【つむサポ講座・参加団体】助産師・森木由美子さん|お母さんの健康を大事にしたい
高知の新しい子育て支援「みんなでつむサポ」。講座を企画している皆さんを紹介します
妊娠期からの切れ目ない子育て支援を目指す高知県の施策「高知県版ネウボラ」に 2021 年度、「みんなでつむサポ」という新しい取り組みが加わりました。高知県内で子育て講座を企画する団体をつなぐことで、気軽に子育て相談や交流ができる場を地域に増やしていこうと、8 団体・個人が活動しています。
この記事では助産師の森木由美子さんの活動を紹介します。森木さんは土佐市を拠点に家庭訪問をしながら、授乳や抱っこ・おんぶの仕方などを支援しています。「お母さんの健康を大事に」という思いから、つむサポ講座では産前産後の体ケア教室を企画しています。
おんぶってどうやってするの?長男の子育てで気付いたこと
森木さんは鹿児島県出身。助産師として大学病院などで働き、結婚を機に高知に移住しました。小学 3 年の長男、1 年の長女を育てています。
大学病院ではたくさんの妊婦さんや産後のお母さんたちに関わってきましたが、「今思えば、子育てのことは何も知らなかったですね」。長男を出産後、多くのお母さんたちと同じように苦労しました。
「赤ちゃんが好きで助産師になって、長男もかわいいのに、寝ないし、しゃべらないのがしんどかった。子どもと 2 人でどう過ごしていいか分からなくて、毎日悩みました」
苦労したことの一つが抱っことおんぶです。「ワンオペだったので、長男をおんぶして家事をしたかった。でも、『どうやったらいいの?』って。自分なりにやってみて、結局はぎっくり腰になりました」
「その親子に合った授乳や抱っこの仕方って、誰も教えてくれないんだ」。長男の子育てを通しての気付きが現在の活動につながりました。
お母さんの生活に合わせてアドバイス
長女を出産後、2015 年に助産院「はぐはぐ」を開院。依頼のあった家庭を訪問し、授乳や抱っこ、沐浴、親子が一緒に遊ぶことを通じて心のつながりを強くしていく「遊び込み」などの支援を行っています。子育て支援センターなどで講座も開いています。
支援で大切にしているのが「当事者の話を聞き、その人に生活に合わせること」です。
「授乳を例に挙げると、家ではどんな部屋で、どんないすに座って、どんなタイミングでお乳をあげているのか。生活環境やスケジュールは 1 人 1 人違います。お母さんから話を聞いて、生活を見て、クッションなど家庭にある物も活用しながら、負担の掛からない授乳方法を考えていきます」
「私はこうやってうまくいった」という自分の経験談ではなく、助産師として、その人に合った科学的根拠のあるアドバイスを心掛けています。
妊娠・出産を機にセルフケアを
2021 年度のつむサポ講座では「ママのカラダケア教室」を企画しました。講師は近森リハビリテーション病院の理学療法士・岩佐恵子さん。妊婦さんと産後 1 年以内のお母さんを対象に、産前産後の体の変化や、体に負担が掛からない家事・育児のポイント、ストレッチやエクセサイズの方法を伝えます。
森木さんがお母さんたちに伝えたいのが「セルフケア」の大切さです。
「妊娠、出産で女性の体は大きく変わります。腰痛や肩こり、尿漏れなどの症状に困っていても『自分のことは後回し』という人もいるのではないでしょうか」
例えば「産後=骨盤が緩む」という情報はよく知られ、骨盤矯正を受けたり、骨盤ベルトを使ったりして対応する人もいます。ですが、妊娠、出産を通した影響は骨盤だけに出るのではなく、さまざまな筋力も低下するそうです。
「産前産後の体の変化を知り、姿勢の取り方や体の使い方を気を付けることで、予防にもつながります」と森木さん。日本ではまだ一般的ではないですが、海外では理学療法士による「産前産後リハビリテーション」が進んでいます。
「自分が元気じゃないと子育てはできませんよね。だから、お母さんの健康はすごく大事。妊娠・出産をきっかけに、セルフケアを毎日の生活に取り入れるきっかけをつくっていきたいと思っています」
2021年度の活動について
「ママのカラダケア教室」は 3 回開かれます。会場は土佐市複合文化施設「つなーで」。妊娠中の人と産後 1 年以内の人が対象です。申し込み・問い合わせは助産院はぐはぐのLINE公式アカウントで受け付けています。
- 9 月 17 日(金)10:00~11:30…オンライン開催になりました
- 11 月 25 日(木)10:00~11:30
- 1 月 24 日(月)10:00~11:30