「教えて!吉川先生」おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)|ウイルスによって耳の下から頬が腫れる病気です
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子どもの病気やけがについて、ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します
子どもの急な発熱に「さっきまで元気だったのに…」と焦ったり、病気やけがについてインターネットで調べて、「本当に正しい情報なの?」と迷ったりした経験はありませんか?
「教えて!吉川先生」では、高知県内でたくさんの子どもたちを診察してきた小児科医・吉川清志(きっかわ・きよし)さんが「ココハレかかりつけ小児科医」として、子どもの病気やけがについて解説します。
今回は「おたふくかぜ」。正式名称は「流行性耳下腺炎(じかせんえん)」で「ムンプス」とも呼ばれます。ウイルスによって耳の下から頬が腫れる病気で、髄膜炎や難聴などの合併症が起こることもあります。任意接種のワクチンで予防できます。
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「おたふくかぜ」とは?
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おたふくかぜは「流行性耳下腺炎」のことで、「ムンプス」とも呼ばれます。ムンプスウイルスに感染することで、主に耳の下の「耳下腺」が腫れます。あごの下の「顎下腺(がくかせん)」が腫れることもあります。感染後、2~3 週間の潜伏期間で腫れ始め、約 1 週間で収まります。
耳の下が軟らかく腫れて、痛みがあります。腫れは片方のみのこともあれば、片方から始まり両方になることもあります。
食べたりかんだりする時や、唾液が出る時に痛みが出ることがあります。熱が高くなるとしんどい場合がありますが、発熱はなく、しんどくない子どももいます。感染しても症状が現れない「不顕性感染」もあります。
さまざまなバリエーションのある病気です。
感染経路は?
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せきやくしゃみなどによる飛まつ感染や、接触感染によって感染します。
流行する時期は?
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3~6 歳に多い病気で、季節的な流行はなく、3~4 年ごとに全国的な流行が見られていました。最近は任意のおたふくかぜワクチンを接種する子どもが増えたためか、新型コロナウイルス感染症に対する感染対策のためか、感染者は減少し、流行の周期が不明瞭になっています。
治療方法は?
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おたふくかぜには直接効く薬がなく、対症療法のみです。耳下腺の腫れは約 1 週間で自然に治ります。熱が高い場合や痛みを伴う場合は、解熱鎮痛剤を使います。
以前は「腫れが引くまでは登校してはいけない」とされていましたが、現在は腫れてから 5 日たつと感染力がなくなることが分かっています。丸5日たって、熱がなく元気であれば、登校・登園してかまいません。
予防方法は?
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おたふくかぜの症状自体は軽い場合が多いですが、髄膜炎や脳炎などの合併症が起こることがあります。
髄膜炎の症状は頭痛と嘔吐です。脳炎を合併すると、うとうとしますので、小児科を受診してください。
難聴も頻度が高く、耳下腺が腫れた小児の 1000 例に 1~2 例の割合で起こることが分かっています。難聴の多くは片側ですが、両側で起こることもあります。回復しないことが多いので、ワクチンが大切です。
また、思春期以降の男性では 25 %に精巣炎が起こります。回復後に精子形成機能は低下しますが、不妊になるのはまれであるとされています。女性では 15~30 %に卵巣炎が起こります。
ワクチンは任意接種ですが、小児科医が「早く定期接種になってほしい」と願うワクチンです。接種時期は麻しん・風しんワクチンと同じで、1 歳で 1 回目、入学前に 2 回目を接種します。ワクチンで防げる病気は防いでほしいと思います。
この記事の著者
![門田朋三](https://kokoharekochi.com/wp-content/uploads/2020/04/kadota_img.png)