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「教えて!吉川先生」夏の風邪

「教えて!吉川先生」夏の風邪

夏に流行する風邪(ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱)の症状と予防方法は? ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します

子どもの急な発熱に「さっきまで元気だったのに…」と焦ったり、病気やけがについてインターネットで調べてみたりしたものの、「本当に正しい情報なの?」と迷った経験はありませんか?

「教えて!吉川先生」は、そんなお父さん、お母さんの疑問や悩みに答えるコーナーです。先生は、高知県内でたくさんの子どもたちを診察してきた小児科医、吉川清志(きっかわ・きよし)さん。「ココハレかかりつけ小児科医」として、子どもたちの病気やけがについて解説します。

今回のテーマは「夏の風邪」。「3大夏風邪」とも言われる「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜熱(プール熱)」が流行のピークを迎える時期が近づいてきました。それぞれの症状や予防方法について、吉川先生が答えます。

夏に流行する感染症にはどんな種類や特徴がありますか?

Q
夏に流行する感染症にはどんな種類や特徴がありますか?
A
ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱が主な夏の風邪です

 

毎年 7 ~ 8 月ごろに流行する「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜」は、ウイルスが感染して起こる疾患です。その年に流行するウイルスの型によって違いますが、保育園や幼稚園に通う年代の子どもがかかることが多いです。咳や鼻水があまり出ないこともこの三つの病気の特徴の一つです。

ヘルパンギーナはどんな症状が出ますか?

Q
ヘルパンギーナはどんな症状が出ますか?
A
突然発熱し、口内炎ができます

 

ヘルパンギーナの原因は主に「コクサッキーウイルス」と呼ばれるウイルスです。突然の発熱が特徴で、38 ~ 39 ℃台の熱が平均して 3 ~ 4 日ほど続きます。40 ℃近くになることもあります。

喉の痛みを訴えることも多いです。口の中に口内疹(こうないしん)というぶつぶつができた後、ぶつぶつが破れて口内炎になります。喉や口の中の痛みが原因で食事ができない子どももいます。家庭内で水分を取ることも難しい場合は点滴などで対応します。

治療薬はありませんので、喉の炎症を和らげる薬などを使いながら、熱が下がり、自分の力で治るのを待ちます。

手足口病はどんな症状が出ますか?

Q
手足口病はどんな症状が出ますか?
A
手と足、口の中にぶつぶつができます

 

手足口病は、ヘルパンギーナと同じ「コクサッキーウイルス」だけでなく、「エンテロウイルス」も原因となります。3 分の 1 ほどの患者に発熱が見られますが、多くは熱が出ず、ぶつぶつで気付きます。

手足に出るぶつぶつは直径 1 ~ 3 ミリほどの発疹(水疱)で、盛り上がっていないのが特徴です。痛くもかゆくもなく、かさぶたにもなりません。膝とお尻の辺りに1~3ミリほどの発疹が出ることもあり、こちらは赤く盛り上がる丘疹(きゅうしん)です。口の中のぶつぶつは口内炎で、喉の奥の方にでき、少し痛いです。

手足口病も治療薬はありません。ぶつぶつが出た時点では人にうつす可能性はほぼないので、熱が出ていなければ登園するなど普通の生活をしてかまいません。ぶつぶつは 1 週間くらいできれいに治ります。

流行のピークは 7 ~ 8 月ごろですが、時に秋まで延びることがあります。数年に一度、全国的な大流行が見られます。

咽頭結膜熱はどんな症状が出ますか?

Q
咽頭結膜熱はどんな症状が出ますか?
A
発熱し、喉が腫れ、結膜炎になります

 

咽頭結膜熱は「アデノウイルス」というウイルスが原因で起こります。塩素濃度の低いプールを介して感染が広がることがあり、「プール熱」とも呼ばれます。

38 ~ 39 ℃台の熱が 3 ~ 4 日出ますが、長ければ 1 週間くらい続くこともあります。喉が赤くなり、へんとう腺が腫れ、白い膿(うみ)が付きます。目やにが出て目が赤くなる結膜炎も起こります。下痢をすることもあります。

咽頭結膜熱の流行のピークは 7 ~ 8 月ごろなので夏型感染症と考えられてきましたが、最近は冬にも流行が見られています。治療薬はなく、目薬や喉の炎症を取る薬で症状を和らげながら、自分の力で治るのを待ちます。原則として、熱などの主な症状がなくなって 2 日以上経過したら、登園してかまいません。

夏風邪で注意すべき症状は何ですか?

Q
夏風邪で注意すべき症状は何ですか?
A
「いつもと違う」という感覚を大切に、心配なら再受診しましょう

 

夏風邪はいずれも軽い病気ですが、ヘルパンギーナや手足口病ではまれに、ウイルスが髄膜炎や心筋炎などの合併症を引き起こすことがあります。あまり過剰に心配しなくても大丈夫ですので、熱が出た時は、おうちの中でゆっくりと過ごしましょう。しんどければ横になり、元気があるなら静かに遊んでかまいません。

熱やしんどさが続く、水分が取れない、治りが遅い、頭痛や嘔吐(おうと)があるなど、「いつもと違うな」と感じた場合や、心配な場合はもう一度受診しましょう。

熱冷ましはいつ使えばいいですか?

Q
熱冷ましはいつ使えばいいですか?
A
38.5℃以上でしんどそうな時に使いましょう

 

熱冷ましは一時的に熱を下げて体力を維持するための薬であり、風邪の原因となるウイルスをやっつける薬ではありません。38.5 ℃以上あり、しんどそうな時に使いましょう。38.5 ℃以上あっても元気そうにしていたり、ぐっすり眠っている場合は使わなくてかまいません。体温計の数字だけで判断しないように注意してください。

使用は 1 日 3 回までにとどめましょう。子どもは急に発熱することがありますので、数回分を手元に置いておくといいでしょう。座薬と飲み薬の効果は同じですので、その子に合った解熱剤を使ってください。年齢が大きくなると座薬を嫌がる子が多いです。

夏風邪の予防法を教えてください

Q
夏風邪の予防法を教えてください
A
手洗い、うがいをしっかり行いましょう

 

ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱の主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる「飛まつ感染」と、ウイルスに直接触れることによる「接触感染」です。予防の基本は手洗いとうがいです。小さな子どもはうがいができないので、手洗いをしっかりやりましょう。

新型コロナウイルスの感染予防で、手洗いは皆さん、しっかり行っていると思います。これまでと同じように、登校・登園した時、家に帰った時、食事前やトイレの後にせっけんと流水で 20 秒以上かけて洗うようにしましょう。新型コロナウイルスに有効な消毒用アルコールはこれら三つの夏風邪ウイルスには効果がありませんので、注意してください。

特に気を付けてほしいのが、排便後とおむつ替えです。夏風邪の原因となるウイルスは、症状が消えた後も 2 ~ 4 週間の長期にわたって、便の中に排出されます。どんなに気を付けていても、ウイルスは知らず知らずのうちに手に付着していますので、しっかり手を洗ってください。

また、咽頭結膜熱では結膜炎があり、タオルに目やにが付着して感染する可能性がありますので、タオルは共有せず別の物を使ってください。

お父さん、お母さんへ

夏風邪も新型コロナウイルスもウイルスが原因となって起こる病気です。目に見えないウイルスをゼロにすることはできません。「密」を避けることももちろん大事ですが、保育園や幼稚園、学校で子どもたちに「密を避けなさい」と言っても無理な話です。

ウイルスをゼロにするという「できないこと」を完璧にやろうとすると、不安で心が不安定になっしまいます。十分に手を洗う、規則正しい生活をして、しっかり食べて十分な抵抗力を保つなど、できることをきちんとやってください。

子どもは病気をするたびに免疫を付け、強くなって、小学生になるとほとんど風邪をひかなくなります。家庭でできる感染予防を行った上で、かかった時は「免疫が付いたから、次はかからないな」と前向きに考えるようにしましょう。心配なことや分からないことがあれば、かかりつけの先生に遠慮せずに質問してください。

吉川先生のインタビュー記事はこちら

「教えて!吉川先生」の「予防接種」はこちら

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この記事の著者

門田朋三

門田朋三

アナ雪のエルサになりたい4歳と、おてんばな1歳の娘がいます。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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