は緊張し、疲れやすくなります。
春休みの期間中に見直していただきたいのが、基本的な生活習慣。「早寝早起き朝ご飯」と「適度な運動」です。規則正しい生活リズムは、体の健康だけでなく、心の健康にもつながります。
「適度な運動」は、スポーツ教室などの習い事を推奨しているわけではありません。体を動かしてたっぷり遊ぶ、お手伝いをするなどを取り入れてみてください。
睡眠の目安は 9 時間、1 日に体を動かす目安は 1 時間です。
あいさつや返事とともに、自分の思いを相手に伝える力、困った時に誰かに聞ける力をつけてあげてください。例えば、「トイレはどこですか?」「○○が欲しいです」といったことを質問できると、学校でも安心して過ごせます。
心配ならば、和式トイレや、体操服への着替えなどを練習しておくといいですが、大事なのは失敗した時にSOSを出せることです。学校生活のあれこれは周りのお友達を見ながら自然に覚えていきます。
小学校になじめるかどうか心配です
入学後、これまでできていたことが急にできなくなったり、親御さんにべったり甘えるようになったりするお子さんがいます。学校で頑張り、エネルギー不足になったサインです。おうちではゆっくり過ごしましょう。「頑張ってるね」と声を掛け、お子さんが話そうとすることに耳を傾けてあげてください。
自分が愛されている、大切にされていると感じる「自尊感情」は、安心感につながり、新しい環境で頑張る土台になります。次の五つをご家庭で意識し、「あなたが大切だよ」と伝え続けてあげてください。
- 自分から挑戦しようとする気持ち、行動を応援する
- 小さな失敗を重ねながら考えることを見守る
- 「いつも見守っている、分かっているよ」ビームを届ける…子どもと目を合わせる、にっこりほほ笑む
- していいこと、してはいけないことを、理由も一緒に話していく
- 子どもの目を見て話を聴く
子どもの主体性を伸ばす関わりも大切です。親が先回りせず、子どもの考えを聴き、自分で決めさせ、結果を急がず、じっくり待つ。いつもやるのは大変ですが、ぜひ取り組んでみてください。
学習面で準備しておいたらいいことは?
入学すると、気になるのが勉強ですよね。
保護者の皆さんにぜひ知っていただきたいのが、遊びは学びだということです。砂遊びや積み木遊び、ごっこ遊びなど、0 歳から年長児までに園やご家庭で経験してきたさまざまな遊びが、小学校から 18 歳までの「教科等で学ぶ学習」につながっていきます。
例えば、小学校高学年の理科で「流れる水の働き」を学びます。この時に子どもたちの興味や関心、理解への手掛かりになるのが、幼児期の砂場遊びなどの経験です。授業で経験を聞くと、「保育所で遊んだ!」と答える子どもが多いです。
幼児期に遊びを通して育んだ意欲や集中力、試行錯誤、友達との関係などを通した気持ちのコントロールなども、学びにしっかりつながります。
平仮名は入学前に書けるようにしておくべき?
平仮名は入学後に学習しますので、入学までに教え込む必要はありません。無理に教えると嫌になりますので、「これ、何て読むの?」というふうにお子さんが聞いてきた時に教えてあげてください。
平仮名を勉強していなくても、子どもは絵本の読み聞かせや園でのお店屋さんごっこなどを通して、「文字は誰かに情報や気持ちを伝える手段だ」と学んでいます。入学後は国語の授業などで、その文字にまつわる経験を聞きながら、興味を持って一文字ずつ学んでいきます。
「入学までに自分の名前が書けるように」とよく言われます。無理に教えなくていいですが、自分の名前が読める、書けると、いろいろな活動に安心して取り組めます。慣れない学校や教室で、掲示や持ち物に自分の名前を見付けると、ほっとするようですよ。
授業についていけるか心配です
小学校の授業は 45 分間です。徐々に慣れていくため、入学後は「スタートカリキュラム」を導入しています。
これは、保育所や幼稚園での経験やつながりを意識した学習の進め方です。いきなり座って 45 分というのは難しいので、15 分ずつに区切って学習したり、国語と音楽など二つの教科を合わせて歌いながら言葉遊びをしたりして、学習を進めていきます。
45 分の授業でも、活動を取り入れたり、お友達と話し合うペア学習を取り入れたりしています。
登下校の付き添いをした方がいいですか?
小学校は子どもが登下校するのが基本ですので、保護者の付き添いは必要ありません。
学校によっては 2 日目から集団下校があり、一緒に帰るお友達をつくるきっかけになります。
入学前にはぜひ、通学路を一緒に歩いてみてください。お子さんの目線で歩き、道路の状況や交通量、お子さんがどこに興味を持つのかを把握しておくと安心です。傘を差して歩き、雨の日の目線も知っておきましょう。
校門まで車で送り迎えをされる方もいますが、朝は歩くことで脳が活性化しますし、道々で四季の移ろいなどにも気付きます。送り迎えをされる場合は、適度な距離で降ろし、歩く時間をつくってください。
防犯面からGPS、キッズ携帯を持たせてもいいですか?
GPSやキッズ携帯は、市町村や学校によって対応が違います。持たせる前には必ず確認をお願いします。
気になることなど、担任の先生に直接連絡してもいいものですか?
入学後はお子さんの環境が大きく変わる上に、保育所、幼稚園と違って送り迎えがないので、保護者の皆さんも心配だと思います。
気になることがあれば、連絡カードや連絡帳を使って質問してください。「先生は忙しいので…」と遠慮される親御さんもいますが、ちょっとしたことでも連絡をくださった方が、教員としても安心です。
親御さんの緊張や不安、イライラはお子さんに伝わります。気になること、心配なことをためなようにしてくださいね。
3 回にわたってお届けした「入園・入学の準備」、いかがでしたでしょうか。環境の変化には緊張したり、戸惑ったりするものですが、分からないことは遠慮せずに質問しながら、気負わずに準備していきたいですね。
①と②もぜひご覧ください。
幼保支援課では、子育てのお悩み解消に役立つ動画をYouTubeの「子育て応援チャンネル」で公開しています。