前回り下り、逆上がり…鉄棒への苦手意識を防ぐには?|みやもっち体育の運動遊び体験教室に密着しました
高知 蔦屋書店「Kids Park CHUCHU」とみやもっち体育がコラボ!親子体験教室が開かれています
「みやもっち体育」でおなじみの幼児体育講師・宮本忠男さんの運動遊び体験教室が 2023 年 4 月から、高知市南御座の「高知 蔦屋書店」で始まりました。
場所は 3 階の「Kids Park CHUCHU(キッズパーク チュチュ)」。毎月 1 回開かれ、親子で運動遊びを体験できます。
5 月のテーマは「鉄棒」でした。前回り下りや逆上がりへの苦手意識を防ぐ遊びとは?ココハレ編集部が密着しました。
目次
子どもの「やってみたい!」を育てるには?本の内容を実践します
「みやもっち体育」とは、運動遊びを通して、子どもたちに体の基本的な使い方を教えていく指導法です。運動経験や運動への思いが異なる一人一人の子どもたちに合わせて宮本さんが編み出しました。
宮本さんは県内外の幼稚園や保育園、小学校などで実践を重ね、今年 1 月に「子どものやってみたい!を育てる みやもっち体育」(クリエイツかもがわ)という本にまとめました。
「Kids Park CHUCHU」での親子体験教室は、この本の実践版として始まりました。
対象は 3~12 歳の親子。5 月は 4 日に「鉄棒」をテーマに開催され、18 組が参加しました。
運動構造を知れば、逆上がりは大人になってからも習得できる!
みやもっち体育の特色は次の二つです。
【みやもっち体育の特色】
- 運動構造を知る
- その運動に似ている動きを経験できる遊びを取り入れる
この二つを意識して組み立てていくと、子どもはその運動に必要な体の使い方を、遊びを通して楽しみながら習得できるそうです。
体験教室では、宮本さんが「鉄棒ができない子」を実演しました。せりふ付きでどうぞ。
続いて、「鉄棒ができる子」の実演です。登場したのは、言語聴覚士の小寺晶愛さん。宮本さんと一緒に、「遊び」と「防災」を掛け合わせた「あそぼうさい」という活動を進めています。
小寺さんは子どもの頃、逆上がりができなかったそうですが…?
小寺さんは、自分が逆上がりのどの動きを苦手としているかを分析し、猛特訓したそうです。
鉄棒のこつはおさるさん?!棒を使って手首の動きを習得しましょう
鉄棒の授業では、「鉄棒をしっかり握って!」「手を離しちゃ駄目!」という指導を受けた人も少なくないのではないでしょうか。
これは落下を防ぐために必要な注意ですが、宮本さんは「鉄棒をしっかり握ると、手首が固定されるから、回れない」と説明しました。確かに…。
「できる子は『鉄棒をしっかり持って』と言われたとしても、鉄棒を持った手首をするすると動かし、鉄棒に跳び上がります。できない子には、必要な動きの習得が必要です」
鉄棒の習得でまず必要なのが、ぶら下がる経験です。おすすめは「ぶらぶらモンキー」。鉄棒の握り方や、脇を締めるタイミングなども覚えられるそうです。
ぶら下がるのが怖くなくなったら、次は「おさるの自転車」。手首をするする動かして鉄棒の上に乗り、体を支えます。
「おさるの自転車」の合言葉は「スルスル、ウッキー」です。「スルスル」で手首を動かし、「ウッキー」で鉄棒にジャンプします。
「鉄棒の上で両腕を伸ばし、体を支える」という動きに慣れていない子どももいました。落ちたら怖いので、脇で体を支えてしまいます。
宮本さんは、高さを調節しながら、少しずつ子どもの状態を起こしていきました。
体をしっかり伸ばして支えられるようになったら、自転車のペダルをこぐように両足を回します。腕で支えて体を振る「支持振動」という動きにつながります。
鉄棒の「カギ」とは?体を引っ掛けても痛くない場所を探しましょう
鉄棒に乗って体を支える際に、痛がる子どもがいます。宮本さんによると、これは「自分の『カギ』を知らないから」だそうです。
カギとは、膝や足の関節や腰を曲げて鉄棒に引っ掛けても痛くない場所のこと。腰のカギになるのは腸骨で、「おへそから握り拳一つ下あたり」になります。
腰のカギをつかむのにおすすめの遊びが「腰で鉄棒ブランコ」です。
両手、両足を床につけて、棒に折れ曲がるような態勢で腰を引っ掛けます。両手をついたまま足を上げても体を支えられる場所がカギになります。
痛くない場所を最初に見つけておくと、苦手意識が防げますね。
逆上がりへの一歩!ブリッジも経験しました
この日は逆上がりにつながる動きの一つ、「ブリッジ」も鉄棒で体験しました。
ブリッジでは、あごを挙げると背中が伸び、あごを引くと背中が曲がります。「顎(がく)反射」といいます。
逆上がりでは、逆さになった時に鉄棒に体を引き付けるため、おへそを上に上げてお尻が落ちない態勢が必要だそうです。
子どもたちは引き続き、おさるさん。逆さになって、バナナを食べる遊びでブリッジをしました。
慣れてくると、すのこでブリッジをするなど、バージョンアップしていくそうです。
遊びで生まれる工夫が、運動につながります
教室では、いろいろな運動遊びに挑戦しながら、一人一人の子どもが何を苦手としているかを把握し、先生方がサポートしていました。
「何ごともそうですが、完成形ばかりを見せて『ちゃんとやれ!』と言われても、できない子はできないし、そもそも面白くないですよね」と宮本さん。運動を分解すれば動きを習得しやすくなりますし、家庭で取り入れたら親子のコミュニケーションにもなると感じました。
みやもっち体育では、その運動に必要な動きを伝えていきます。一方で、その運動を完成させるには、自分なりの工夫も必要なんだそうです。
「運動は『言われたことをその通りにやったらできる』というものではなくて、『こうしたらうまくいくんだ!』と自分で気付くことが大切です。工夫やアイデアには遊びの経験が生きてきますので、お子さんにはぜひ、豊かな遊びを経験させてあげてください」
「高知 蔦屋書店」では毎月第 2 土曜日に、みやもっち体育の親子体験教室を開催します。6 月は 10 日(土)9:00から、先着 15 組です。詳しくはこちら
毎月の日程や申し込み方法は「高知 蔦屋書店」のウェブサイトで確認してください。