「読んでもらう」「音読」「おさらいクイズ」…昔話を親子で楽しむには?|中脇初枝さんが「日本のむかしばなし」「世界のむかしばなし」を執筆・監修しました
昔話を子どもに読んであげたいけど、たくさんあり過ぎて迷ってしまう…。
そんなママパパにぴったりな昔話集「日本のむかしばなし」「世界のむかしばなし」がポプラ社から刊行されました。
執筆と監修を担当したのは四万十市出身の作家・中脇初枝さん。日本の昔話は 14 話、世界の昔話は 18 話が収録されています。
対象年齢は 3~8 歳で、読み方のこつや音読のポイントなどを紹介。お話を振り返る「おさらいクイズ」もあり、親子で長く楽しめます。
目次
中脇初枝さんは昔話の「再話」に取り組んでいます
中脇初枝さんは小説「きみはいい子」」「世界の果てのこどもたち」「天までのぼれ」などで知られる作家です。創作活動に加えて、昔話の「再話(さいわ)」に取り組んでいます。
再話とは、伝えられている昔話を、今を生きる私たちが読みやすく、語りやすいお話に再構成すること。
中脇さんは子どもの頃から昔話が大好きで、大学では民俗学を専攻。その土地で語り継がれてきた昔話の資料を読み込み、各地を訪れ、出会った人たちの話や昔話に耳を傾けてきました。
昔話の主人公が男性に偏っている現状を変えていこうと、「女の子の昔話えほんシリーズ」を刊行するなど、多様な昔話に触れられる機会をつくってきました。
「日本のむかしばなし」は14話、「世界のむかしばなし」は18話が楽しめます
「日本のむかしばなし」「世界のむかしばなし」のもとになったのが、ポプラ社の「はじめての世界名作えほん」シリーズです。「今の子どもたちに合った再話やイラストで昔話を届けよう」と企画された全 80 巻。中脇さんが文と監修を担当しました。
「昔話はあちこちに伝わっているので、日本で記録されただけでも何万話とあります。膨大な資料を読み込むのは大変でしたが、伝承されてきた昔話とその語り口を大事にする企画でうれしかったです」
「おおきなかぶ」「ももたろう」「シンデレラ」などの昔話が、現代の子どもたちが受け入れやすいアニメイラストとともに楽しめます。
シリーズの中から、「日本のむかしばなし」には 14 話、「世界のむかしばなし」には 18 話が収録されています。
誕生のきっかけは「担当の編集者さんの熱意でした」と中脇さん。「昔話を知っているのと知らないのとでは、子どもの人生が変わる!」「たくさんの子どもたちに届けたい!」と熱く語ったそうです。
昔話のセレクトには、担当編集者さんが自分の子どもに昔話を読み聞かせてきた経験も生かされています。
収録されているお話がこちら。
日本のむかしばなし
- おむすびころりん
- せつぶんのおはなし
- ももたろう
- へっこきよめさま
- 十二支のはじまり
- ねずみのよめいり
- うらしまたろう
- さるかにがっせん
- つるのおんがえし
- かさじぞう
- ゆきおんな
- 花さかじいさん
- したきりすずめ
- かぐやひめ
世界のむかしばなし
- おおきなかぶ
- 三びきのこぶた
- ながぐつをはいたねこ
- こびとのくつや
- うさぎとかめ
- ねずみのはなしあい
- すっぱいぶどう
- うそつきなひつじかい
- あかずきん
- シンデレラ
- アラジンとまほうのランプ
- ヘンゼルとグレーテル
- たなばたのおはなし
- ありときりぎりす
- よくばりないぬ
- きつねとつる
- いなかのねずみとまちのねずみ
- しらゆきひめ
「よく知ってる」というお話もあれば、知らないお話や「あらすじを忘れてしまった…」というお話も。
選ぶ際に大切にしたのがバランスで、世界の昔話はヨーロッパに偏らないように、イソップ寓話(ぐうわ)のほか、ロシアやアジアの昔話からも選んだそうです。
「読んでもらう」から「一人読み」へ…子どもの成長に合わせて楽しめます
「日本のむかしばなし」「世界のむかしばなし」では、新たな試みとして、大人向けに昔話を楽しむポイントが紹介されています。
幼児期から長く楽しめるように、「読んでもらう」「音読」「ひとり読み」と、子どもの成長に合わせた楽しみ方を提案。
音読は自分の声を通して耳からも情報が入るため、「内容を理解しやすくなったり、文脈をとらえたりできるようになります」と解説されています。
お話を読み終えたら、振り返りの時間です。
1 話ごとに「おはなしに出てくることば」や「おさらいクイズ」が掲載されています。
感想を言葉で伝えるきっかけになるのが「きいてみよう!はなしてみよう!」のコーナー。子どもらしいユニークでほのぼのした感想が載っています。
「昔話の感想は道徳や教訓を押しつけがちなところがありますが、この本では、例えば『おむすびころりん』では『おむすびがおいしそうだった!』とか(笑)。昔話から感じることはもっと自由でいいですよね」
巻末には「読んであげるときはどんなお話を選ぶのがいいですか?」「ひとり読みに移行させるタイミングは?」など、本に親しむためのQ&Aも紹介されています。
語り口、リズム…大人が読んでも楽しく、心地よい昔話を
昔話を選ぶ際に中脇さんが大切にしているのが、子どもたちへのメッセージです。「昔話は『この世界は悪いものじゃないよ。安心して生きていってごらん』と子どもたちの背中を押していくもの」と考えています。
加えて、昔話の語り口も大事にしています。
「昔話の語り口にはリズムがあって、歌に近いのかなと。親御さんはお子さんのために読むのですが、大人が読んでも楽しいな、心地いいなというお話を届けたいです。大人が楽しんでいると、子どもにも伝わりますので」
大人が読んであげる際には「本好きな子どもになってほしい」「賢くなってほしい」という欲が入りがち。ココハレ編集部員もそうでした。
中脇さんに尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「いろんなお子さんがいますので、本を読んだからといって本好きに育つとは限らないですね(笑)」
ただ、親子やきょうだいなどで昔話を読み合うことは「人生の財産になる」と語りました。
「昔話を通して同じ言葉を共有できることはなにより楽しく、かけがえのないこと。お子さんが安心して過ごせて、『自分はここにいていいんだ』と思える時間を昔話でつくっていってほしいなと思います」
かしこく・やさしく・たくましい心をはぐくむ 日本のむかしばなし 世界のむかしばなし
- 監修・文:中脇初枝
- 対象年齢:3~8 歳
- 定価:各 2200 円(税抜き)
- 発行所:ポプラ社
この記事の著者