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「教えて!吉川先生」予防接種

「教えて!吉川先生」予防接種

子どもの予防接種は全部打つべき? 副作用が心配…ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します

子どもの急な発熱に「さっきまで元気だったのに…」と焦ったり、病気やけがについてインターネットで調べてみたりしたものの、「本当に正しい情報なの?」と迷った経験はありませんか?

「教えて!吉川先生」は、そんなお父さん、お母さんの疑問や悩みに答えるコーナーです。先生は、高知県内でたくさんの子どもたちを診察してきた小児科医、吉川清志(きっかわ・きよし)さん。「ココハレかかりつけ小児科医」として、子どもたちの病気やけがについて解説します。

今回のテーマは、生後2カ月から始まる予防接種です。母子手帳のスケジュールに掲載されているワクチンは「定期接種」と「任意接種」を合わせると、何と 13 種類!「こんなにたくさん打たないといけないの?」「副作用が心配」「同時接種って本当に大丈夫?」「子どもが嫌がってかわいそう」…。そんな疑問に吉川先生が答えます。

※2020 年 10 月 21 日更新。2020 年 10 月からロタウイルスワクチンが定期接種になりました。ワクチンの接種間隔についても決まりが変わりましたので、加えています。

 

なぜ予防接種をするのですか?

Q
なぜ予防接種をするのですか?
A
病気を防ぐ免疫を体内につくるためです

予防接種とは、ワクチンを接種することです。ワクチンを打ち、病原体から体を守る免疫をあらかじめつくっておくことで、本当の病原体が体に入ってきたときに病気にかからずにすみます。

生まれたばかりの赤ちゃんにはお母さんから免疫物質が移行しており、体を守っています。ですが、お母さんからの免疫の量はだんだん下がり、1 歳までにはゼロになります。さまざまな病気にかかりやすくなるので、予防接種が必要なのです。

ワクチンよりも自然感染の方がいいのでは?

Q
ワクチンよりも自然感染の方がいいのではないですか?
A
ワクチンが最善の予防法です

「ワクチンを接種するより、自然感染して免疫をつけた方がいいのでは」という意見を時々聞きます。果たして、自然感染の方が本当にいいのでしょうか。

人が病原体に感染して自分で免疫をつくることは自然なことです。しかし、子どもにとって大きな負担であり、危険も伴います。

2018 年の春、「はしか(麻疹)」が流行しました。はしかは 38.0 ~ 38.5 度の熱が3日ほど続いた後、さらに熱が上がり、合計1週間ほど高熱が続きます。せきがひどく、まれに肺炎や脳炎などを起こし、最悪の場合は死に至ることもある怖い病気です。有効な治療法はなく、発症したら自分の力で治すしかありません。

「細菌性髄膜炎」という病気があります。昔は風邪のような症状で発症し、1~2日で亡くなる子どもがいました。症状が出てからの治療では間に合わない場合があったのです。ですが、「小児肺炎球菌」や「インフルエンザ菌b型(ヒブ)」のワクチンのおかげで、最近はほとんど見なくなりました。予防接種の素晴らしい恩恵です。

予防接種が普及すると、これらの病気を間近で見ることがなくなります。とてもいいことなのですが、予防接種の大切さが伝わりにくくなるというデメリットもあります。私は小児科医として、感染症でしんどい思いをした子どもたちをたくさん診てきました。亡くなってしまった子どもたちもいます。そんな子どもたちのことを考えると、「ワクチンで予防できる病気はワクチンで予防してほしい」と強く思います。

ワクチンにはどんな種類がありますか?

Q
ワクチンにはどんな種類がありますか?
A
「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があります

ワクチンには、ウイルスや細菌の病原性を弱めた「生ワクチン」と、病原性をなくした「不活化ワクチン」があります。異なるワクチンを次に接種する場合は、注射の生ワクチンは4週間以上空けますが、その他の接種間隔の制限はなくなりました。しかし、同じワクチンは免疫効果を高めるために接種間隔が定められています。

日本小児科学会のウェブサイトには、学会が推奨する接種スケジュールが掲載されています。母子健康手帳にも推奨スケジュールが掲載されていますので、参考にしてください。熱や病気などで接種時期がずれた場合は、かかりつけ医の先生に相談し、決められた回数を接種するようにしてください。

同時接種は安全ですか?

Q
同時接種は安全ですか?
A
日本小児科学会が安全だと認めています

2 種類以上のワクチンを同時に打つことを「同時接種」と言います。外国では以前から同時接種が行われてきました。

日本では副反応の心配などから、取り組みが遅れていましたが、日本小児科学会が 2011 年に「ワクチンの同時接種は、日本の子どもたちをワクチンで予防できる病気から守るために必要な医療行為である」と安全宣言をしました。複数のワクチンを同時に接種してもワクチンの有効性に影響がない、つまりきちんと免疫がつくこと、そして副反応の頻度が上がることがないことを認めています。

同時接種の際は、腕の少しずらした場所に注射したり、太ももに注射したりします。例として、生後 3 カ月での「インフルエンザ菌b型(ヒブ)」「小児肺炎球菌」「B型肝炎」「四種混合」「ロタウイルス」の 5 種類があります。ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、四種混合を腕や、場合によっては太ももに注射し、ロタウイルスは飲んで接種します。

同時接種することで、何度も小児科に通わなくてよくなりますし、赤ちゃんが痛い思いをする日も減らせるメリットがありますが、もちろん分けて接種することも可能です。かかりつけ医の先生とよく相談してください。

副作用が怖くて、接種をためらっています

Q
副作用が怖くて、接種をためらっています
A
ほとんどが軽症です

予防接種の際にお父さん、お母さんが心配されるのがワクチンによる副反応(副作用)だと思います。

副反応にはまず、「刺激に対する反応」があります。「注射を打ったところが赤くなる。腫れる」のが代表的な症状です。時間がたてば赤みや腫れは治まりますが、気になるようでしたら冷やしてあげましょう。

熱や発疹が出た場合は「体内でのアレルギー反応」が考えられますが、予防接種した日と病気がたまたま重なる「紛れ込みの副反応」の場合もあります。「BCG」「麻疹・風疹(MR)」「水痘(水ぼうそう)」「ロタウイルス」は、ウイルスや細菌の病原性を弱めた「生ワクチン」ですので、まれにその病気のような症状が起こる場合があります。「いつもと違う」と感じた時は受診して、医師の指示に従ってください。

注意が必要なのは、ショック状態になる「アナフィラキシー」です。アナフィラキシーは急激なアレルギー反応のことで、接種後 2 時間以内に起こります。小児科で「接種後30分は待合室で待機してください」と呼び掛けるのは、アナフィラキシーに迅速に対応するためです。子どもの様子をよく観察してください。

副反応は軽い症状がほとんどで、重い副反応の頻度は「10 万接種に 1 回くらい」というデータが出ています。副反応は残念ながらゼロにはなりませんが、ワクチンを打たずに病気になる、あるいは後遺症を来す確率と比べた場合、ワクチンを打つ効果の方が高いと判断された病気が、予防接種の対象になっています。健康被害が生じた場合は、医療費などの救済制度があります。予防接種の救済制度は一般の薬よりも手厚く、充実しています。心配な方はかかりつけの先生によく相談してください。

任意接種は必要ですか?

Q
「任意接種」は必要ですか?
A
大切なワクチンです。ぜひ接種してください

予防接種には「定期接種」と「任意接種」があります。定期接種は法律で決められたワクチンで、無料で接種できます。

任意接種は法律には定められていませんが、国が使うことを認めたワクチンです。費用は原則、個人の負担になります。日本小児科学会は「おたふくかぜ」「インフルエンザ」のワクチン接種を推奨しています。

「任意」とは「その人の意思に任せること」という意味です。そう聞くと、「打たなくていいの?」と誤解するかもしれませんが、「定期」と「任意」は共に大切なワクチンであることは同じです。任意接種が定期接種になり、新たな予防接種が導入され、日本は世界標準の予防接種にやっと追いついてきたところです。

特に「おたふくかぜ」は大切です。おたふくかぜは「うつされた方が強い免疫がつく」と言う人がいますが、後遺症で難聴になると、回復できません。ぜひ接種してください。

これまで任意接種だった「ロタウイルス」は 2020 年 10 月から定期接種になりました。2020 年 8 月生まれ以降の赤ちゃんが対象です。月齢が進むと、腸の一部が隣接する腸管にはまり込む「腸重責症」にかかりやすくなりますので、初回接種は決められた生後 6 週から 14 週 6 日までに受けてください。

ワクチンは全部打たないといけませんか?

Q
ワクチンは全部打たないといけませんか?
A
決められた回数を全て打ってください。1 歳以降は「念押し」が大事です

0 歳、1 歳は接種が多いので大変ですよね。特に0歳で接種するワクチンがたくさんあるのは、適切なその時期に接種する必要があるからです。「予防接種のために頑張って予定を空けたのに、熱が出た」という話をよく聞きます。0歳代はお母さんが育休中で順調に打てていたのに、1歳以降は職場復帰して忙しくなり、つい忘れるということもよくあります。

同じワクチンを何度も接種するのは、ワクチンを打ってできた免疫の効果がだんだん下がるからです。特に1歳以降の「念押し」が大切で、決められた回数を打つことで、効果を長く保ちます。抜かりがないか、母子健康手帳をチェックしてください。

接種後にお風呂に入っても大丈夫ですか?

Q
接種後にお風呂に入っても大丈夫ですか?
A
大丈夫です

昔は「注射の後はお風呂に入ってはいけない」とされていましたが、実は科学的には根拠がありませんでした。今はお風呂に入っても大丈夫ですし、よほど激しい運動でなければ、体を動かしてもかまいません。普段通りに過ごしてください。発熱などの症状が出た場合は注意しましょう。

注射を泣いて嫌がります。どうすればいいですか?

Q
注射を泣いて嫌がります。どうすればいいですか?
A
励まし、褒めてあげましょう

予防接種はお子さんの人生を守るものです。注射で泣く姿を見ると、「かわいそうに」と思うかもしれませんが、接種しないともっとかわいそうなことになる恐れがあります。「痛くないよ」とうそをつくのではなく、「痛いけど、病気にならないように頑張ろうね」と励まし、終わった後はうんと褒めてあげてくださいね。

吉川先生より

子どもが突然、熱を出したり、具合が悪くなることは珍しいことではありません。お父さん、お母さん、気にし過ぎたり、自分を責めたりしないでくださいね。何ごとも頑張り過ぎると長続きしません。子育ても適度に手抜きし、周りの人に助けてもらいましょう。子育ても人生も楽しんでくださいね。

 

(イラストは岡崎紗和が作成しました)

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この記事の著者

門田朋三

門田朋三

アナ雪のエルサになりたい5歳と、おてんばな1歳の娘がいます。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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