高知で初開催!「オモロー授業発表会」に行ってみた|先生同士で対話できてる?「子どもが自ら選ぶ授業」って?公立小中学校の新しい取り組みが紹介されました
学校教育は私たち親世代が子どもの頃と比べると、ずいぶん変わりました。参観日に授業を見ると違いに気づきますが、その授業がどんな意図で行われているのかを先生から聞ける機会はめったにありません。
親も参加できる教育対話イベント「オモロー授業発表会」が初めて高知で開かれると聞き、小学生ママのココハレ編集部員が行ってきました。
登壇したのは公立小中学校の先生ら 7 人。先生同士の対話を促す活動に、地域の人と一緒に行ったまちづくりの授業、児童が学び方を自分で選ぶ授業…。
高知で始まっている“オモロー”な取り組みを紹介します。
目次
【オモロー授業発表会とは】教育を熱く語るイベント。180回以上開かれています
ココハレ編集部が取材した「オモロー授業発表会 in 高知」は 2026 年 1 月 10 日、高知市文化プラザ「かるぽーと」(高知市九反田)で開かれました。
「オモロー授業発表会」は大阪で 2023 年に始まった教育対話イベント。「オモロー」は関西弁の「面白い」です。
「教育について熱く語ろう」という呼びかけが全国に広がり、これまでに 180 回以上開催されています。
高知では学校の先生や保護者、学生ら約 20 人が実行委員会をつくり、企画・運営しました。
中心となったのが一宮中学校教諭の松本容子さん。ココハレでは第 3 期ココハレサポーターとして活動しています。
初開催にもかかわらず、当日は約 130 人が参加。先生や保護者だけでなく、教育に興味のある人も参加し、熱気が伝わってきました。
【対話できる関係をつくる】生徒に促す前に先生から…「エンジェルハート」でこっそり応援
中学校教諭の松本さんは「オモローは職員室から!」と題し、発表しました。
松本さんが取り組んでいるのは「先生同士の対話」。中学校が教育目標に掲げる「対話的な深い学び」を実現するため、「生徒の前に、まずは先生から」と考えました。
「先に満たすべきは子どもも対峙(たいじ)する大人。シャンパンタワーの法則です」
シャンパンタワーの法則では、積み上げたグラスの上からシャンパンを注ぐと、グラスからあふれたシャンパンが全体へと注がれます。確かに子育てでも、親が余裕を持って笑顔で過ごしていると、子どもにも笑顔で向き合えます。
生徒に対話を教える先生たちも、実は対話は未経験。そこで、松本さんは次の 3 ステップを考えました。
- 会話…日常的な他愛もないおしゃべりができる関係
- 信頼関係…話しやすい・相談しやすい関係
- 対話…意見や価値観、自分のイメージを語り合える関係
先生同士の関係づくりを促すために行ったのが「エンジェルハート」。学級づくりで行われる取り組みです。
エンジェルハートでは、クラス全員の名前を 1 人ずつ、くじにします。1 人が 1 枚引き、くじに名前が書いてあった友達を 1 週間、こっそり応援します。こっそりなので、自分が応援していることをその友達には伝えません。
学年団の先生で 1 週間やってみて、迎えたエンジェルの発表会。「○○先生のエンジェルは?」「△△先生かな?声をかけてくれた」というやり取りが動画で紹介されました。先生たちはにこにこの表情。見ているこちらも、笑顔になりました。
他にも、校内研修でコミュニケーションを学んだり、モチベーションを上げる動画を作ってみたり。
こうした対話の仕掛けを行うことで、学年の先生から「こんなことをしてみたい」という提案も活発に出るようになりました。
「会話、信頼関係、対話のステップを行ったり来たりしていますが、うれしい変化が起こっています。オモローな学校はオモローな職員室から」と松本さん。「次はあなたの職員室でいかがですか?」と呼びかけていました。
【ワクワクを生む】地域でやりたい活動を大人たちの前でプレゼン!
小学校教諭の東祐矢さんの発表は「提案しよう!魅力あふれる街づくり~わくわくするって楽しい!~」。高知市の第六小学校で 2024 年度に取り組んだまちづくりの授業を紹介しました。
東さんは 2024 年度の 6 年生を 4 年生の時から担任しました。人口減少や「消滅可能性都市」について学んだ子どもたちは、地域を盛り上げようと、五つのテーマを掲げました。
- 升形商店街…第六小の地元商店街
- 防災
- 清掃活動
- 美化活動
- あいさつ運動
それぞれがテーマを選んでやりたいことを考え、地域の大人たちにプレゼンを行い、「一緒にやろう!」とマッチングできた大人と実現させていくというユニークな地域活性化プロジェクトを展開しました。
升形商店街のチームでは、お店のPR動画をテレビ局に習いながら作ったり、マスコットキャラクターを提案したり。
マスコットキャラクターは「まっすー」というクジラのキャラクターとして完成。後輩となる 2025 年度の 6 年生によって引き継がれ、よさこいのメダルにデザインされました。
「自分は子どもたちと学校の外にあるものをつなげただけ。学校の外にはワクワクがたくさんある」と東さん。
「教員の働き方改革やコロナ禍で、学校と地域とのつながりが切れていますが、学校が外に踏み出せば、力を貸してくれる方はたくさんいます。将来は、県内の子どもたちが地元の商店街を自慢し合う商店街サミットを開きたい」と夢を語りました。
東さんは「子どものチャレンジは『無理じゃない?』ではなく、応援していきたい」とも語りました。ここで、司会を務めた中澤幸彦さん(東京都教諭)が一言。
「『やったことがないこと』『楽しいこと』『価値があること』がワクワクになります。子どもたちがワクワクできなくなっているのは、大人たちがしている評価のせいかもしれません」
そうか。わが子に良かれと思ってしているアドバイスが、実はワクワクの芽を摘んでしまっているのかも…と、ハッとさせられました。
【新しい授業】一斉授業には限界がある…子どもが自ら選ぶ「自由進度学習」「自己調整学習」
廣瀬凌輔さんは、高知市の公立小学校の 5 年生の担任をしています。「自ら選ぶ授業」と題した発表で、会場に問いかけたのがこちら。
「学校の給食は、定食とバイキング、どちらがいいですか?」
うーん…。定食は栄養管理が行き届いているので安心ですが、楽しいのは自分で選べるバイキングですね、やはり。
廣瀬さんは給食を「授業」に置き換えました。定食が先生が教壇の前に立って進む「一斉授業」で、バイキングが「自分で選べる授業」。なるほど。
授業のバイキング、つまり子どもが自分で選べる授業は「自由進度学習」や「自己調整学習」と呼ばれています。廣瀬さんは算数の授業を中心に取り入れていて、次のように進めています。
- 授業の前半は「一斉授業」…先生が大事なポイントだけを教える。だいたい 20 分くらい。
- 授業の後半は「協働的な学び」…自分で目標を決め、「ミニ授業」「キュビナ(学習アプリ)」「計算ドリル」から選んで進める。
自由進度学習や自己調整学習で大切なのが「『選ぶ』をつくり出すこと」。廣瀬さんは勉強する場所や使う道具、勉強する相手、コースなど、さまざまな場面をつくり出しています。
- 勉強する場所…自席、先生の横、教室の後ろの方、窓側、床
- 道具…ノート、ホワイトボード、タブレット
- 勉強する相手… 1 人で、友達と、先生と
- コース…じっくりコース、爆速コース、探究コース
さらに、学習の目標や時間の使い方も、子どもたちに選ばせているそうです。
発表では子どもたちの感想も紹介されました。
- いつどこで誰と何時から何時までするか計画を立ててやると、普段よりも効率よくできることが分かりました。
- 自己調整学習をして、自分でやることを考えて学習を進めていくということが身につきました。
廣瀬さんは「一斉授業にはプロが行う良さがありますが、限界がある。これからの時代には自己調整が必要」と語りました。
こうした授業は高学年だけでなく、3 年生でも行えるそうです。
40 代のココハレ編集部員は全く経験していない授業。その狙いや先生の思いを聞き、新しいことに挑戦する先生を応援したいと感じました。
教育について熱く語る機会…親も学びが深まりました
授業発表には「みやもっち体育」でおなじみの宮本忠男さんらも登場。参加者が感想を語り合う「わっかトーク」も行われ、皆さん熱く議論していました。
企画した松本さんは「イベント名に『授業』とあるので、先生以外の参加者がどれだけ興味を持って来てくださるか不安だった」そう。
参加者が「わっかトーク」で盛り上がる様子を見て、「輪っかになって思い思い話すことの価値を再認識しました」と振り返っていました。
高知から教育を考えた「オモロー授業発表会 in 高知」。会場からは「第 2 回もやりたい!」という声も上がっていました。またココハレでお知らせします!
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